2022年3月に1号店を出店して以来、わずか2年で24店舗と、破竹の勢いで店舗を増やしてきたパーソナルジム「ReViNa」。この「ReViNa」の仕掛け人としてパーソナルジム業界で注目を浴びているのが、株式会社REJUVENATEの代表取締役、中島 歩紀氏です。パーソナルトレーナー暦2年で独立し、23歳で24店を展開する若き経営者、中島氏にその躍進の秘訣を聞きました。
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PROFILE
中島 歩紀 株式会社REJUVENATE 代表取締役
2022年3月、千葉県四街道市にパーソナルジム「ReViNa」を開業。わずか2年でグループ計24店舗に拡大。2024年1月には東京都を中心に8店舗展開するパーソナルジム「LIMIT」の事業買収を行う。マネジメントコントラクト方式(MC方式)でパーソナルジムを出店できる開業支援サービス「ジムつく」をスタートさせるなど、フィットネス領域において多方面で活躍している。
1. トレーナー歴2年にして独立、開業初月から100万円の売り上げを達成
——中島さんは現在おいくつですか?
今は23歳です。大学を1年生で中退し、トレーナーの勉強をしました。アップルジムで1年間店長として経験を積んで、2022年3月に「ReViNa」の1号店を開業しました。
——1号店は千葉県四街道市ですね。
2021年からパーソナルジム出店の戦略を考えていたのですが、その頃東京都内や地方都市はもうレッドオーシャンだったんです。都心の商業地の商圏が5kmだとして、商圏人口は約30万人。その5km圏内にあるパーソナルジムを数えたところ約30店舗だったため、1店舗あたりの商圏人口は1万人です。四街道の人口は9万人でパーソナルジムは0だったので、1店舗を出せば商圏人口9万人を獲得できると考えました。店舗もないうちにホームページを作ってアップしておいたところ、すぐに問い合わせがあり、初月から100万円以上の売り上げがありました。
——初月から、すごいですね。
1ヶ月だけレンタルジムを利用し、すぐに店舗を構えました。お客さまもどんどん増え、売り上げも毎月上がっていく状態で、3ヶ月でキャパオーバーしてしまったんです。そこでトレーナーを雇って自分は現場を離れ、2店目を開業することに決めました。最初から集客に苦労はなかったですね。
2. 成功の秘訣は「エリア分析」にあり。その方法論とは?
——集客に成功した原因は何にあるのでしょう?
エリア選定に尽きますね。最初は「四街道でパーソナルジムをつくっても人なんて来ない」と言われたのですが、僕には自信がありました。同じ人間ですから、都心で需要があるものは、地方でも需要があるはずなんです。でも、わざわざ家から離れた都心のパーソナルジムまでは通いたくはないはずなので、四街道につくれば絶対に選んで通ってくれると思いました。その読みは当たり、「家の近くにできるのを待っていました」と言われることも多いですね。
——地方都市だと、平均所得が低いと敬遠する経営者も多そうですが。
そもそもフィットネス人口自体が人口の4%と言われますから、そのうちパーソナルジムの参加人口なんて、全人口の0.0何パーセントくらいだと思います。そう考えると、平均所得なんて関係ないと思います。
——確かにそのとおりですね。
実際、都会寄りのエリアより地方都市の方が、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)も可処分所得も高いんですよ。だからエリアは地方都市、ターゲットは一番お金を持っていて、かつ体に悩みを抱えている40〜50代に絞り、地方都市のなかでもその層が多いエリアに出店するという戦略が当たったんだと思います。さらに、地方都市は物件の家賃も安いし、競合が少なく広告費も安いと、メリットも多いんです。
3. 急拡大ゆえの採用&マネジメントの難しさとは
——これまで最も苦労されたことはなんでしょうか?
採用ですね。最初は僕も自信がなく、応募者を全員採用していたため、問題を起こすトレーナーもいて。応募者を厳選し、「どうしてもここで働きたいです!」という熱意のある人だけを採用するようにしました。
——研修やマネジメントはどのようにされているんですか?
外部からコーチを入れて研修を行い、それでも対応に改善が見られない人には辞めてもらいました。そのうえで3店舗ごとにマネージャーをつけて、マネージャーに管理をまかせました。さらに4〜5人のチーム制にして、週に1回チームミーティングやマネージャーミーティングを行っています。
——フランチャイズ展開も進めていらっしゃるんですね。
今は直営比率が9割なんですが、今後は直営3:フランチャイズ7くらいの比率にしていきたいと考えています。多くのオーナーさまを募るというよりは、1つの地域で1人もしくは1社のオーナーさまに複数店舗を出店していただいて、シェアを獲得していくという戦略です。地方に出店する際に、直営店を1店舗、その周辺にドミナントでフランチャイズ店舗を複数出す予定です。エリア分析の結果、20都道府県くらいには出店できそうです。
——他に課題はありますか?
バックオフィスですね。いまだに1人会社なので経理担当もいませんので。PL(Profit and Loss Statement:損益計算書)はあるんですが、BS(Balance Sheet:貸借対照表)やCF(Cash Flow Statement:キャッシュフロー計算書)をきちんと作らないといけないなと思っています。
4. 「自己資金30万円からの逆転」エリア状況&顧客心理を理解した上で勝負する
——当初の自己資本比率などはどんな状況だったんですか?
2022年の3月に1号店を出したんですが、実はその年の1月には30万円しか資金がなかったんですよ。公庫の融資も落ちました。でも店舗契約前に100万円の契約がとれたこともあり、融資がなくても自己資金で出店できました。地方は物件取得費も安いので、4店舗までは自己資金で出店しています。その後、1,000万円の融資を受けて、5、6、7店舗と出店を広げました。
——自己資金30万円からの逆転がすごいですね。これからパーソナルジムをオープンしたいという方にアドバイスはありますか?
「平均所得が低いところではパーソナルジムの経営は成り立たない」といった、一般的に言われていることを盲目的に信じるのではなく、自分で仮説を立てて考え抜きましょう。そして、一番重要なのはエリア選定です。上述した通り、どこに店舗を出すかは店舗経営が軌道に乗るかどうかを大きく左右するので、分析した上で出店場所を決めてください。特に資金力がない場合はレッドオーシャンに踏み込んではいけません。
価格設定も、安売りしないことです。価格を後から上げるのは難しいけど、下げるのは簡単です。店舗コンセプトに沿って、サービスに見合った価格で堂々と勝負しましょう。
店舗づくりは見せ方次第なので、お客さまが行きたくなるような雰囲気の店舗をつくることも重要です。「ReViNa」では、店舗写真はプロのカメラマンに撮影してもらっています。お客さまの心理を理解して、基本的なことをきちんとやり抜けば、お客さまは来てくれます。