京都市内に3店舗を展開する、24時間フィットネスとパーソナルトレーニングを提供する「STANCE FITNESS」を運営する株式会社STANCE。代表取締役の箕浦 啓二朗氏は、JBBF京都フィジーク初代チャンピオンをはじめ、多くのコンテストで優勝・入賞した経歴をもちます。フィットネスモデルとしても活動し、Netflixのリアリティーショーにも出演するなど、多方面で活躍しています。「#トレーニングは歯磨き」をキャッチフレーズに、日々のトレーニングの重要性を発信するインフルエンサーとしても注目されている箕浦氏に、ジムの立ち上げや運営していくうえでの想いについて伺いました。
INDEX
PROFILE
箕浦 啓二朗 株式会社STANCE 代表取締役
整骨院勤務の傍らボディメイクに励み、多数のコンテストで優勝・入賞を経験。フィットネスモデルとしてもメディアに取り上げられる。その後、株式会社STANCEを立ち上げ、京都市内で24時間フィットネスとパーソナルトレーニングを提供する「STANCE FITNESS」を3店舗に拡大。さらにNetflixのリアリティーショー「ラブ デッドライン」にも出演している。SNSの総フォロワー数は数万人以上を誇るインフルエンサーでもある。
1. トレーニングに夢中になったことをきっかけにコンテストに出場、ジム経営にも進出
—— ジムをオープンされたきっかけは何でしょうか?
学生時代は特にスポーツに打ち込んでいたわけではありません。会社員時代、時間を持て余して始めたトレーニングがきっかけでした。続けるうちに体の変化を実感し、コンテストでも結果を残せるようになったんです。何の取り柄もなかった自分が、初めて本気で夢中になれたのがトレーニングでした。その熱量を人に伝えたいと思い、フィットネス事業をスタートしました。儲かるからという理由で選ぶビジネスには、まったく興味がありません。
—— 創業時からパーソナルトレーニングと24時間ジムを合わせた形態だったのでしょうか?
最初の店舗は24時間営業ではなく、整骨院とパーソナルジムを組み合わせた複合型店舗でした。もともと整骨院に勤務していましたが、体に痛みや問題を抱えた人を治療するだけではマイナスがゼロになるだけで根本解決にはならないと感じていました。そこで、整骨院で治療した後、トレーニングで再発を防ぐ体づくりを行いたいと考えたのです。
—— 最初は24時間ジムではなかったのですね。
はい。パーソナルジムは目標を達成すると、お客さまが卒業されてしまうケースが多いんです。その後、自主トレーニングしようと24時間ジムなどへ行くものの、マシンの使い方がわからず困るという声を聞きました。そうであれば、パーソナルではなくとも使い慣れたうちのジムで自主トレーニングができるようにすれば、お客さまは継続的に運動でき、私たちも安定した売上を確保できると考えました。
現在、店舗は24時間営業していますが、パーソナルトレーニングはスタッフアワー内に限定しています。夜間は無人運営とすることで、トレーナーの稼働時間への負担も抑えています。
 
