「山代温泉 みやびの宿 加賀百万石」は、併設するフィットネスクラブの24時間化に伴い、会員管理や予約、チェックイン等のシステムとして「hacomono」を導入。その採用理由や導入効果などについてレポートする。
※本記事は、「月刊レジャー産業 2024年1月号」に掲載された同内容の記事を、媒体社の許可を得て転載したものです。
INDEX
1. 宿泊客、地域住民の双方に対応 市内初の24時間フィットネスへ
石川県加賀市の「山代温泉 みやびの宿 加賀百万石」(開業1962年、運営(株)みやびの宿加賀百万石)は、国内有数の敷地面積2万坪、延べ建坪1万8000坪の規模を誇り、本館北、本館南、別邸およびスパ棟で構成され、総客室数は205室、年間宿泊者数は約3万5000人に及ぶ。
そのなかで2020年2月、光熱費の嵩むスパ棟を700坪超の直営フィットネスクラブ「Age-Fit Sports CLUB」にリニューアルした。フィットネスという業態を選んだ理由は、今後の宿泊客の滞在型へのシフトを見据え、そのサービス向上につながると同時に、地域住民にもフィットネスの機会を提供したいとの思いからだ。
その施設構成は1階に、フロント、更衣室、大浴場とサウナ、プール(現在は休止中)。大浴場は100%源泉掛け流しで、サウナの水風呂には1年を通じて温度変化がなく、肌あたりの良い地下水を利用する。2階は、60台のフィットネスマシン、フリーウエイト、ストレッチマシンなど充実したフィットネスジムとスタジオ。いずれも宿泊客は無料で利用可能だ。
3階は本館南と連結しており、宿泊客専用の天然温泉大浴場がある。
そうしたなか同クラブでは、23年2月に発生したプールの故障を契機に新たな魅力づくりを検討、23年9月、クラブの24時間営業に踏み切った。
この背景について代表取締役 吉田 久彦氏は「それまで加賀市内には24時間営業のジムは1軒もありませんでした。私自身もそうですが、仕事で遅くなっても運動して汗を流したいというニーズは高いのではないか、また宿泊のお客様も多様化し出張利用の方もおられるなかで、24時間化は喜ばれるのではないかと考えました」と話す。
これに伴い会員種別は、以前の2コースから、デイコース(9時~17時、6600円)、24時間コース(18歳以上、8800円)、シニアコース(70歳以上、9時~22時、7700円)、ナイトコース(18歳以上、22時~6時、7800円)の4コースへ拡大。会員数は、8月末からの2か月間で80人以上増加し、約450人に。なかでも24時間コースは、30~40歳代を中心に295人と最も多い。男女比は半々。深夜帯の利用は男性、特に飲食店の従業員などの閉店後の利用も見受けられるという。大浴場も24時間営業(週1回の湯抜き清掃時間を除く)のため、早朝に風呂のみ利用する地域の会員も多く、吉田氏の想定通り24時間営業へのニーズの高さを物語っている。
2. 「hacomono」導入、決め手は低投資と、シンプルな操作性
Age-Fit Sports CLUBが24時間営業への切替えに伴って導入したのは、ウェルネス/運動施設向けオールインワン・マネジメントシステム「hacomono」。リアル店舗における入会手続き、予約、決済がオンラインで完結し、利用者の利便性向上とともに、店舗での事務、支払い手続きなど、スタッフ業務の省力化も実現できるクラウドサービスだ。
同社が「hacomono」を選んだ理由の1つはユーザビリティの高さである。同クラブの会員は60歳代も少なくないが、シンプルで直感的に使える操作性、QRでのチェックインなど、使いやすさに惹かれたという。また「当社にとって24時間営業は初めての経験ですが、hacomonoの社員の方々からわれわれの立場に立った回答や提案を事前に親身になっていただけたので、運用をイメージすることができました」と吉田氏。
また、初期投資が小さいことも決め手の1つになったという。
3. 書類業務40分削減、顧客に接する時間拡大で満足度向上
「hacomono」の導入効果はどうか。まず挙げるのが業務の効率化だ。入会手続きは利用者がオンラインで行なうだけで済むので、従来対面により1人当たり30~40分を要していた書類作成業務はゼロに。またチェックインもQR形式への切り替えで、フロントにスタッフが常駐する必要もなくなった。
こうした業務効率化により、スタッフはマシンの使い方の案内やトレーニングの補助、こまめな清掃など、お客様対応や気持ちのよい環境づくりに時間をかけられるようになり、顧客満足度の向上につながっている。
スタジオレッスンのオンライン予約も好評だ。これまでは先着順で、定員になると参加できないという仕組みだったが、事前予約ができるので「行ってみたが定員に達して参加できなかった」ということがなくなり、利用者のストレスも減少した。「hacomono」は、レッスンの追加やオプション設定にも柔軟に対応できるため、従来のヨガとダンスに加え、バレエ、ピラティス、ノルディックウォークのレッスンを新たに導入し、回数もふやしたとのことで、今後もさらに充実を図る考えだ。
「いままで、現場からは『人手が足りない』との声をたびたび聞かされてきましたが、『hacomono』を導入してからはまったく聞かなくなりました。人材をふやさずとも、顧客満足度を高める効率経営ができていると思います」と吉田氏。その影響か、会員からの口コミでの入会もふえているという。
新たに法人契約も開始した。一定枚数のカードを発行する方法と、従業員全員を割引対象にする方法の2種類が選択でき、こちらも好評だ。
宿泊客の利用はまだ1割程度だが、会員数が順調に伸びていることから、吉田氏は今後の展開についても意欲的。スタジオプログラムの充実に加え、パーソナルトレーニングの導入、酸素マシンやタンニングマシンの設置など、ハード、ソフト面の充実を計画する。現在休止中のプールについても、新たな形での活用を考えているという。
「Age-Fit Sports CLUBは、独立したフィットネスクラブとしても、宿への併設施設として宿泊客の滞在期間の充実という意味でも、大きな可能性を秘めていると感じています。さらに柔軟で使い勝手の良い『hacomono』を活用することで、一層のサービス充実を図り、顧客満足度を高めていきたいと思っています」と吉田氏は語っている。