中村 健威氏(写真左)と中村 康宏氏
業務用のフィットネスマシン「ECOLECO FITNESS」の輸入販売を手がけるエーイーシー株式会社。兄弟で代表を務める中村 健威氏、中村 康宏氏は、2022年に同マシンを導入した24時間・無人運営「ECOFIT24」を立ち上げました。お2人に、ジムを立ち上げるまでの経緯や店舗の特徴についてお聞きしました。
INDEX
PROFILE
中村 健威/中村 康宏 エーイーシー株式会社 代表取締役
父親が立ち上げた会社の新規事業としてフィットネス事業に参入。2022年、24時間・無人運営のフィットネスジム「ECOFIT24」を立ち上げる。人に依存しない店舗運営や、運用システムからフィットネスマシンの納品、運営サポートまでを一貫して請け負う効率性で、新規事業として取り組みたいという問い合わせを多数受け、FC店舗を含めて現在10店舗以上を展開している。
1. フィットネスマシンのショールーム兼ジムの立ち上げから誕生したECOFIT24
——エーイーシー株式会社は24時間・無人運営のフィットネスジムであるECOFIT24の運営のほか、業務用のフィットネスマシン「ECOLECO FITNESS」の輸入販売やメンテナンスなどフィットネス関連のビジネスを手がけています。これは創業当時からでしょうか?
中村 健威(以下、健威):エーイーシー株式会社は父が立ち上げた、日用雑貨の輸入販売から始まった会社です。私がその事業を引き継ぎ、2019年に弟の康宏が新規事業としてフィットネスマシンの販売を始めました。
中村 康宏(以下、康宏):「ECOLECO FITNESS」の製造を中国で行っていた関係で、僕は上海に長く住んでいました。そこでたまたまトレーニング仲間から「自分のジムをつくりたい」という相談を受けて、夢を後押しする気持ちでフィットネス施設を2店舗つくってみたんです。1店舗目のサービス内容はマンツーマン指導でしたが、2店舗目は少し形式を変えて、トレーナー1人が最大4人までお客さまを担当するセミパーソナルにしました。そのときに新たに予約システムも開発しました。
——そこからどのような流れで、日本でECOFIT24を展開することになったのでしょうか。
康宏:フィットネスマシンの販売が好調だったので、きちんとしたショールームをつくろうと思ったんです。でも、ただフィットネスマシンを置いておくだけではもったいないですし、中国でジムを立ち上げた経験や、開発した予約システムもあったので、ショールーム兼セミパーソナルジムとして運営してみようと考えました。これがECOFIT24の前身です。
ただ、人を採用すると人材を管理する労力やコストがかかります。もっと身軽なビジネスにできるよう無人で運営したらどうだろうかと考え、生まれたのがECOFIT24でした。ターゲットもある程度のトレーニング知識があるフィットネス中〜上級者に設定し、リーズナブルだけれど、高品質かつスタイリッシュなジムを目指しました。だからECOFIT24はフリーウエイトエリアが充実しているんです。
——月額2,980円(税別)という通いやすい価格もECOFIT24の特徴の1つかと思います。なぜこの金額設定にしたのでしょうか。
康宏:周囲のジムよりもお手ごろ感を出したかったんです。無人運営としていることや、自分たちでフィットネスマシンを揃えられることで初期投資を抑えられるので、この価格でも十分に運営していけると考えました。
——実際、お客さまの反応はどうでしたか?
康宏:「ここで成り立つならば、ほかの場所でも運営していけるはず」というテスト的な意味を含めて、駅近だけどあえて視認性が悪い場所に1号店として今池店を出しました。そうしたら、初月だけで300人も集まったんです。まさにターゲットとしていたトレーニング中〜上級者の方が多く、「この価格なら続けやすい」というお声をたくさんいただき、その後の展開へ自信がもてました。
健威:1店舗目はWi-Fiの関係でドアが開かなかったりと、お客さまにご迷惑をおかけしてしまうトラブルがたくさんありましたね。慣れないことで当時は慌てましたが、都度対応していくことで運営を改善していきました。
2. 初心者対応が課題、システムの改善でサポート体制の充実化を図る
——フィットネス初心者の方も入会されると思いますが、どのように対応しているのでしょうか?
健威:そこは課題ですね。「TRESUL(トレスル)」というアプリでトレーニング提案も行っていますが、初心者の方をサポートできる機能をもっと充実させていくため、まさに機能の改善を試みているところです。
康宏:春日井店はオープン後に約1,000人もの方に入会いただいて、そのなかにはフィットネス初心者の方も多くいましたが、「何をすればいいかわからない」と、退会された方もいます。特にフィットネス初心者かつ女性の方など、オープン当初から約10%は減ってしまっているので、サポート体制の充実化は優先して取り組んでいく予定です。
健威:余談ですが、春日井店は、当初想定していた入会者数は400人だったんです。それが2倍以上の方に入会いただいたので、駐車場が足りなくなったり、ランニングマシンが常に埋まっている状態になって「使いたいのに使えない」と退会されてしまう方も出てしまったので、急ぎ駐車場台数やランニングマシンを増やすなどして対応したという苦い思い出があります。
——ここまで運営してみて、24時間無人のジムを運営していくうえで大切なことは何だと感じていますか?
健威:やはり運営システムですね。有人店舗には叶いませんが、無人でもシステムの力でできるだけ有人店舗に近いサービスレベルに近づきたいと考えています。ただ、それが実現できたとしても、店舗が汚れていたり、フィットネスマシンが壊れたまま放置されているようでは本末転倒ですから、清掃・マシンメンテナンスには力を入れていますし、会員さまからのご意見も運営システムから吸い上げられるようにしています。
康宏:清掃は外注業者に任せっきりにするのではなく、運営システムでも清掃ポイントをリスト化して管理し、綺麗な施設を維持できるようにしています。
3. 相互利用による利便性でさらに通いやすい店舗へ
——2023年からはFC展開にも取り組まれていますが、目標とする店舗数はありますか?
康宏:物件探しには苦労していますが、それでも月1店舗のペースで増やすことができています。将来的には100店舗まで展開できたらいいですね。初期投資金額は、おそらく一般的なジムの半分ぐらいかと思います。そのため回収期間も短く、現在までのすべての店舗が開業3ヶ月以内で黒字化しています。サポート体制も充実しているので、ぜひ新規事業を検討中の企業さまには挑戦していただきたいです。
健威:今、店舗の相互利用が可能となるようシステムを開発中なんです。店舗数が増えたら相互利用できたほうがお客さまの利便性も高まります。これから店舗数が増えても、お客さまが快適に利用できて、FCオーナーさまの手をわずらわすことなく黒字化できるような店舗づくりに取り組んで行きます。