関西で3店舗を展開するキックボクシングジム「M-FACTORY」。一般の方には「敷居が高い」と感じられがちなキックボクシングに対して、同社では初心者でも「ここなら続けられそう」と思える環境づくりに取り組んでいます。会員からスタートし、現在は運営責任者を務める北出哲願氏に、親しみやすい場づくりや会員の継続を支える工夫について伺いました。
INDEX
PROFILE
北出 哲願 M-FACTORY株式会社 運営責任者
14歳からフルコンタクト空手を始め、大学まで競技を続ける。卒業後、会員として入会したM-FACTORYでキックボクシングに出会い、その魅力に惹かれる。2007年からは同施設にて副業としてインストラクター活動も始め、2008年にIT企業から転職。現在もインストラクターとして指導を行いながら、運営責任者として店舗運営を担っている。
1. 「ここなら続けられそう」M-FACTORYが大切にする親しみやすさ
—— 北出さんとM-FACTORYとの出会いを教えてください。
格闘技が好きで、私自身も中学3年生から大学まで空手に取り組んでいました。大学卒業後に、基礎からキックボクシングを習ってみたいと感じ、M-FACTORYに入会しました。ほかのキックボクシングジムのホームページは「強さ」を前面に出した男性画像が中心で、初心者の自分にとっては敷居が高いイメージでしたが、M-FACTORYは「ダイエット」の文字もあり、男女が楽しそうにトレーニングしている画像が使われていました。「ここなら続けられそう」と感じたことを覚えています。
—— 実際に入会してみて、施設の雰囲気はどうでしたか?
楽しさ重視のトレーニングやフラットな人間関係など、良い意味で“緩さのある”雰囲気が自分に合いました。
キックボクシングを含む格闘技トレーニングは「選手として強くなるため」だけのものではありません。一般の方が「健康になるため」に取り組んでもいいし、実際に効果も高い。そのことを伝えられるような雰囲気づくりは、今も大切にしています。
—— 北出さんはどのような経緯があって、会員から現在の運営責任者になったのでしょうか。
会員として1年ほど続けていたら、「トレーナーにならないか」とオーナーから声をかけられたことがきっかけで、当時勤めていたIT企業から転職しました。指導する側に立つと、私が伝えた内容に対して「お客さまが腹落ちした瞬間」の表情の変化など、直接得られる反応に大きなやりがいを感じました。
その後、トレーナーとして入会対応・管理を行いながら、前職の経験をもとに、非効率な部分を提案・改善していくうちに、より多くの管理を任されるようになり、現在の運営責任者を務めることになりました。
2. 格闘技初心者の心をつかむ“小さな仕組み”
—— 格闘技初心者の方へキックボクシングの魅力を伝えるために、意識していることはありますか?
キックボクシングの動きは特殊なので、何も知らずに体験としてクラスに参加しても「難しかった」だけで終わりがちです。そのため、体験前にまず基本の技についてレクチャーを行っているほか、入会後もクラス前後のサポートを手厚く行っています。さらに、技やフォームに上達が見られるなど、小さな変化を見逃さずに言葉にして伝えることも大切にしています。
—— 提供されている30分間のパーソナルトレーニングも初心者の方には取り組みやすそうです。
特に女性から好評をいただいています。通いやすさや体力面において「30分なら自分でもできそう」と感じていただけることで、心理的なハードルが下がるのだと思います。加えて、30分でも「しっかり運動できた」という実感を得られる点も、継続につながりやすいようです。
—— スタッフさまへの教育で意識していることはありますか。
キックボクシングにはさまざまな技がありますが、行う人ごとの「スタイル」があります。それによって、教え方においても「人によって言うことが違う」ということが起こりがちです。これでは、初心者の方は混乱してしまいますから、基本となる技に関してはマニュアルで指導方法を統一し、指導者間で差が出ないようにしています。
—— 集客はどのように実施していますか。
Googleマップの口コミや、Instagramへの投稿には力を入れていますが、TikTokは年齢層が当社のターゲットより若いので、実施していません。また、広告をたくさん打つよりも、まずホームページの導線をわかりやすく整えることが大切だと考えています。広告で興味をもってホームページを訪問してくれたにもかかわらず、「どこをクリックすればいいかわからない」「複数の画面遷移をしなければ体験申込にたどり着けない」といった理由で離脱されてしまうのは、もったいないですから。
3. 小規模×店舗ごとの個性で初心者から選手まで幅広いターゲットに対応
—— 現在、梅田・心斎橋・内本町の3店舗に展開されています。エリア選定の理由や店舗ごとの特徴について教えてください。
梅田店は女性専用クラスを含むグループレッスンを中心に、30分間のパーソナルレッスンも提供しており、3店舗のなかで一番初心者向けかもしれません。心斎橋店も同様のレッスンを提供していますが、アマチュア大会に出る方もおり、より本格的な雰囲気です。最後にオープンした内本町店は60分間のパーソナル専門店としています。パーソナルプログラムを強化するためや、北の梅田店と南の心斎橋店、そのほぼ中間に内本町店をオープンすることで、ほか2店との相乗効果を高めたいと考えました。
—— 他のキックボクシングジムと、どのような点で差別化を図っていますか。
小規模ジムとして、コーチや会員同士の距離が近いことは当社の魅力の1つです。また、「もっとうまくなりたい」という欲に応えられるよう、キックボクシングの技術をきちんと身に付けられるプログラム構成も特徴です。楽しさ重視で「本当にうまくなっているのかな?」「継続しているのにフォームが決まらない」では、モチベーションも高まりませんよね。
—— 最後に、今後の展望について教えてください。
施設の利用方法や運営オペレーションなどをスムーズにして会員さま・スタッフがより快適に過ごせるよう、テクノロジーをもっと利用したいと考えています。
最終的にはキックボクシングを通して自信が芽生え、会員さまが人生を楽しく、より前向きに物事に取り組めるようになってくれたら嬉しいです。キックボクシングを含む格闘技は、知れば知るほど「何をどう学ぶべきか」と迷いが生まれやすい側面があります。だからこそ、トレーニング管理やモチベーション向上を支援し、会員さまをしっかりリードできるような専用アプリを、いつか作れたらいいですね。
