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インドアゴルフ(ゴルフ練習場)事業を軌道に乗せる運営のコツ

2023.07.03

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インドアゴルフ(ゴルフ練習場)事業を軌道に乗せる運営のコツ

この記事は、2回に分けてお届けしています。

前回の「インドアゴルフ(ゴルフ練習場)事業を成功に導く開業準備のポイント」に続き、今回は、インドアゴルフ施設の経営を成功に導くためのポイントについて解説します。

レッスンを提供する場合、良いプロを採用するためのポイントも紹介するほか、経営においてどこでつまずきやすいかなども共有します。成功ポイントを押さえ、問題点はあらかじめ取り除いておくことで、早期黒字化につなげましょう。

INDEX

PROFILE

山﨑 博之 株式会社ONE Story 代表取締役社長

ゴルフビジネスプロデューサー。ゴルフコーチとしてスクールノウハウを研究した後、RIZAP GOLFをプロデュース。その後、ゴルフ練習場の支配人などを経て、独立。ゴルフビジネスのコンサルティングなどを行う株式会社ONE Storyを立ち上げ、既存練習場の新規来場者とリピータを増やす活動や、他業種からのゴルフビジネス参入に対して成功するステップを伝えている。

公式Webサイトはこちら

1. 継続率向上の鍵は会員同士のコミュニティ形成

毎月のように新しいインドアゴルフ施設が開業するなか、会員の施設への帰属意識を高め、長く継続してもらうためには、次のような会員同士をつなげる取り組みが有効です。

1−1. コミュニティづくりにつながるイベントを実施する

ONE Storyが運営する施設では、積極的にコミュニティづくりを促すイベントを企画・実施しており、最も多く会員が参加するイベントが、プロも含めた食事会です。ゴルフスキルのレベルに関わらず誰もが参加しやすいため、多いと30人ほどが集まります。食事会でゴルフ以外の話題も共有することで、自然と施設への帰属意識が高まります。そのほか、ゴルフのコンペティションやラウンドレッスン、ラウンド会も含めると、月3〜4回ほどのイベントを実施しています。

食事会に参加する方には、誰でも見られる共有スペースに設置したホワイトボードに名前を書いてもらう形式にしています。「あの人が参加するなら私も参加してみようかな」といった参加へのモチベーションを上げることが狙いです。

何度か開催していると、会の中心となる会員が見えてくるため、その方を幹事に新たなコミュニティイベントを開催するのもいいでしょう。「○○さんが幹事をされるなら」と協力を申し出てくれる会員が出てくるなど、関係者が増えていく好循環にもつながります。

積極的に会員同士をつなげる施策を実施すると継続率に良い影響が出てくるので、ぜひ検討してみてください。

1−2. プロによるレッスンを提供する

競合との差別化の1つになるだけでなく、スキルアップによる会員のモチベーション向上にもつながります。プロと会員の間に信頼関係が構築されれば、継続して施設に通う理由にもなります。

一方、せっかくレッスンを提供しても、レッスン数が少なく「予約がとれない」状況になってしまうと顧客満足度は下がってしまいます。レッスンを提供する場合は利用者数を正確に見積もり、最適なレッスン数を設定しましょう。レッスンの提供を開始してすぐは、どのくらいの需要が見込まれるのか読めないため、人件費をむやみ増やさないためにも、プロの採用は1人から始めることをおすすめします。

インドアゴルフ(ゴルフ練習場)事業を軌道に乗せる運営のコツ

2. 適切な集客媒体と充実したホームページで入会につなげる

集客から入会までをスムーズに進めるには、適切な媒体でアピールし、そこから興味をもってホームページを訪れた方が必要な情報を入手できるように、一連の導線を整えておくことが大切です。

2-1. 集客媒体にはSNSを活用する

ONE Storyで実施したところ、インドアゴルフ施設の利用者の中心である40〜50代のユーザーに対しては、Instagram、SNS、Facebookを集客に活用すると入会につながりやすい、という結果が出ました。

具体的な方法としては、まず開業を知らせる広告で認知させ、その後キャンペーンで入会へとつなげます。車での移動が多い地方の場合は、SNSに加えて野立て看板も有効であるほか、エリア特性によってチラシやプレスリリース、ポスティングなども実施することで、より集客力を高めることができます。

2-2. 施設の公式ホームページに必要な情報をそろえる

打ちっぱなしなのか、プロの指導を受けられるのか、設置しているシミュレーションゴルフの特徴はどういったものかなど、「その施設で何ができるのか」を提示すると、お客さまが入会するか否かを判断しやすくなります。さらに入会手続きから入会後の予約、利用当日までの流れを動画でアップすると、一連の流れをイメージしやすくなるため、入会につながりやすくなります。

会員にとって必要な情報をそろえることは、問い合わせを減らすことにもつながります。無人運営の店舗の場合、ホームページを充実させて問い合わせを最小限に抑えることで、経営者1人で複数店舗を運営しているケースもあります。

2-3. 会費プランは3種類程度のシンプルな設定にする

会費プランはシンプルであればあるほどお客さまは選びやすいため、3種類程度がおすすめです。経営側は「たくさん用意したほうが、ライフサイクルに合ったものを選びやすいはず」と考え、つい月会費制やチケット制を含め、いろいろと用意したくなってしまうものですが、会費プランが多いとお客さまは迷ってしまいます。施設でご案内しても「一旦、持ち帰ります」との回答になることが多く、入会の機会ロスにつながりやすいポイントです。

一方で、見せ方を工夫することによって会費プランの多さをシンプルに見せているケースもあります。基本の料金は一律とし、そこにプロのレッスンを受けられる「レッスンプラン」や、打ちっぱなしなどの「練習プラン」など目的ごとに追加料金を設定する手法です。基本料金を安く抑えることで、割安に見せることにもつながっています。

