フィットネスクラブにとって、「お客さまや会員の退会率をいかに下げるか」は重要な課題です。集客に力を入れても退会率が高いと、経営は安定しません。
この記事では、フィットネスクラブの退会率を下げる方法について紹介します。主な退会理由から退会率を下げるための具体的な施策まで解説するので、ぜひ参考にしてください。
INDEX
1. フィットネスクラブの課題とは?
フィットネスクラブの主な収益源は、月々の店舗利用料やレッスン料です。これらの収益を増やすために取るべき施策は、大きく分けて「会員数を増やす」「顧客単価を上げる」の2つです。
しかし、いくら会員数を増やしても、退会率が高ければ会費収入の減少を食い止めることはできません。最大限の利益を得るためには、退会率を下げることが重要なのです。
1-1. 退会率の計算方法
会員制ビジネスの世界では、よく「チャーンレート」という言葉が使われます。このチャーンレートとは「解約率」、つまり退会率を表す言葉です。この退会率を定期的に数値化して把握することで、どのような対策を取り、実行していくべきかを明確にできます。
退会率の計算方法は次のとおりです。
退会率(%)=ある一定期間で失った会員数÷ある一定期間の会員総数×100
たとえば、3月当初の会員数が1,000人で、3月末の会員数が980人だった場合の退会率は「(1,000-980)÷1,000×100=2%」となります。
毎月の退会率を割り出すことで、退会者がどのような理由で退会しているかを予測しやすくなるでしょう。その予測をもとに解決策を考え、実行し、さらに考察することで、退会率を下げることが可能です。
2. フィットネスクラブの退会理由

月会費制のフィットネスクラブにおける主な退会理由は、次のとおりです。
- 時間が取れなくなった
- モチベーションの低下
- 効果を感じられない
- 引っ越しした
フィットネスクラブでの最も多い退会理由として、「時間の確保ができなくなった」が挙げられます。継続的に通おうと意気込んだものの、仕事や育児などが忙しく、通えなくなってしまったという方が非常に多く存在するようです。
「同じフィットネスクラブに通い続ける意欲が低下した」「運動に対するやる気が低下した」など、モチベーションの低下を理由に退会する方も少なくありません。
また、「継続的に通い続けたものの、効果を実感できなかった」「理想とする体型を目指せなかった」「トレーニングの方法が分からなかった」などを理由に、退会を選択する方も存在します。
そのほかにも、引っ越しや進学、転職などの環境の変化で退会を選択せざるを得ない方や、金銭的な理由から退会を余儀なくされる方もいます。
月会費制のフィットネスクラブは、通った分だけお得になるメリットがある一方で、通えないと月会費が垂れ流しになってしまうデメリットがあります。通いきれないことで無駄遣いをしてしまっていると感じて、退会を選択する方も存在します。
3. フィットネスクラブの退会率を下げるポイント
ここからは、フィットネスクラブの退会率を下げるために押さえておきたいポイントについて紹介します。
3-1. お客さまのニーズを把握する
フィットネスクラブを利用する会員やお客さまの価値観は、日々変化していきます。初心者だった方がレベルアップして、より難易度の高いレッスンやトレーニング機材を求めるケースも考えられるでしょう。日々変化する顧客ニーズをしっかりと把握し、それらに合わせて提供するサービス内容を見直していくことが求められます。
ここからは、把握した顧客ニーズをどのようにサービスに落とし込んでいくかについて解説します。
3-1-1. 機材の充実度の見直し
お客さまのニーズを反映するためには、フィットネスクラブに設営するマシンや器具の内容を見直す必要があります。初心者だけでなく、中級者や上級者のレベルに合わせた難易度の高めなマシンや器具を新たに導入することも前向きに検討してください。
マシンや器具だけでなく、レッスンプログラムの内容についてもあわせて検討・見直しが必要です。難易度別のクラスを作ることはもちろん、トレーニング内容を細分化したレッスンを提供することで、より多くのニーズを取り込めるでしょう。
3-1-2. 店舗スタッフのフォロー体制の見直し
フィットネスクラブを退会する方の中には、トレーニングマシンをはじめとするマシンの使い方や自分にあったトレーニング方法が分からずに退会される方が少なくありません。運動に不慣れな方や初心者の方に多い傾向があり、このような方への店舗としてのフォロー体制の強化が求められます。
入会すぐの会員や店舗の利用回数が減少している会員に対して、定期的なフォローを徹底することが大切です。できれば、そのような会員の方が来店された際に直接声かけをし、コミュニケーションを図るよう店舗スタッフ全員が心がけてください。会員の名前を呼んで声かけをし、どのようなトレーニングを希望しているか具体的にヒアリングすることで、安心感とやる気を与えられるはずです。店舗スタッフ一人ひとりの行動によってフォロー体制を充実させ、退会率の低下につなげていきましょう。
3-1-3. 価格やレッスン、プログラム内容の見直し
提供するレッスン、プログラムの内容や料金体系を見直すことでも、退会率を下げることができます。お客さまからのフィードバックをもとにサービス内容を改善することで、顧客のニーズにマッチしたサービスを提供できるはずです。
ただし、不用意な価格改訂やサービス内容の見直しは、店舗の存続にも大きく影響を与えかねません。自店舗の課題をしっかりと調査して見極めたうえで、適切な対策を講じることが大切です。
