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Web予約でレッスン参加率・売上増加!メリット・デメリットを具体例を交えて解説

2023.07.03

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Web予約でレッスン参加率・売上増加!メリット・デメリットを具体例を交えて解説

コロナ禍により、フィットネス業界は会員数が減り打撃を受けました。その一方で、感染予防の観点からデジタル化が進んだことで、運営の効率化と、お客さまの利便性向上を同時に実現し、少しずつ会員数を取り戻している施設もあります。なかでも、“三密”の原因となっていた、参加待ちの列が発生しやすいスタジオレッスンにおいてWebでの予約化を実施した施設は多いですが、スタジオレッスンへの参加率や売上にはどのような効果があるのでしょうか。2022年12月26日にオンライン開催したセミナーにて、スタジオをWeb予約化した総合フィットネスクラブ、B-fit千里中央の店舗責任者 隅内勝起氏に、Web予約化のきっかけやその効果についてお話しいただきました

INDEX

PROFILE

隅内 勝起 株式会社ビーバーレコード フィットネス事業部 B-fitスポーツクラブ千里中央 店舗責任者

大手総合フィットネスクラブでパーソナルトレーナーとして指導を行いながら、16店舗の店舗管理業務やトレーナー養成研修、新店の立ち上げなどを担当。2018年からはB-fitスポーツクラブ千里中央店の店舗責任者として店舗の運営管理を担いながら、現在もパーソナルトレーナーとして複数の会員さまへの指導のほか、スタジオレッスンを担当している。

公式Webサイトはこちら

横溝 導章 株式会社hacomono Sales Div 戦略顧客チーム

大手総合フィットネスクラブでインストラクターとして活躍した後、本部へ移動。セールス担当としてニュージーランド発のプログラム「レズミルズ」の販売に従事し、世界No.1の売上を達成する。フィットネス業界での豊富な経験を活かして2022年からはhacomonoのセールスチームにて、販売戦略の立案などに取り組んでいる。

公式Webサイトはこちら

※所属や役職、記載内容はセミナー開催当時のものです。

1. 調査データから見るスタジオレッスンの現状と参加者の属性

フィットネスクラブのなかでも、業態により参加者の年代が異なることがわかっています。総合フィットネスクラブは50代女性、24時間型ジムは20~30代の男性、ヨガ・ピラティススタジオは20~40代女性が多いなど、年代によってニーズが異なり、それぞれが自身に合った業態を選択していると推察されます。

B-fit千里中央は在籍者の平均年齢が56歳、スタジオレッスン(以下、スタジオ)参加者の平均年齢が58歳です。若年層も参加していますが、高齢層が多く、長く継続している方が多いため平均年齢も高くなっています。男女比は在籍者もスタジオ参加者もおよそ3:7と女性が多いですが、レッスンごとに傾向が異なります。ヨガやダンス系レッスンの参加者はほとんど女性ですが、格闘技系レッスンなどは男性も多く参加しています。

hacomonoが複数の総合フィットネスクラブを対象に実施した調査(調査期間:2022年1月1日〜3月31日)の結果からも、60代のスタジオへの参加率が高く、スタジオ参加者の在籍期間は5年以上継続している方が7割弱と、他の年代に比べて継続率が高いことがわかっています。

1-1. スタジオレッスンの課題

スタジオレッスンにおける参加率・売上に関する現状の課題としては、B-fit千里中央に限らず、経営層・マネジメント層から見て、①レッスンが経費削減の対象になる、②レッスンの位置づけが低い、③インストラクターを取り巻く環境の悪化、④会員のレッスン離れなどが挙げられます。

①レッスンが経費削減の対象になりやすい

コロナ禍で打撃を受け、経費削減のために、インストラクターがいないバーチャルレッスンやフリーインストラクターではなく店舗スタッフによるレッスンへの移行が進んでいます。また、換気や消毒などのためにレッスンとレッスンの間隔を空ける必要があることから、レッスン時間の短縮、レッスン本数の減少などの対応を行うクラブも多くあります。

②レッスンの位置づけが低い

集客できているレッスンでも、インストラクターに対するキャパシティが限られていることから、利益を生み出さないものと位置づけされてしまう傾向があります。しかし、コロナ禍でDXが進む一方、コミュニケーションの重要性も高まっていることから、認識が見直されてきています。

③インストラクターを取り巻く環境の悪化

インストラクターフィーが減少していることから、インストラクター業だけでは生活が成り立ちにくくなり、若い人材が育成されにくくなっています。年齢層が高くなる一方、若年層を育てる機会が減り、優秀なインストラクターが不足しています。

