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フィットネスクラブのDXによる省人化の方法と成功事例

2023.07.03

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フィットネスクラブのDXによる省人化の方法と成功事例

コロナ禍に加えて人材不足が進むなかで業績を伸ばすためには、店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)による省人化に取り組む必要があります。対面でのコミュニケーションが多いフィットネスクラブにおいて、DXの特徴である非対面・非接触のオペレーションは実現するのでしょうか。2021年10月20日実施のオンラインセミナーにて、テクノジムジャパン株式会社 西沢 朋樹氏とLes Mills Japan 合同会社 野邉 和輝氏が、店舗のDX実現に向けた取り組みについて解説しました。

INDEX

PROFILE

西沢 朋樹 テクノジムジャパン株式会社 CLUB事業部 エリアセールス部長

2010年テクノジムジャパン入社。2016年と2018年にはテクノジムのグローバルトップセールスを受賞。異業種からフィットネス業界への新規参入を50社以上経験した施設づくりのプロ。2020年より現職。

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野邉 和輝 Les Mills Japan 合同会社

2000年1月大手スポーツクラブにてアルバイト入社し、フィットネス業界に従事。同スポーツクラブで契約社員、正社員、フィットネスマネージャーを経験し、2016年12月より現職。年間200クラブ以上の顧客と情報交換し、課題解決やビジネスのサポートに従事する。

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1. フィットネス業界における省人化の現状

コロナ禍の影響で、あらゆるサービス業の接客シーンにおいて非対面化・非接触化が求められたことにより、以前よりも店舗のDXやそれに伴う省人化が加速しています。対面サービスで価値を提供してきたフィットネスクラブも例外ではありません。

中小規模のフィットネスクラブでは、人材育成の難しさから、デジタルを最大限に活用する店舗が多い傾向にあります。一方で、大手の総合フィットネスクラブでは、デジタルでできる部分はデジタル化し、人間でないと難しい部分は人が担うといった複合型の運営形態が多く見られます。

省人化すると、デジタル機器の操作が苦手なお客さまへの対応が難しいのではないかと思われるかもしれませんが、省人化された店舗であっても、一般的に1、2名のスタッフは常駐しているため、問題になるケースはほとんどありません。

提供サービスについては、コロナ禍以前はインストラクターが大勢のお客さまに向けて店舗内で提供していたグループエクササイズプログラムを、録画された映像を流すバーチャルプログラムとして少人数に提供するケースが増えています。

店舗内でプログラムを提供していた時は、シニア層やフィットネス初心者の方から「強度が高いプログラムには参加しづらい」「人に見られるのが恥ずかしい」などの声が聞かれ、参加率が低い傾向にありました。しかし、バーチャルプログラムを導入してからは、マイペースに取り組め、インストラクターもいないため、シニア層やフィットネス初心者の参加率は上がる傾向にあります。「BODYCOMBAT™」や「BODYPUMP™」など、強度が高めなプログラムに対して、シニア層が挑戦するケースも出てきています。

グループフィットネスプログラムの一種である「Les Mills(レズミルズ)プログラム」に焦点を当てると、プログラムを導入しているクラブ約1,000店舗のうち、LES MILLS Virtual™️を導入しているクラブは約380店舗と全体の約3分の1を占めます。さらにその半数を超える約200店舗では、リアルで実施するプログラムは導入しておらず、LES MILLS Virtualのみを導入している状況です。

設備面では、映像モニターを取り付けた筋トレマシンを導入する店舗が増えています。モニターでトレーニング方法を見られるため、インストラクターやトレーナーが案内をしなくてすむのが特徴です。お客さまの平均年齢が59歳のとある総合フィットネスクラブでは、モニターの映像による指導で、現場のレベルが上がったといいます。インストラクターやトレーナーのオペレーション負担や研修時間が減り、人にしかできない仕事に注力できるようになったためです。

2. フィットネスクラブの省人化を実現するための工夫

省人化を実現している革新的なフィットネスクラブや省人化実現につながるテクノジムのAIマシン「バイオサーキット」、グループフィットネスプログラムの「Les Mills」のバーチャルプログラムを紹介します。

2-1. フィットネスクラブの事例

・フィットネスクラブ「ジム・スタジオ型クラブ A」

約100坪のジムとスタジオがある施設ですが、1人または2人での運営体制を構築し、省人化を実現しています。チェックインにhacomonoのシステムを活用し、ジムにはバイオサーキットを導入、スタジオではLes Millsのバーチャルプログラムを展開しています。オープン時に600名を超える集客に成功し、省人化しても集客には影響しないことを証明している店舗といえるでしょう。

・24時間型フィットネスクラブ「フィットイージー」(全国約50店舗※)

