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インドアゴルフ施設(ゴルフ練習場)の成功・失敗事例から学ぶ開業のポイント

2023.07.03

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インドアゴルフ施設(ゴルフ練習場)の成功・失敗事例から学ぶ開業のポイント

インドアゴルフ事業の成功と失敗を分けるポイントはどこにあるのでしょうか。hacomonoが2022年9月29日に開催したオンラインセミナーでは、ゴルフ事業のコンサルティングや施設運営を行う株式会社ONE Story 代表取締役社長の山﨑 博之氏と、インドアゴルフ練習場およびスクールの経営を行う株式会社GOLF studio K 代表取締役 吉田 圭一郎氏が、開業の成功事例と失敗事例をもとに「インドアゴルフ施設運営の成功法則」について解説しました。

INDEX

PROFILE

山﨑 博之 株式会社ONE Story 代表取締役社長

ゴルフビジネスプロデューサー。ゴルフコーチとしてスクールノウハウを研究した後、RIZAP GOLFをプロデュース。その後、ゴルフ練習場の支配人などを経て、独立。ゴルフビジネスのコンサルティングなどを行う株式会社ONE Storyを立ち上げ、既存練習場の新規来場者とリピータを増やす活動や、他業種からのゴルフビジネス参入に対して成功するステップを伝えている。

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吉田 圭一郎 株式会社GOLF studio K 代表取締役

2022年、香川県にインドアゴルフ施設「GOLF studio K」をオープン。広々とした空間にVIP打席を含む9打席を用意し、各打席にはシミュレーションマシンを完備。スキルアップからラウンドまで、それぞれの方の目的に合わせて快適に利用できるサービスを提供している。

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1. アフターコロナではインドアゴルフ施設と若手ゴルファーが増加傾向

ゴルフ練習場の傾向として、「関東や中部、関西などの人口が多い地域ではゴルフ施設が多く存在し、施設の傾向としては、 関東、特に東京ではインドアゴルフ施設が多く、それ以外ではアウトドアゴルフ施設が多い」と山﨑氏は語ります。

アフターコロナの傾向としては、インドアゴルフ施設の増加がありますが、その要因のひとつは、飲食店の撤退により空きテナントが増えていることが挙げられるそうです。飲食店業界は依然厳しい状況が続いているため撤退する店舗が多いことと、インドアゴルフ施設に必要な天井高3m以上、坪単価1万円程度という条件を満たす物件が多いためです。

インドアゴルフ施設の運営形態としては、コロナ禍以前はプロが会員を指導するスクール形態が多かったのですが、アフターコロナでは、ひとりで練習する練習場形態の運営が増えているとのことです。

また、矢野経済研究所の調べでは、コロナ禍に約60万人の新規および復帰ゴルファーが生まれているという結果があります。特に新規ゴルファーは20~30代の若い世代がゴルフに参加していることが顕著となっています。コロナ禍前から微増傾向にありましたが、リモートワークで余暇時間が増えたことと、換気が不要なアウトドアスポーツであることが後押しになったと推察されるようです。

2. 「わずか2ヶ月で約100名の会員獲得」店舗の差別化が成功した事例

インドアゴルフ施設の成功事例として、山﨑氏がコンサルタントとして携わり、吉田氏が経営を手がけるインドアゴルフ施設「GOLF studio K(以下、スタジオK)」について解説がありました。このケースでは、「開業初期の販促活動(集客施策)」と「人件費の抑制」に成功したことが要因とのことです。

スタジオKは、2022年4月に開業した施設で、3月のプレオープンと4月のグランドオープンの2ヶ月ほどの間に約100名の入会があったといいます。その間に実施した集客施策は、「新聞折込を店舗の半径約4km圏内に配布」「Instagram広告やFacebook広告を、香川県に絞って掲載」です。あわせて、施設の施工を担当した工務店が新聞広告を出稿してくれたので、その効果もあったのではないかと推察しているそうです。

入会動機として多かったのは、「動画でスイングを確認できる」「インドアゴルフ施設だと、天候に左右されずプレイができる」などです。冒頭で解説があったとおり、関東以外の地域ではアウトドアゴルフ施設の方が多い傾向にあり、スタジオKの周辺地域も同様であったため、インドア形態が大きくプラスになったといいます。アウトドアゴルフ施設に通っている人も、並行してスタジオKでレッスンを受けているそうで、差別化したポイントが、地域性にうまくはまった形になったようです。

スタジオKの詳細情報は、以下の通りです。

■店舗情報

開業時期2022年4月
開業地域香川県高松市
施設の広さ約90坪、9打席(VIP打席1、練習用打席1、レッスン用打席1)
シミュレーターGOLF NAVI
※スイング解析、インパクトゾーン確認、ヘッドスピード、ボールスピード、スピン、打ち出しなどを測定する機能があったため選定
営業時間平日13〜22時、土日9〜18時

