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医師が目指す地域連携 互いの専門分野を活かしウェルネスな状態を目指す

2023.10.23

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医師が目指す地域連携 互いの専門分野を活かしウェルネスな状態を目指す

第1回2回と、Medical fitness Re-Birthを運営する四家 卓也氏による、メディカルフィットネス施設側から見た運用ポイントをご紹介しました。第3回目は、Re-Birthが連携している八王子みなみ野心臓リハビリテーションクリニック 院長である二階堂 暁氏にうかがった、医師側から見たメディカルフィットネス施設の意義や、一般的なフィットネスクラブ(以下、フィットネスクラブ)が医師と連携する場合のポイントなどをご紹介します。

INDEX

PROFILE

二階堂 暁 八王子みなみ野心臓リハビリテーションクリニック 院長/日本メディカルフィットネス研究会(公益財団法人日本健康スポーツ連盟)委員

岡山大学医学部を卒業後、東京や福山、岡山などで循環器内科の医師として勤務し、2016年より現職。心臓病の予防や改善のために生活習慣病予防に力を入れる。人々の健康に貢献するためには地域との連携が欠かせないとし、Re-Birthを含めたメディカルフィットネス施設や地域にある飲食店とも積極的に交流を図っている。

1. 病院・リハビリクリニック・メディカルフィットネス施設、三者が専門分野に集中できる環境で人々の健康を促進

1-1. 役割の明確化で患者にじっくりと向き合える環境を創出

急性期患者(急性心筋梗塞や心不全などで入院加療中など、症状が現れた状態)に対応する病院には、日々、早急な治療が必要な多くの患者が来院します。そのため、本来ならば心臓リハビリテーション(以下、心臓リハビリ)と再発予防に向けたサポートまで対応したいところですが、難しいケースが多いのが日本の医療の現状です。

八王子みなみ野心臓リハビリテーションクリニック(以下、八王子みなみ野CRC)の前身であるみなみ野ハートクリニックの開院当初からその点を重要視し、心臓リハビリ部門を設けて急性期後の患者さんの再発予防に取り組んでいました。それを拡充・発展させる形で、2016年6月に八王子みなみ野CRCは開設されております。

心臓病は生活習慣に起因する場合が多いため、再発予防にはその改善が欠かせません。八王子みなみ野CRCでは、母体であるみなみ野循環器病院で心臓疾患に対する急性期治療を終え、退院された後の、心臓や全身のコンディション改善や心臓疾患の再発予防を目的として、運動療法や食事療法などに対して積極的にアプローチしています。

この心臓リハビリは保険診療で認められており、患者さんは医療保険のサポートを受けながら病気の回復・リハビリに勤しむことができますが、保険診療には適応期間が定められており、心臓リハビリにおいてのそれは原則150日間、となっています。心臓リハビリの保険診療を終了した患者さんの受け皿として期待されるのが、医療的要素を含んだサポートを提供できるメディカルフィットネス施設です。理学療法士や看護師・管理栄養士などの医療スタッフによる適切なアドバイスのもと、運動療法や生活指導・栄養相談を受けられる環境であれば、医師側としても安心です。これが当クリニックがRe-Birthと連携する最大の理由でもあります。

1-2. スムーズな連携に不可欠な相互理解

医療機関とメディカルフィットネス施設が、次のような連携体制を構築できたら理想だと考えます。

八王子みなみ野CRCのような外来心臓リハビリテーションでは、心臓疾患における「急性期(大きな病院での入院加中の状態)」を無事脱した「回復期」にある患者さんをサポートします。

状態が安定して「維持期」に移行したら、その後の健康サポートはメディカルフィットネス施設にて実施します。健康状態の確認や健康増進に向けた食事や運動に対するアドバイスの提供および、その実践の場を提供してもらうのです。その過程で医療の介入が必要と判断した場合は、速やかに連携している医療機関に相談し、医療機関側ではその要望に適切・迅速に応えます。このような連携体制が多くの地域で実現できたら、地域に住まう人々の健康管理や健康増進を促進できると考えています。

医療機関とメディカルフィットネス施設がスムーズに連携するためには2つの重要なポイントがあります。1つ目は、お互いのできること・できないこと、得意なこと・不得意なことをしっかりと理解し、それぞれの知識や経験を補完し合いながら活動すること、2つ目は、良好な協働関係を構築し、維持するためにも普段から定期的なコミュニケーションを欠かさないことです。

八王子みなみ野CRCとRe-Birthもこの2つのポイントを押さえることで、良好な関係を築いています。

2. 強みの異なる施設が混在する現在のメディカルフィットネス施設

何をもって「メディカルフィットネス」と称するのか、その確たる定義がいまだ定まっていないこともあり、メディカルフィットネス施設といっても、連携している医療機関によって強みやサービス内容には違いがあります。