3. レッスンプロはゴルフスキルより気配りできる人物の採用を

レッスンを提供する場合、プロの採用は慎重に行いましょう。技術的に高いスキルが要求されるのは当然ですが、それだけではいけません。レッスンはサービス業になるため、接客スキルが高いことも非常に重要です。良いレッスンプロを見極めるポイントを以下に示しますが、上から順に優先度が高いものと考えてください。

  • 気持ちのいい挨拶や丁寧な立ち振る舞い、笑顔での応対など基本的な接客対応ができる
  • 会員の気持ちに寄り添った言葉がけや相手を気遣った発言など、思いやりのある対応ができる
  • 指導において会員の体に触れる際は一言断りをいれるなど、気配りのある対応ができる
  • ゴルフスコアが70台以内の高いゴルフスキルがある

ONE Storyでは、思いやりや気配りができる人物かどうかを見極めるために、面接では「ゴルフをプレイするうえで苦労した経験」を聞いています。苦労した経験がある人物ならば、会員が悩んでいるときにも「ここは大変ですが、一緒にがんばりましょう」といった相手の気持ちに寄り添った声かけができる可能性が高いからです。

ゴルフの素質があるがゆえにあまり苦労した経験がない人物だと、「簡単ですよ」と言ってしまうことがあり、会員が施設に対して不信感を持つきっかけになってしまいます。

良いプロが採用できたら、彼ら彼女らにきちんと向き合い、長く働き続けてもらえるように信頼関係を築くことも大切です。ONE Storyでは、日々プロから日報を提出してもらっています。そこに悩みや課題が書かれていれば、アドバイスをしたり研修を実施するなど、プロでも成長できる仕組みを整えています。

給与形態も工夫していて、「グループレッスンができる」「入会率80%をキープできる」など、出せる成果によって4つのランクを設定しています。下は日当15,000円から上は30,000円まであるほか、正社員への登用も用意するなどキャリアアップのフローも用意しています。

インドアゴルフ(ゴルフ練習場)事業を軌道に乗せる運営のコツ

4. 施設開業後に起こりがちな失敗

施設の開業後に起こりがちな失敗の要因となるのは、次の3点です。

4-1. 人件費をかけすぎている

どの程度集客できるかは、実際に開業してみないとわからないものです。何かあったときのためにと最初からスタッフを2、3人置いてしまうと、集客が予定どおりにいかなかった場合に人件費が経営に重くのしかかることになります。開業からわずか数ヶ月でスタッフを減らしたりすれば、会員は「この施設、大丈夫かな?」と不安に感じ、退会を招きやすくなります。

施設規模にもよりますが、開業時はまず経営者1人で対応する形が理想です。集客の状況を見ながら、利用者が多い時間帯だけ人を増やす対応をすると良いでしょう。

4-2. 集客施策が少なすぎる

集客施策に関する知識が少なく、「開業前にチラシを1回打っただけ」で終わらせてしまうケースがありますが、これでは十分な認知を得ることができません。ONE Storyで開業支援を行う際には、初動の集客施策には300万円ほどかけることをおすすめしています。緻密な商圏分析を元に複数の媒体を選定し、それぞれの媒体にかける費用の配分まで提案します。経営者の人脈などもフル活用し、開業直後に認知を最大限広げましょう。

4-3. 施設のコンセプトがズレている

インドアゴルフ施設の経営者は、自身も日ごろからゴルフを楽しんでいるという方が多い印象です。それゆえ想いが先立ってしまい、「インドアゴルフに良い物件を見つけたから」と、物件ありきで、施設のコンセプト設定があいまいなまま開業まで進めてしまうケースがあります。その結果、「気軽に楽しみたい方をターゲットにしているのに、会費が高すぎる」などといったコンセプトと現実の間にズレが生じ、集客が伸び悩むケースが見受けられます。施設のコンセプトはあとから簡単に変更することができないため、まずコンセプトを固めてから、開業に向けて動くようにしましょう。

5. 閉店の判断は開業6ヶ月を目安に

インドアゴルフ施設を開業後、損益分岐会員数に達するまでは自己資金を持ち出すことになります。早く経営を安定させるためにも、開業1ヶ月目で損益分岐会員数を超えることが理想です。例えば、一般的に多い、40坪、4打席の施設で無人運営、月会費1万円の施設であれば、80人を1ヶ月で集めることが必要な計算になります。

以下は、1ヶ月にかかる費用の内訳をまとめた表です。

項目価格(月額)備考
家賃約40万円 
水道光熱費約10万円 
コールセンター約10万円問い合わせ対応として外部のコールセンターと契約した場合
販促費約10万円 
無人運営のシステム費約10万円入退館システムおよび入会手続きなどがWebで実施できる顧客管理システム
合計約80万円 

開業から3ヶ月経っても目標としている損益分岐会員数の半分を超えていなければ危険信号です。それでも、ここで新たな集客施策を打てば挽回の余地はまだあります。しかし、6ヶ月経っても超えない場合、すでに乏しい資金のなかで新たな施策を打つよりは、少しでも損失を抑えるため閉店を検討したほうが賢明といえます。

ゴルフは生涯スポーツといわれ、年齢を重ねても自分の体力や状況に合わせて楽しめることが魅力の1つです。インドアゴルフ施設は近年増加傾向にあり、特に都心では競争が激化していますが、今回挙げたようなポイントを抑えることで快適な施設環境を実現できれば、後発であっても長きにわたり愛される施設をつくることも不可能ではありません。差別化するポイントを整理して、ぜひあなただけのインドアゴルフ施設を作ってください。

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