④会員のレッスン離れ

コロナ禍によりレッスン数が減少し、レッスンへの参加者が減っています。これに伴い、クラブの継続率にもマイナスの影響が出ています。

これらの課題を解決するための施策のひとつとして、Web予約化は有効なものだと考えられます。

その理由について、実際のB-fit千里中央の例をご紹介します。

2. Web予約化のきっかけと課題

B-fit千里中央ではコロナ禍以前、人気のレッスンは予約券を求めて、予約が可能となるレッスンが開始する1時間前から列ができていました。特定の位置で受けたい方は、予約券入手後もそのまま並んで待機していましたが、新型コロナの感染拡大により、密集につながることから待機列が発生する事態を解消する必要がありました。付随して、待機している間、お客さまはせっかく施設に来ていながらジムでの運動などほかのことができないという点や、早めに来館して並んでも、レッスンが定員に達していて受講できないケースがあるなど、お客さまの満足度が下がってしまうという課題もありました。

そこで、まずは予約券を発行した順に入場できる方式に変更しました。予約券自体を求める待機列は解消されないものの、入手できたお客さまは入場が始まるレッスンの開始10分前まで、ジムで運動をしたり休憩スペースで仲間と談笑するなど、自由に時間を使うことができるようになりました。

そして2022年には「hacomono」のWeb予約を導入したことで、予約券を求める待機列自体も解消されました。さらに、お客さまは来館せずにレッスンへ参加可能か否かが把握できるようになったうえ、予約時にスタジオ内の好きな位置まで指定できることで、「参加したいけれど一番前の列しか空いていなかった」などのことがなくなり、スタジオレッスンが初めての方でも安心して参加できるようになりました。現在は、高齢者の利用が多い平日17時までは従来通り予約券を発行し、平日17時以降の時間帯や土日祝は「hacomono」のシステムを活用しています。平日の午前中でも若年層の参加が多いプログラムについては、今後Web予約に変更していくことも検討しているところです。

一括でシステムを導入するのではなく、お客さまの利便性を第一に考え、年齢層に合わせて柔軟に対応しています。

3. 「hacomono」を使った予約管理の運用方法

B-fit千里中央は、2022年7月から「hacomono」のシステムを使って、スタジオとパーソナルトレーニングのWeb予約の運用を始めましたが、お客さまからの要望を受け、運用開始前に1ヶ月間のテスト期間を設けました。この期間に、スマホ操作が苦手な方などに使い方を説明したり、アプリのダウンロードや初期設定などをスタッフが行ったりしました。

お客さまは、希望するレッスンの2週間前の18時から予約ができ、同時予約は10本までとしています。18時開始にした理由は、スタッフがいて、かつ夜のレッスンが始まる前の時間で対応がしやすいこと、朝が早い方でも就寝前の時間帯であることから決めました。最大同時予約本数に関しては、他クラブを参考に当初6本にしていましたが、お客さまから増やしてほしいという要望が多数あり、現在は10本にしています。

3-1. 「hacomono」導入後のメリット・デメリット

「hacomono」を導入後、どのようなメリット・デメリットがあったのか、経営者(管理者)・現場スタッフ・インストラクター・お客さまのそれぞれの視点でご紹介します。

3-1-1. 導入後のメリット

・経営者(管理者)

レッスンへの参加状況がリアルタイムかつ一目でわかるようになりました。参加人数の把握だけでなく、個人情報と紐づけられるようになったことで各レッスンの男女比や年齢層の違いなども把握できるようになり、レッスン内容や提供する時間帯の見直しなどに役立ちました。

・現場スタッフ

レッスンごとに行っていた予約券の回収が不要になったり、予約に使用していたリストバンドへの登録や回収・消毒などが不要になるなど、業務の手間が減りました。

また、タブレット上で人気レッスンが一目でわかるようになり、お客さまへのご案内がしやすくなりました。入会の案内時にも、リアルタイムで各レッスンの混雑具合を確認しながら、空きがある中からおすすめのレッスンを紹介でき、重宝しています。

・インストラクター

自身のレッスンに参加しているお客さまがわかるため、レッスン中にお名前で呼ぶことができるようになりました。お客さまとインストラクターのつながりをつくるのに役立っています。事前に初心者の方の位置を把握して対応することもできるので、便利です。

また、他のインストラクターが担当しているレッスンの予約状況も一目でわかるため、「自身のレッスンにも集客しなければ」というモチベーションにつながっています。

・お客さま

参加できるレッスンが事前にわかるため、予定を立てやすくなったと思います。レッスンが始まる前にわざわざ並ぶ必要もなくなったので、レッスンの直前に来館したり、開始時刻までほかのトレーニングをしたりと、時間を有効活用できるようになりました。

