兵庫・大阪・京都・奈良に店舗を展開する24時間営業のフィットネスジム「SynerGym」(シナジム)。無人ジムも増えるなか、日中はスタッフが常駐し、入会した方には5回の無料ガイダンスを提供するなど初心者の方へ手厚いサポートを提供しています。シナジムを立ち上げた安永 周一氏に、現在のサービスを提供するきっかけとなった出来事について聞きました。
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PROFILE
安永 周一 株式会社SynerGym 代表
アパートやマンションなどの建築請負営業や医療機器販売に携わった後、24時間営業のネットカフェを立ち上げる。“24時間ビジネス”という共通点から24時間ジムの経営に興味を抱き「SynerGym」を立ち上げる。コロナ禍を経ても着実に店舗を増やし、現在10店舗を展開。昨年からはプロテインウォーター「MURB(マーブ)」の製造・販売も手がけている。
1. 24時間ビジネスへの興味をきっかけにジムを立ち上げ
—— 安永さんはSynerGym(以下、シナジム)を始める前はどのようなお仕事をされていたのでしょうか?
アパートやマンションなどの建築請負営業を行う会社や医療機器販売会社で働いた後、独立して24時間営業のネットカフェを始めました。自分でもよくネットカフェを利用していたことや、FC加盟してノウハウなどを提供してもらえることも選んだ理由でした。
フィットネスジムの運営に初めて興味を持ったのは、自宅近くに大手24時間ジムができたことがきっかけです。ネットカフェと同じ24時間営業のビジネスってどんなものだろうと興味が湧いて、FCについて本部へ話を聞きに行きました。でも、24時間ジムの経営にそこまで本気でないと思われてしまったのか、特に物件紹介の連絡が来ることもなくて、結局自分でシナジム塚口本店を開業しました。
—— 塚口本店はヨガやピラティスも提供されていますね。
塚口本店が入っているビルには以前よりヨガスタジオが入っていたので、24時間ジムをオープンするときにそのままヨガ事業も当社が運営を引き受けることになりました。ただ、リニューアルしたら当初の予算の倍となる5,000万円の費用がかかってしまったのです。でも、当時はネットカフェで収益が出ていたので、その利益をリニューアル費用に充てることができました。4〜5年ほどシナジムとネットカフェの両方を経営していましたが、現在は、ネットカフェは事業譲渡しています。
—— 当時からシナジムの多店舗展開を計画していたのでしょうか?
塚口本店のオープンに資金を多く使ってしまったので、それ以上、店舗を増やそうとは考えていませんでした。ただ、新たにサーキット形式のジムをFCとして運営しようと考えていたところ、周囲から「せっかく自身のブランドを立ち上げたのに、なぜ他社のブランドを増やすのか?」と指摘されて、確かにそうだなと。そんなときに、保有していた不動産が売れてまとまった資金が用意できたことや、ほかの店舗の運営も順調だったので、王子公園と元町に新店を開業しました。
でも、この元町店が、競合の影響もあって大きく失敗してしまったのです。それまで順調だった既存店の売上も下がり始めて、毎月300万円ほどの資金がどんどん減っていく状況が続きました。そんなときに出店の話をもらったのが、現在の三木小野インター店です。今から思えばなぜそんな状況でやろうと思ったのか不思議ですが、結果的にこの店舗の開業が、その後に続くターニングポイントになりました。
2. 初の郊外店が大成功、手厚い初心者サービス構築のきっかけに
—— 三木小野インター店への地元の方の反応はどのようなものだったのでしょうか。
それまで市営のジムしかなかったこともあって「こんな店舗を待っていた!」とたくさんの方が喜んで来店してくれました。フィットネス初心者の方も非常に多く、「ジムって何するところ?」という声もよく聞かれました。これはしっかりとサポートしなければと感じたことが、パーソナルトレーニングや5回にわたる無料ガイダンスの提供、さらに日中は2〜3名のスタッフが常駐する体制づくりのきっかけになりました。
—— 初心者の方が多かったということですが、パーソナルトレーニングへの申込状況はいかがでしたか?
オープン価格として一般的な価格より手ごろであったことも要因だと思いますが、申込が殺到して導入初月で300〜400万円の売上を達成しました。フィットネスクラブのような会費制施設では、開業から2〜3ヶ月は収益が少ない時期となりますが、その時期をパーソナルで補填できたことは大きかったです。三木小野インター店はその後も多くの方にご入会いただいたおかげで、翌年には加古川や神戸市西区に店舗を増やすことができ、いずれも三木小野インター店から車で30分ほどの距離なので、相互利用が可能な環境が整いました。そうすることで「全店利用可能」という付加価値をつけた、会費が高めの「マスター会員」を基本とすることができたので、会員さま1人当たりの単価を高めることが可能になりました。このように、三木小野インター店の成功をきっかけに、その後も郊外で出店する路線で店舗展開を進めています。
—— シナジムの大きな特徴は、その初心者に手厚いサービスを提供しているところでしょうか?
マナーを守っていただくことにも力を入れています。24時間ジムの一番の懸念点といえば、ここですから。ライフスタイルによっては入会時しかお話できないというお客さまもどうしても出てくるため、入会時のコミュニケーションを重視し、マナーについてもここでしっかりとお伝えしています。会員カードにも「当ジムはマナーを大切にしています」ということを記載していますし、マナー違反にも毅然と対応させていただいており、おかげさまで「マナーがいいと聞き安心して利用できると思い入会した」というお声をいただくこともあります。このような姿勢がお客さまにも伝わり、お客さまとの相乗効果でよりよい環境づくりができているのだと思います。
3. 地域名を含む店舗名は住民の感覚に合った命名がポイント
—— これまで展開してきて、集客におけるポイントだと感じていることはありますか?
集客への影響度はわかりませんが、店舗名は地元にお住まいの方の感覚とマッチするものを付けた方がいいと感じています。例えば、神戸森友店は場所的には明石に近いので、お客さまからすると「ここはもう明石なのに」と店舗名に違和感を覚えるらしくて、よく指摘されるんです。その点、三木市と小野市の両市からお客さまが来てくれる三木小野インター店は、店舗名が地域の方の感覚とマッチしていることを感じています。
そのほかには、Web上での広告展開です。今までこの分野に明るい人材がいなかったため、後手に回ってしまいました。今年から見直しを行い、早速効果が感じられているので、引き続き注力していく予定です。とはいえ、郊外は折込チラシといった従来の手法も十分効果的なので、店舗ごとにそれぞれのバランスを意識しています。
—— 今後の店舗展開のご予定や取り組んでいきたいことについて教えてください。
現在、10店舗を展開していますが、創業当初の予定では20店舗ぐらいまで展開しているはずでした。新型コロナの感染拡大で想定していたことがすべて吹き飛びました。今は、店舗を増やしていくよりは、物販の方に力を入れていきたいと考えています。昨年、「MURB(マーブ)」というプロテインウォーターを買収しました。「MURB」は人工甘味料や乳化剤が不使用で、従来のプロテインドリンクなどの乳っぽい飲み口ではなく、サラサラしていてスポーツドリンクのような感じでゴクゴク飲んでいただけるのが特徴です。健康のためにタンパク質は大切ですし、トレーニングをしているならなおさら必要です。フィットネスジムが製造・販売しているプロテインウォーターとして、安心して手にとっていただきたいと思っています。