■現在の収益構造

売上200万円/月(会費収入)
諸経費家賃、Web更新、hacomono予約システム、水光熱費など5~7万円/月
人件費0円(スタッフなし、吉田氏の一人運営)
外装・内装・
シミュレーター費用
吉田氏が施工したため、材料費のみ
利益20~30万円/月程度

■現在の状況

会員数レッスン会員約130名、練習会員約20名(2022年9月時点)
※内訳は、以下のとおり
男性7割、女性3割で40〜50代がメイン
ゴルフ経験者7割、未経験者3割
プラン月額通い放題
※平日夜が混雑していたため、時間帯で会員種別ごとに価格を設定
会員の平均利用回数2回/週程度
入会者6名以上/月程度
※販促はおこなっていないため、ほぼ会員による紹介
退会者5名/月程度
※インドア施設の退会率は平均5%程度だが、それを大きく下回る

3. 「開業1年間で会員数わずか78名」販促活動に失敗した事例

失敗事例として、山﨑氏は、2019年7月に自社のONE Storyで手がけた神奈川県横浜市の「Zuuum Golf元町中華街店」を紹介しました。このケースでは、成功事例のときとは反対で「開業初期の販促活動(集客施策)」と「人件費の抑制」の失敗が要因になったとのことです。

「Zuuum Golf元町中華街店」では、オープンからの1年間でわずか78名しか集客できず、会員数における損益分岐点を下回ってしまったといいます。そのため、会員数に対するスタッフやプロの人数が釣り合わなくなり、必要以上に人件費がかかる結果になりました。「居抜き物件だったため、あらかじめ顧客がいる前提で物件契約をした。その意識から、Webサイトの準備や販促活動をしないまま開業したのが敗因だった」と山﨑氏は分析します。

その後すぐに、Webサイトを活用した販促施策に注力する方向に舵を切り、MEO対策(MEOはMap Engine Optimizationの略で、地図検索で上位表示されるための対策を指す)、ゴルフスクールガイドへの掲載、SNS販促などを行ったそうです。店舗周辺は単身世帯用のマンションや高収入世帯向けのマンションが多い地域のため、ゴルフスクールを見つけやすくすることが重要だと考えたためです。その結果、最初の1年以降は、順調に会員数を伸ばすことに成功したといいます。

以上の事例を踏まえ、インドアゴルフ施設の開業に失敗しないためには、どういった対策を行うべきでしょうか。

山﨑氏は、次の2点が重要だと語りました。

・開業初期の販促活動(集客施策)

3ヶ月目までに損益分岐に達するように、初期販促にお金をかけること。

プレオープンの時点である程度の会員数を確保しておく必要があるため、開業前の早い段階から販促活動を計画し、実行に移すことが重要です。

・開業時の人員

開業時は、オーナーとプロの2名程度の人員で運営すること。

一度採用したスタッフの解雇は簡単にはできませんが、会員数の伸びにあわせてスタッフを増やすことは容易です。初期コストを抑えるためにも、オーナーを含む1〜2名程度の人員で開業するのがベストです。

4. 失敗しないインドアゴルフ施設をつくるためのポイント

経営が成り立つ(採算が取れる)インドアゴルフ施設をつくるための諸条件について、山﨑氏は以下のように解説しました。

  • 初期投資
    3,000万円程度
    ※物件費用、内装工事費用、シミュレーターなどの設備費用含む
  • 商圏人口の指標
    18〜20万人程度
    ※商圏の定義は、主な交通手段が車の地域では車で20分程度の半径約15km、都市部であれば半径約500m〜1kmが目安。
  • 施設の広さ
    40〜50坪
  • 打席数
    最低3〜4打席
  • 初期の販促活動(集客施策)
    東京などの首都圏:Web広告、SNSの活用
    首都圏以外の地域:新聞の折り込み広告、チラシのポスティング
    ※地域によって状況が違うため、調査を行ってから集客施策を考案する。
  • 継続率向上(退会率の低減)
    会員同士をつなげる施策が有効。
    同年代のコミュニティをつくり、コンペや飲み会、イベントの開催を企画する。
    中心となりそうな会員を幹事に指名し、オーナーはそのサポートにまわる。

仮に開業直後の集客に失敗したとしても、「Zuuum Golf元町中華街店」の例のように、その後正しい販促活動を行うことで、巻き返せるケースもあるようです。

開業前の方だけでなく、すでに開業していて経営状態の改善を考えている方も、記事の内容を参考に、施設の見直しや販促活動の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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