事前に好きな位置を選べるようになったことで、初心者でも安心して参加することができるようになったと思います。ありがたいです。

3-1-2. 導入後のデメリット

・経営者(管理者)・現場スタッフ

ハードの面では、タブレットを複数用意することが必要になりました。

運用面では、運用開始当初はスマホが使えない方の設定を行ったり、システムの使い方を説明するのに時間がかかっていました。しかし、半年以上が経った現在では、お客さまも慣れたため、スタッフに負担がかかることはほとんどありません。

・お客さま

スマホを持っていなかったりガジェットの使い方がわからない、苦手という場合は、システムを使うのに一定のハードルがあります。B-fit千里中央では、平日午前中は予約券での運用なので、安心して通えます。運用開始当初にスタッフさんから教えてもらって使えるようになったり、家族のサポートがあって利用できている人もたくさんいるみたいです。スマホを使えない場合のフォローとして、店舗のタブレットからも予約できるようになっているので便利です。

4. Web予約を導入したことで、新たな収益効果

Web予約を始めてから、スマホの操作が苦手な方から「お金を払ってもいいから、参加できるようにしてほしい」というご要望がありました。ほかの方より予約操作に時間がかかってしまうため、今まで参加していたレッスンの定員の締切りに間に合わなくなってしまったのです。

そこで、5つの人気レッスンについて、定員の2割分の有料枠を設けることにしました。1レッスン300円で、翌月末までのレッスンを1人最大3枠まで予約できるように変更しました。

反対意見もありましたが、スマホなどの機材の操作が苦手な方も、Web予約を受け付けている人気レッスンに参加できることは重要だと考えています。実際に、有料枠を利用している方には満足していただけています。また、この施策により、1ヶ月5万~6万円ほど売上がアップしました。

当初、Web予約化には不安もありましたが、導入後は、導入前の2022年6月比で116%、昨年比で127%と、スタジオレッスンへの参加者は確実に増えています。この増加の理由としては、コロナ禍が落ち着き、減らしていたレッスンの定員数を元に戻したことも一因となっています。

また、課題としていた初心者のレッスン参加率も、以前より増加傾向にあるといいます。

また、B-fit千里中央では行っていませんが、収益向上施策として、Web予約はすべて有料化、先行予約枠の拡大、他社ではインストラクターへの投げ銭などの方法もあります。

これまで会費の一部として利用することが当たり前だったスタジオレッスンのスタンダードが、別途、きちんと利用料をいただくかたちに変わっていく流れが生まれつつあります。

5. 今後の取り組み

「hacomono」の運用開始以降も、お客さまのご要望をもとに運用方法を改善しています。合わせて、より運用しやすく、お客さまの満足度を向上させるための施策も実行・検討しています。具体的には、以下の通りです。

・レッスンへの当日参加対応

すでに月の上限までWeb予約をされているお客さまに対して、予約していないレッスンへの当日参加の対応を、2022年12月からスタートしました。該当レッスンの10分前にスタジオ前で空き状況を確認し、空席があれば参加できることにしています。スタッフが都度対応していますが、需要の高いレッスンは限られているので、運用コストはそれほどかかっていません。

・有料パッケージの導入

前述した有料枠の精算は、現状、フロントでの都度払いとしています。お客さまやフロントスタッフの手間を減らすために、有料枠数によってパッケージ化して、月会費として引き落とすことを検討しています。

・有料レッスンの開催

人気のあるレッスンについては、スクールのようなかたちで、定期的に有料レッスンを開催していきたいと考えています。

・マーケティングの強化

スタジオの利用促進を行うために、レッスン参加者のデータの収集・分析を強化していきます。分析した情報をもとに、キャンペーンやレッスンプログラムの選定などを行っていく予定です。

6. 総合フィットネスの強みとは

DXが進むなか、スタッフの滞在時間が短いクラブや無人のクラブも増えています。しかし、コロナ禍の影響で他人との接触機会が減少し、施設にはコミュニケーションを求めて訪れる方もいます。また、継続率を向上するうえでも、コミュニケーションはとても重要な要因です。「スタジオにスタッフがいる」ということは、総合フィットネスクラブの強みのひとつになるのではないでしょうか。

なかでも、スタジオレッスンはお客さまと接する時間が長く、関係構築ができる絶好の機会でもあります。DXを進めると同時に、お客さまとのコミュニケーションを強化していくことが、総合フィットネスクラブに求められているのではないかと思います。

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