  2. 広告費ゼロで口コミNo.1を達成。インバウンド客にも対応し、外国人客からも高評価を獲得
—— 創業時に取り組んだ集客方法についてお聞かせください。
トレーナーの説明力と知識を重視しつつ、SNS発信に力を入れました。もともと以前の仕事関係で知人が多かったので、その方たちが来店して口コミしてくれたことも大きな力となりました。特に意識したのは、広告費ゼロで口コミNo.1を実現することです。既存の会員さまの紹介が一番の力になると考え、その土台作りを徹底しました。来店されたお客さまにはGoogleレビューの投稿もお願いしています。出店の際は立地にこだわり、看板や外観は通行人が一瞬で情報を認知できる“7秒の法則”を意識しました。Meta広告も試しましたが、地域によって効果に差がありましたね。
—— 京都という土地柄、お客さまの特性にも違いがありますか?
観光地ならではの特徴として、外国人観光客のドロップイン利用が多いです。桜の時期などは、ドロップイン利用だけで月に40万円ほどの売り上げになることもあります。
—— 外国人のお客さまを受け入れるにあたって、どのような対応をされていますか?
外国人のお客さまはドロップイン利用が中心のため、通常の会員制度のご案内は省いています。土足は禁止であること、スタッフアワー以外は水の販売や靴の貸し出しを行っていないことなどをお伝えする程度で、フランクに対応しています。もちろん、オンライン決済時に表示する注意書きにも明記しています。
—— タトゥーを入れている方も多いのでは?
タトゥーのある方も受け入れていますが、これまで日本人の会員さまからクレームが寄せられたことはありません。社会のグローバル化もありますが、会員さまのオープンマインドな姿勢も影響しているのかもしれません。
—— 外国人のお客さまの評価はいかがでしょうか?
英語が話せないスタッフでも一生懸命対応しようとする姿勢や、スタッフのホスピタリティを評価していただいています。現在、しっかりと英語を話せるのは私だけですが、スタッフもジェスチャーを使うなどして十分にコミュニケーションが取れています。多くの外国人客に接するうちに臆せず対応できるようになり、その姿勢も評価につながっているようです。施設の清潔さについてお褒めいただくことも多く、外国人のお客さまからの口コミが新たな外国人客を呼ぶ好循環が生まれています。
—— ドロップイン利用も重要ですが、長く通う会員さまも大切ですよね。そのためにお店作りで大切にしていることはありますか?
もちろんです。トレーナーの人間力を何より重視しています。お客さまの満足度とサービス品質を高めること、そして「運動を継続すれば不健康になりにくい体をつくれる」という価値を伝えることが大切です。お客さまが「こうありたい」と思う姿を実現するために、常に新たな目標を提案し、最適なメニューとそこに向かうまでのプロセスもしっかり説明するようにしています。AIが普及しても、「人と人との本質的な関係」は真似できません。
 
3. 権限委譲を徹底し、スタッフの責任感を育成。「人間力」の高いトレーナーが組織を支える
—— 店舗管理はどのように行っているのでしょうか?
各店舗に権限を委譲し、責任感を育てています。3店舗目の開店時は、私がNetflix出演で多忙だったのですが、スタッフが主体的に準備を進めてくれました。最近も海外に長期滞在したのですが、問題なく店舗を運営できました。
採用も責任者に任せており、体づくりができていることよりも、お客さまとの信頼関係を築ける「人間力」を重視しています。採用広告を出したこともありますが、多くは紹介による採用です。店舗のトレーナーに憧れて「自分もここで働きたい」と来てくれる方もいます。働きたいと思ってもらうための雰囲気作りは重要だと思っています。
—— スタッフの待遇で工夫されていることはありますか?
指名制と成果報酬制を導入しています。パーソナルトレーニングは24回を1クールとし、早く消化すれば次に進めるというシステムです。指名のお客さまがチケットを購入するとトレーナーの収入に反映されます。努力がお客さまとの信頼関係構築と収入の両方につながる仕組みで、結果的に他のジムと比較して給与水準は高めだと思います。その分、スタッフもブランディングの一部として身だしなみや体脂肪率管理を徹底し、コンテストへの出場も奨励しています。
—— これまで事業を続けてきてよかったと感じる瞬間はありますか?
普段の生活では出会えないような方々と関わり、学びを得られることです。お客さまと目標を共有し、達成していく中で信頼関係が深まっていく過程にも喜びを感じます。
私自身もフィットネスを通して可能性が広がり、Netflixに出演する機会を得ました。スタッフも、お客さまに食事に誘っていただくなど良い関係を築いており、彼らの人間関係や可能性を広げる機会を提供できていることが、何より嬉しいですね。
—— 今後の展望を教えてください。
当初の目標だった3店舗展開は達成しました。引き続きブランディングを徹底し、京都で唯一無二のジムを目指します。2030年までに5店舗へ拡大したいですね。京都という土地柄を活かし、外国人観光客の方へのサービスもさらに強化していくつもりです。

 
           
                   
                   
                   
                   
                   
                   
                   
                  