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7年連続「健康経営優良法人」に選出されたルネサンスの健康経営戦略とは

2023.11.27

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この記事は、2回に分けてお届けします。

少子高齢化にて労働人口の減少が危惧される昨今、重要視されているのが人的資源です。この人的資源を活用するために重要となってくるのが、従業員の健康に寄与する「健康経営®」。2017年より健康経営優良法人の認定も始まりました。7年連続で「健康経営優良法人~ホワイト500~」に選出された株式会社ルネサンスの健康経営戦略を率いる樋口毅氏に、ルネサンスが取り組む独自の健康経営についてうかがいました。

INDEX

PROFILE

樋口 毅

株式会社ルネサンス 執行役員 健康経営企画部 部長/健康経営会議実行委員会 事務局長/健康長寿産業連合会 事務局長/NPO法人健康経営研究会 理事/経済産業省 健康投資ワーキング委員/厚生労働省スマート・ライフ・プロジェクト委員/スポーツ庁スポーツエールカンパニー認定委員会委員 など

順天堂大学大学院 健康・スポーツ科学研究科修士課程修了。トッパングループ健康保険組合、凸版印刷株式会社などを経て現在に至る。「働く人の健康」をライフワークとして活動中。

公式Webサイトはこちら

1. 社長がCHO(最高健康責任者)を務めるルネサンスの健康経営戦略

株式会社ルネサンスは、現在7年連続で「健康経営優良法人2023~ホワイト500~」に認定されています。弊社では2013年から、健康経営の普及啓発を目的とする「健康経営会議」を事務局会社として主催しております。改めて、健康経営を推進する立場としても、自社の健康経営にきちんと向き合うべき、ということで2016年から、従来からの取り組みを拡充して、本格的な取り組みをスタートさせました。社長が新たにCHO(最高健康責任者)となり、健康経営推進委員会を設置して、各事業本部の責任者が推進委員としての役割を担っています。

弊社では、もともと「生きがい創造企業」という企業理念を掲げていたことから、お客さまやスタッフ、お取引先など、関わるすべてのステークホルダーに対して、「人を大切にする企業」としての文化が定着していました。その結果、健康経営に取り組む際にも、社内の理解浸透は早かったと思います。また従業員に対しては、求める人材像として5つのテーマを掲げているのですが、その中でも上位の概念が「健康」であることからも、弊社の経営戦略と健康経営は、親和性がとても高かったと思います。

ルネサンスのシンボルマークは「Renaissance」を象徴したマークです。「Renaissance」の「Re」をモチーフとして元気な二人の人間を表現しています。この二人はお客さまとお客さまを支えるルネサンスのスタッフです。また、お客さまの生まれ変わりのイメージ像でもあり、ルネサンスを通じてお客さまが新しい自分を発見することの喜びを表現しています。さらには、お客さまの親子であったり夫婦であったり、友だち同士であったりと、はつらつとしたいろいろな関係を表しています。私たちは、事業を通じて、ルネサンスに関わる全てのスタッフが、健康を通じてお客さまの生きがいに伴走していくことができる力を磨いていくことが何よりも重要だと考えています。このようにスタッフという大切な資源を資本に転換するための重要な経営戦略の一つが、健康経営と言えるでしょう。

2. 法定義務の範囲を超えて健康経営戦略のキーとなった「健康診断」

従業員の健康を資本に転換するための一つの取り組みが、健康診断結果のデータベース化です。具体的にどのように活用しているかというと、定期健康診断の受診や、「再検査」や「要精密検査」となった従業員の再検査などの受診率を100%にすることを目指しています。再検査を受けずにいたために病気が重症化してしまうといった健康被害を防ぐことはもちろん、お客さまに対して、健康を通じて「生きがいを創造する」ためには、自らがプロフェッショナルとして、健康リテラシーを高め、正しい健康行動を起こすこと自体が目的です。健康診断で「再検査」が必要となった場合、社長からの手紙を健康診断結果に同封することで再検査受診を奨励し、再受診後に「受診完了報告書」を提出する仕組みが整備されています。人事部からだけではなく、上司の理解と支援を得ながら、要受診者となったメンバーに対して再検査受診を促す取り組みも行われています。

データベース化を進めたことで、従業員の健康診断の予約状況を確認することもできるようになりました。弊社では4〜6月の3ヶ月間に健康診断を受診するように期限を設定していますが、そもそも予約すらできていない場合は、時間的な余裕がないなどの、仕事や家庭で何らかの問題があり、サポートが必要な場合があるかもしれません。予約状況の把握を通じて、仕事の仕方や、上司や同僚からの支援を見直すきっかけにしていきたいと考えています。今後は、健康診断結果、勤怠、ストレスチェック、ワークエンゲージメント(メンタル面での健康度。仕事に関して活力・熱意・没頭の3要素が揃った状態)や、プレゼンティーイズム(健康問題のために生産性が低下している状態)のアンケート結果などデータを職場ごとに見える化できるようにしていき、管理職が部下を支援するためのツールとして展開していきたいと考えています。