顔認証システムでチェックインを行うことで、省人化を実現しています。また、一部店舗のスタジオやフリースペースで、Les Millsのバーチャルプログラムを展開しています。24時間型クラブは、これまでお客さまの約9割が男性でしたが、レッスンプログラムの導入によって女性の割合が増えています。

※2021年当時

2-2. AIマシンの例

・バイオサーキット

負荷やシート位置をすべて自動調節できるAIマシンです。もともと日本ではメディカルフィットネスの領域から導入が始まりました。「初動の負荷を0に抑える」「負荷が関節にやさしい」「負荷やシート調節を自分でしなくていい」などの特徴から、フィットネス初心者やシニア層からアスリートまで、手間なく、最適な負荷でトレーニングをすることができます。

テクノジムの運動管理システム「マイウェルネス」と連携させることで、トレーニング履歴を管理することもできます。一度システムにログインすれば、マシンの負荷やシート位置を自動で調整し、トレーニング中に適切なスピードや可動域をガイドしてくれます。そのため、カウンセリングや効果測定も、短時間かつワンオペで実現できます。実際に、バイオサーキット専門のジムや総合フィットネスクラブのクラブインクラブとして展開している店舗もあります。

2-3. LES MILLS Virtualの例

このプログラムは、2018年に日本での展開が始まりました。当初、総合フィットネスクラブにおいて、深夜やアイドルタイムにお客さまのニーズを満たすために導入されることを想定していましたが、24時間型クラブの出店の加速とともに、そちらへの導入が増えています。その理由として、コロナ禍において飛沫感染のリスクの低いバーチャルプログラムのニーズが高まったことや、省人化でスタジオを運営することへのニーズが挙げられるでしょう。

インストラクターが行うプログラムのほうが集客できますが、バーチャルプログラムだけで経営に成功しているフィットネスクラブもあります。例えば、収益構造上、来館者の3割がスタジオを利用している状態を目安としたとき、一日中レッスンを開催し、各クラスに平均2人の受講者がいればペイします。インストラクターが行うレッスンと併用すれば、受講者なし、もしくは1人のクラスがあっても成立します。あまりにもこれを下回っているクラスが多い場合には、Les Millsがタイムテーブル分析を行い、導入プログラムを再検討する場合もあります。集客が難しい時間帯やインストラクターの採用が難しい地域において、特に有意義に活用できるプログラムだといえます。

3. 既存のフィットネスクラブにおける省人化の方法

すでに開業している店舗においても、入会手続きや入退館の管理は、hacomonoのような管理システムによって省人化することが可能です。特に、24時間型ジムやインドアゴルフでの利用が広がっています。

トレーニングに関しても、トレーナーが常駐しなくてもデジタルで補うサービスが増えているため、導入を検討するのもいいでしょう。テクノジムでは、同社以外のマシンでもアプリとマシンにQRコードを設置することで、目的に沿ったトレーニングプログラムがわかり、トレーニング履歴も残せるサービスを提供しています。また、24時間型ジムでは、フリーウエイトを使わない初心者の退会率を下げる、初心者定着のための施策として、アプリを使った適切なトレーニングプログラムの案内を行っている店舗もあります。

前述のとおり、バーチャルプログラムは、インストラクターを育成しなくても展開できるため、導入しやすいのが特徴です。スタジオがない店舗でも、省スペースで展開できることが魅力のひとつです。スタジオがあっても、すべてのクラスをインストラクターが行うのは難しく、空き時間が生まれてしまっているフィットネスクラブもあると思います。そういったケースでも、バーチャルプログラムを導入することで、タイムスケジュールを充実させることができます。

4. 業績を伸ばすために「店舗のDX」が求められる時代

コロナ禍前の総合フィットネスクラブでは、10~15人程度の人員で運営しているケースが多く見られました。しかし、コロナ禍以降は、フロントが無人の店舗が増え、スタッフも削減傾向にあります。少人数で、お客さまにとって価値のあるサービスを提供することが求められているといえます。

また、店舗のDXは省人化だけでなく、新たな付加価値の提供につなげることもできます。例えば、テクノジムのプラットフォームで、Les Millsのオンデマンドコンテンツを提供するサービスを始めたフィットネスクラブもあります。マシンをデジタル化することにより、「お客さまの運動履歴を管理しやすくなる」「オンデマンドのレッスンをフィットネスクラブの外でも受けられる」など、お客さまがより便利に、かつより健康になるサポートが可能になります。

フィットネスクラブの増加に反比例して人材不足が進み、今後さらにインストラクターやトレーナーの確保が難しくなっていくことが予想されるため、店舗のDXによる省人化はますます重要になっていきます。また、デジタルネイティブ世代と呼ばれる人々が大人になると、デジタルを活用したサービスは現在よりも増え、主流になっていくと考えられます。店舗のDXに消極的なフィットネスクラブも、継続して業績を伸ばしていくためには、少しずつでもデジタル化を進める必要があるのではないでしょうか。

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