3-2. 顧客ニーズの把握にはアンケートの実施も効果的
自店舗のターゲット層が、「どのようなことに悩んでいるか」「どのような課題を解決したいと考えているか」を明確にするためには、彼らのニーズを把握する必要があります。
顧客ニーズを把握するためには、Googleなどの検索ツールを活用してリサーチして、関連キーワードなどから探ったり、口コミサイトを参考にするなど、さまざまな方法があります。
そのなかでも、すでに店舗を利用している会員やお客さまに対してアンケートを実施する方法がおすすめです。現状のサービス内容に対する満足度や、改善すべきポイント、さらには店舗に対して期待することなど、お客さまが感じている内容をありのままヒアリングするよう意識してください。アンケートは定期的に実施することで、顧客のニーズの変化にいち早く気づけるだけでなく、会員やお客さまのエンゲージメントを高めることにも効果を発揮するでしょう。
3-3. 会員やお客さまが使いやすい予約管理システムの導入
最近では、フィットネスクラブに特化した予約管理システムを導入する店舗が増えています。予約管理システムは、会員やお客さまの退会率軽減に大きく貢献しています。予約管理システムというと、レッスンを予約する際にしか使わないと思われがちですが、実は予約機能以外にもさまざまな機能が搭載されているのです。
たとえば、予約管理システムに連動した会員アプリを設置することで、電子会員証を発行できたり、あらゆる手続きもオンライン上で完了したりと、お客さま側にさまざまなメリットがもたらされます。
予約システムは、会員やお客さまにとって予約のハードルが低くなるため、リピート率の向上にも大きく寄与します。電話や来店による予約をする必要がなくなるため、気軽な気持ちで利用し続けることが可能です。会員やお客さまが利用しやすく、自店舗のサービスにマッチした予約管理システムを導入することで、会員の退会率を軽減する効果が期待できるでしょう。
3-4. +αの情報を発信する
会員やお客さまの退会率を低下させるためには、フィットネスクラブに通い続ける価値を伝え続けることが大切です。そのためには、自店舗が提供しているサービスが、会員やお客さまにどのようなよい影響を与えているかがわかる「+αの情報」を発信し続ける必要があります。
定期的に、知って得する情報をメルマガやニュースレター、SNSなどで発信することで、運動に対するモチベーションを高める効果が期待できます。
実際に通っている会員やお客さまにインタビューを実施し、記事にして掲載したり、ニュースレターをチェックした人だけに限定した特典サービスをつけたり、より多くの会員やお客さまに対してアプローチできるように工夫しましょう。
4. フィットネスクラブの退会率を下げるための具体的な施策

フィットネスクラブの退会率を下げるためには、より多くの会員やお客さまの店舗利用回数を増やすことが大切です。利用回数を増やすことで、自然と退会率は低下すると統計学上でも確認されています。
店舗の利用回数を増やし、退会率を下げるための具体的な施策として「PDCAサイクル」と「OODAループ」の実行が挙げられます。ここからは、2つのサイクルの活用方法について解説します。
4-1. PDCAサイクルの実行
PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字をとった言葉。4つのサイクルを繰り返し行うことで、継続的な業務改善を促すという考え方です。PDCAサイクルを導入した例をご紹介します。
- Plan(計画):会員の利用回数を増やすために、新しいマシンの導入を検討する
- Do(実行):新しいマシンを5台導入する
- Check(評価):3ヶ月後の退会率を割り出したが、数字に大きな変化なし
- Action(改善):マシンの設置位置の変更を検討する
このように、繰り返しPDCAサイクルを実践することで、会員やお客さま目線での店舗運営を実現できます。よりよいサービスを提供するためには、このPDCAサイクルの実践が必要不可欠です。
4-2. OODAループの実行
OODAループとは、PDCAサイクルと同様に、Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(実行)の4つのステップに分かれています。新型コロナウイルスの流行や自然災害の発生など、フィットネス業界を取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、その状況に応じた素早い判断と意思決定が求められているのです。
計画からスタートするPDCAサイクルよりも、現場の観察から始まるOODAループのほうが即効性があるため、「現場の実態に即した対策を講じられる」と注目されています。現場の声をすぐに反映させたい場合に活用していきたい手法といえるでしょう。
5. まとめ
フィットネスクラブの退会率を下げるためには、「会員やお客さまのニーズをしっかりと把握すること」「会員やお客さまが使いやすい予約管理システムを導入すること」「会員やお客さまにとって有益な情報を定期的に発信し続けること」などの対策が有効です。
会員やお客さまに寄り添ったサービスを提供し続け、エンゲージメントを高めることで、店舗の利用回数を増加させることができます。退会率を下げるためにも、自店舗のサービスに適した具体的な施策を検討することが大切です。