さらに管理職に向けては、2022年度から職場の健康からマネジメントを実行する「ヘルスマネジメント研修」をスタートしました。研修を通じて、メンバー一人ひとりの心身の健康を守るために必要な仕事の進め方について、管理職自らが考え、学ぶ機会を提供しています。私たちが社内で展開する研修プログラムの多くは外部研修サービスではなく、オリジナル研修の開発に取り組んでいます。これは、当社にとって必要な健康経営施策を商品として、社外にサービス提供していくことをゴールにしているからです。各研修プログラムについては、日本でもトップクラスの有識者とのパートナーシップのもと、開発に取り組んでいます。また健康経営に関する各施策の詳細については、毎月3時間、当社の統括産業医である、NPO法人健康経営研究会 岡田邦夫理事長との面談を行い、人事労務チーム、健康管理チーム、商品開発チームが連携しながら、毎月のテーマに沿ったコンサルティングを受けています。

健康経営の施策については、年間でのスケジューリングも含めて仕組みと仕掛けをつくり、展開しています。まず、健康診断は、実施期間を通年ではなく4〜6月に限定しています。このことで7〜9月の間には健康診断結果に関わるデータを集約でき、就業制限が必要な従業員への対応や、要再検査となっていて未受診の従業員には受診勧奨の取り組みが可能となります。その後、10月以降は従業員の健康増進を目的に、健康リテラシー向上のセミナーや、「カロママプラス ルネサンスカップ」というアプリを活用した健康イベントを実施しています。このように健康診断を起点に年度を通じたイベントスケジュールを策定し実行することで、主催する事務局にとっても従業員にとっても、それぞれの時期に必要なテーマを選択し、集中して取り組むことができるようになりました。

健康診断結果やストレスチェックなどの心身の健康に関するデータは、プライバシーにかかわる重要な機微情報と認識し、その取り扱いには十分に注意しています。具体的には、統括産業医の指導のもと、これらのデータへのアクセスについては権限を決めて、適切に管理を行っています。例えば、「健康診断結果に就業制限が必要なケース」や「健康上に問題があるにも関わらず再受診をしていない」など、就業上の措置が必要な場合にも、管理職には、どのような検査結果や健康上の問題があるのかという、その内容については決して開示しません。内容は伏せた状態で、単純に「就業制限対象者」であったり、「再検査未受診者」などの「対象者」であることのみを通知するようにしています。このようにリスクマネジメントの観点から管理職が見るべきデータと、決して見てはいけないデータの権限をしっかりと設定して対応しています。

3. それぞれの「健康目標」を掲げて取り組む従業員

先ほど、弊社では求める人材像に「健康」というテーマを挙げていると言いましたが、ここで求める「健康」は、基礎疾患や心身に障害があり、健康状態が低い方を排除するというような意図では決してありません。人事評価制度に「健康に対する目標達成」も項目として挙げていますが、一人ひとりの体力や健康度には違いがありますから、目標設定に統一の基準はありません。「フルマラソン完走」や「健康診断結果の改善」と、それぞれが目指すゴールを掲げて、健康増進を図っています。

ただ、「健康」を求めるという意味では、弊社では、喫煙については明確なポリシーがあります。採用時にも喫煙者は採用しないと明示していますし、タバコには副流煙による受動喫煙の問題などもあり、自他の健康を害するものですから、就業時間はもちろん、移動時間、休憩時間は禁煙にすることを就業規則で定めています。こうしたポリシーについては、健康をお客さまに届けるプロフェッショナルとして、当たり前に求めるべき行動として、社内の風土醸成に努めています。健康をビジネスにする私たちが、お客さまの前でタバコを吸うことなどがあっては、信頼を失うことになってしまいます。

7年連続で健康経営優良法人に選出された株式会社ルネサンスで健康経営企画部長を務める樋口毅氏に、ルネサンスが取り組む健康経営についてうかがいました。

4. 従業員の健康増進と事業発展を両輪で回す仕組みづくり

私たちは「生きがい創造企業」として、健康を通じて、お客さまの生きがいづくりに貢献することを企業理念として、事業を展開しています。個人のお客さまだけではなく、1,300法人を超える企業などの法人のお客さまや、スポーツクラブ施設がある周辺150自治体での健康づくり支援の事業も行っており、自らが健康経営に取り組むことが、当社の新しい事業創出にもつながると考えています。

2023年に、新しく「ルネサンスの未来をつくるプロジェクト」、通称「ルネミラ」というプロジェクトを発足させました。この横断的な組織には、人事、ヘルスケア事業、スポーツクラブ事業など、さまざまなメンバーがアサインされています。このプロジェクトでは、従業員の健康づくりを促進するために、各種領域でお客さまに販売している健康サービスを積極的に取り入れてサービス検証を行うとともに、社内の健康経営事業で生み出すことができた新たなプログラムを外販サービスとして展開し、事業を発展させていくための体制を築いています。この二つの要素が連携して、ルネサンスらしい健康経営事業を実現する仕組みに取り組んでいます。

健康経営を実施していくなかで、外部からのルネサンスに対する企業像が変わってきているという印象があります。以前は「スポーツクラブ事業を展開する企業」というイメージが強かったのですが、現在は「ヘルスケア領域でさまざまな事業を展開する企業」へとイメージが定着しつつあると実感しています。健康経営に取り組むことで、改めて「生きがい創造企業」としての認知度向上につながっている実感があります。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

>後編へ続く

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