※代表の玉川 裕大氏(写真左)とトレーナーの高月 俊祐氏
女性専用パーソナルジム「WAPLE」(ウェイプル)を4店舗、さらに男女が利用できる「WAPLE 志木東口ANNEX館」1店舗の計5店舗を運営するBrilliant Fitness合同会社の代表取締役、玉川 裕大氏。新型コロナの感染拡大による影響を受けながらも、試行錯誤しながら厳しい期間を乗り越え、店舗を拡大してきました。そのなかで学んだ気づきや経営者として必要な要素についてお話を聞きました。
INDEX
PROFILE
玉川 裕大 Brilliant Fitness合同会社 代表取締役
元ボクシングフェザー級日本ランカー。RIZAPトレーナーとして年間1500セッション以上を経験し、店舗満足度No.1を獲得。短期集中ダイエット・大幅ダイエットをはじめ、日本トップクラスのアスリートや、持病の数値改善を目指す方の身体を内面から作りあげる栄養指導など、幅広いクライアントを担当した実績を持つ。
1. 経歴は元プロボクサーと保険営業の二刀流。高い説得力で店舗満足度No.1を獲得
——玉川さんは以前、プロボクサーとして活動されていたんですね。
10代から20代前半まで、保険代理店で営業として働きながら、プロボクサーとして活動し、フェザー級の日本ランカーになることができました。引退後は、RIZAPでトレーナーとして約2年間働きました。
——RIZAP時代にはトレーナーとして店舗満足度No.1を獲得されています。この獲得にはプロボクサー時代の知識や経験なども活きたのでしょうか?
実はあまり活かせる部分がなかったんです。ボクサーも減量をしますが、一般の方のダイエットとはやり方も目的も違いますから。
でも、プロボクサーという経歴が会員さまの信頼につながっていることは感じました。言うことに説得力があったんだと思います。僕が言うことをきちんと守ってくれたおかげで目標を達成する方が多く、店舗満足度No.1として表彰されました。
——ダイエットにおいては、体重がなかなか減らずトレーニングへのモチベーションが下がってしまう方も多いように感じます。
結果があまり出ていない方には、セッション後のコミュニケーションで必ず原因を突き止めるようにしていました。同時に、体重の停滞期については「必ず、だれにでも起こることですから」と話して、安心してもらうとともに前向きに取り組んでもらえるよう意識していましたね。
2. 新型コロナの影響で友人と立ち上げた事業がわずか1年で失敗。再起を図ったパーソナルジム事業
——RIZAPで約2年間働いた後、現在の会社であるBrilliant Fitness合同会社を立ち上げました。ここではどのような事業に取り組んだのでしょうか?
新しいことに挑戦しようと友人3人で、ジムと顧客をマッチングさせるサービスを立ち上げました。1人100万円ほど出資したんですが、すぐに新型コロナの感染拡大が始まって、立ち上げから1年も経たずに失敗してしまいました。
せっかく会社をつくったのにもったいないということで僕が会社を譲り受けるかたちで、2021年に女性専用のパーソナルジムWAPLE(ウェイプル)1号店となる中野店を開業したんです。
——経営についてはどうやって学んだのでしょうか?
経営者である先輩に話を聞いたり本も参考にしましたが、ほぼ我流です。マーケティングの知識もないので、見よう見まねでホームページやWeb広告をつくったものの、お客さんが全然来なくて。資金は目に見えて減っていくし、不安と焦りばかりの毎日でした。
——そこから改善に向けてどのような取り組みをしましたか?
自分なりにお客さんが来ない理由を考えてはホームページを修正する、ということを繰り返したんですが、運営改善に大きくつながったのは会費と徴収方法を見直したことでした。
会費を低めに設定していたのですが、そのことがブランディングを安っぽく見せ、女性客を遠ざける要因になっているのではないか?と感じたんです。そこで10%値上げしました。その考えは当たり、値上げしたら徐々に問い合わせが入るようになりました。
ホームページも、フリー素材の画像を使わないようにし、プロのカメラマンに撮影してもらった施設写真やトレーナー写真に差し替えました。それ以外にも、ホームページではトレーナーの人となりが見える画像や記事で、安心感を提供することも心がけました。
——徴収方法はどのように変えたのでしょうか。
コース料金の一括払いから月額払いに変えました。瞬間的な売上は下がるわけですが、毎月入金があることで経営が安定し、なんとか1年目を乗り切り、現在に至るという感じです。
3. スピード感より着実な運営で目指すは年内10店舗。トレーナーの高い指導力で温かみのある店舗を目指す
——当時は苦しかったけれど、今に活きていると感じる出来事はありますか?
2つあります。1つ目は、ボクシングに本気で取り組んだことですね。プロの勝負の世界で辛い、苦しいことをたくさん経験してきたから、多少のことではへこたれないメンタルが育まれました。
もう1つは、最初の事業である、ジムと顧客のマッチングサービスを運用していたときの経験です。利用者がおらず売上がないなかでも運営費で資産は減っていくわけです。仕方なくアルバイトを始めたのですが「自分は何をやっているんだろう?」とすごく悔しかったですね。その想いから、「今やらなければ後悔する」と奮起して勉強を続け、ここまできました。
——悔しい想いを糧に、ここまで取り組んできたのですね。今はWAPLEも5店舗となり、直近では2店舗の出店が決まっているそうですが、WAPLEにて、お客さまに継続していただくために意識していることはありますか?
トレーナーの質がとても高いことには自信をもっています。指導スキルは問題ないので、それに加えて「お客さまへの寄り添いを大切にしてほしい」とトレーナーには伝えています。
例えば食事指導だと、不足しているもの、摂取したほうがいいものを指摘するだけの、事務的なやりとりで終わりがちだと思うんです。そこに「次もがんばりましょう」とか、なにげない一言を付け加えるだけでもお客さまの感じ方が全然違ってくると思います。この一言が、アットホームで居心地のいい雰囲気づくりにもつながっています。
——経営するうえで、どんなことに難しさや苦労を感じていますか?
変化に向けた経営判断をずっとやり続けなければいけないことですね。同じことをやり続けていては存続が難しいビジネスですから。例えば今、流行っているピラティスを取り入れるのか、取り入れないのか。トップの自分が決断していかなければいけません。
——これから独立を検討しているトレーナーの方にアドバイスするならどのようなことを伝えたいですか?
トレーナーのなかには数字に苦手意識をもつ方もいるかもしれません。それでも1店舗ならなんとか経営できるかもしれませんが、店舗数を増やしていくことは難しいでしょう。最低でもPL(Profit and Loss Statement:損益計算書)はつくれるようになっておいたほうがいいですね。
あと、自分自身や店舗が変化、進化していくためにも、経営者にはいろいろな意味で柔軟性や素直さが必要だと思います。信念は大切ですが、変なプライドは変化や進化を妨げる要因になると思います。
——「うちはこのサービスでいくんだ」というのも大切ですが、時代とともに新しいサービスを取り入れたり、変化していくことが進化につながるということですね。最後に、今後の御社の目標について教えてください。
直近の目標としてはフランチャイズ含めて10店舗まで店舗を増やしていきたいです。その先ではもっと増やしたい想いもありますが、よい立地や物件が見つかればというかたちで、焦らず進んでいきます。
——すでに動いている出店計画がありますし、お忙しい日々はこれからも続きますね。
仕事の合間に趣味で気分転換しています。クラシック・ミュージカルが好きなので、よく見たり、聞いたりしているほか、新宿御苑を散歩したり、お酒を飲んだりと、リフレッシュの時間を取るように意識しています。