例えば整形外科系の病院と連携した「整形外科ベース」のメディカルフィットネス施設は運動器の機能改善に強いと期待できます。しかしそういった施設で心臓疾患の「維持期」に入った方に対し、健康の維持・増進に関するアドバイスを十分に行えるかというと、少々難しいかもしれません。そういった方の場合は、Re-Birthのように「心臓リハビリ」を行っている医療機関と提携しているメディカルフィットネス施設のほうが、必要なアドバイスを受けられる可能性が高いでしょう。

このように、強みの異なるさまざまなメディカルフィットネス施設があるなかで、国が取り組んでいるがん・心疾患・脳血管疾患といった日本三大死因の予防・減少に寄与できる施設を挙げるならば、がん・心疾患・脳血管疾患を発症する要因となる生活習慣の管理、改善に向けたサービスを提供する「内科・生活習慣病ベース」もしくは「心臓リハビリベース」のメディカルフィットネス施設がその期待に応え得るだろう、と考えます。

しかし、メディカルフィットネス施設の数自体が少ない現在、「内科・生活習慣病ベース」「心臓リハビリベース」のメディカルフィットネス施設の数はさらに少ないといえます。一般的なフィットネスクラブはたくさんありますが、スポーツやトレーニングに関する知識が豊富なスタッフはいても、医学的なサポート・アドバイスまで対応できるスタッフは少ないのが現状です。結果、「運動をしなければいけないが、安心して運動できる場所がない、適切な健康アドバイスが受けられない」などの理由から、フィットネス施設などでの運動療法に消極的な人が多くいると考えられます。

疾患をもつ人たちが安全に運動に取り組める環境を増やすことは、フィットネス施設などで運動に取り組む人口を増やし、それにより日本三大死因の予防・減少や医療費の抑制につながると期待できます。今後は医学的なサポート・アドバイスができるスタッフの育成や、健康行動に対してメリットが受けられるような社会の実現に向け、業界を超えてもっと連携していくことが必要でしょう。

医師が目指す地域連携 互いの専門分野を活かしウェルネスな状態を目指す

3. 幅広い業界のハブとなり健康効果の拡大を目指したい

これまでの経験を通じ、私のような循環器内科医と、理学療法士や健康運動指導士のような動作分析や運動指導の専門家は、最良のパートナーになれると感じています。お互いの強みを組み合わせ、弱みを補完しあうことにより、健康増進に向けて効果的なサービス・アドバイス・サポートを提供できると考えます。心臓リハビリテーションとメディカルフィットネスとの親和性が高い所以も、ここに1つの理由があると考えています。フィットネスと医療との間に取り除くべき障壁はまだありますが、お互いの得意・不得意を理解し、リスペクトしあい、適切な連携体制を構築できれば、人々の健康増進に大きく貢献できる大きな可能性を秘めている、と考えています。

連携するにあたって、周囲の環境も整ってきていることを感じます。ウェアラブルデバイスの普及により、患者や会員の身体データを共有することが容易になりました。さらに、Zoomなどリモートツールの活用が一般的となり、場所を問わず人や企業がつながることができるようになりました。実際、八王子みなみ野CRCは、八王子・町田などの近郊だけではなく、福島県や北海道にあるメディカルフィットネス施設とも連携しています。そう考えると、メディカルフィットネス施設とは、医療機関との良好なパートナーシップが形成されているものを指す、と定義してもいいかもしれませんね。

医師の立場からさらにいえば、メディカルフィットネス施設だけでなく、地域にある飲食店や農家などとも連携し、食の面からも人々の健康に寄与していくことも大切だと考えています。それぞれが対応できることには限度がありますが、連携することで、健康増進に向けて大きな力を発揮できます。八王子みなみ野CRCでは、この考えに賛同してくれる施設・店舗さまと「FRIENDSHIP BOND」という取り組みを実施しており、地域にある飲食店と低糖質メニューの開発などにも取り組んでいます。

医師が目指す地域連携 互いの専門分野を活かしウェルネスな状態を目指す

新型コロナの感染拡大を経験して人々の健康への意識は高まったものの、日本は国民皆保険制度であるため、人々の病気や怪我の予防に対する意識はまだ低いです。健康を害してから後悔する方を減らすためにも、また増え続ける医療費を抑えるためも、八王子みなみ野CRCがハブ(中継地)となり、ほかの地域の運動施設や医療機関、さらには飲食店、農家の方をつなげ、人々の健康増進を促進する活動をこれからも続けていきます。人々が心身ともに健康で、充実した日々を送れるウェルネスな状態をつくることが、今の目標です。

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