ゴルフ業界は現在、インドアゴルフ(室内ゴルフ練習場)が注目を集めています。インドアゴルフは、完全無人化運営することで、人件費の削減や24時間運営が可能になるなど、経営者側にとってメリットが大きく、店舗数を伸ばしています。インドアゴルフの需要が高まった背景には、コロナ禍による「幅広い世代において、ゴルフ人口が増加」「顧客需要の変化」「24時間無人化のインドアゴルフ店舗の増加」といった3つの要因があります。
この記事では、インドアゴルフの市場規模から顧客ニーズの変化、無人経営のポイントまで解説します。
INDEX
1. インドアゴルフ(室内ゴルフ練習場)の市場規模
大きな敷地面積は不要で、維持費もアウトドアゴルフ(野外ゴルフ練習場)に比べて安いインドアゴルフの市場規模は、都内を中心に、大きくなってきています。
公益社団法人全日本ゴルフ練習場連盟の2022年度10月全国練習場施設数の調査によると、全国でアウトドアゴルフは31店舗減少しているのに対し、インドアゴルフは57店舗増加しました。今後もインドアゴルフの市場規模は成長していくと予測されています。
2. インドアゴルフの需要が高まる背景
新型コロナ感染症拡大により、三密を避ける新しいライフスタイルが確立されました。職場では、リモートワークやテレワークが当たり前になりつつあります。
不要な外出や人との接触を避ける生活が続く中、運動不足を感じ、それを解消するためにインドアゴルフに通い始める、といった動きがみられています。
インドアゴルフの需要が高まった背景には、コロナ禍による「幅広い世代において、ゴルフ人口が増加」「顧客需要の変化」「24時間無人化のインドアゴルフ店舗の増加」といった3つの要因があります。
2-1. 幅広い世代において、ゴルフ人口が増加
近年のゴルフ人気の特徴の1つとして、今までプレイヤーが少なかった若年層のゴルフ人口の増加が挙げられます。実際に、「ゴルフ場やゴルフ練習場で若い人を見かける機会が増えている」とゴルファーの間で話題になっています。
「ゴルフはお金持ちの趣味」というイメージが強いですが、そのイメージが若い世代の中で払拭された結果、若い世代のゴルフ人口が増加しました。最近ではスキーやスノーボードなどの他のアウトドアスポーツと費用面でも差はほとんどありません。
また、コロナ禍の影響で、会食や飲み会などがなくなり、仕事もリモートワークになったことで、時間と場所に囚われずに趣味を楽しむ社会人が増えたことも追い風になりました。時間と体力にゆとりのある若年層の間で、新たな趣味のひとつとしてゴルフが注目を集めるようになりました。
SNSによる影響も大きいと考えられます。Instagramでは、ゴルフをテーマにした「ゴルフ女子」として人気を集めているインフルエンサーもいます。YouTubeでも著名人やプロゴルファーのチャンネルも増え、誰でも無料で見られるゴルフ動画が配信されており、練習にも役立てることができます。その結果、SNSと特に親和性が高い若年層の間でゴルフが流行るようになりました。
2-2. 顧客需要の変化
コロナ禍の影響で外出が制限されたことで遊興費を抑えられるようになり、余ったお金の一部が、密を避けながら身体を動かせるゴルフに流れたとみられています。
経済産業省の調査によると、ゴルフ場の利用者は2020年が891万2,542人なのに対し、2022年は1,051万1,189人と約100万人以上利用者が増えました。ゴルフ練習場でも、2020年が2,128万1,859人なのに対し、2022年は2,438万6,218人と約100万人以上利用者が増えています。
2-3. 24時間無人化のインドアゴルフ店舗の増加
都合に合わせて利用できる24時間営業の店舗が増えたことも、ゴルフ人口の増加に一役買っています。無人店舗であれば、人の目を気にせず、のびのびと練習できるため、お客さまにとって、心理的に通いやすいというのも理由のひとつです。
インドアゴルフの増加は、屋内練習用の機器やITを活用したツールの導入、新規参入の拡大などが要因として挙げられます。さらに近年では、女性の利用者も増えてきています。
インドアゴルフが女性に人気の理由は、下記の4つです。
- プライベート性が高いく、周りの目を気にせずに利用できるから
- レンタル用品が充実しているから
- 駅近や交通の便が良い場所に店舗があり、通いやすいから
- 深夜営業や24時間営業など長時間営業店舗が増えており、自分の都合にあわせて通えるから
これらの理由から、インドアゴルフは都内を中心に増加しています。
3. インドアゴルフの無人化運営とは?
インドアゴルフを24時間運営するためには、お客さまの予約管理や来訪者対応、セキュリティの確保などの業務は必要不可欠です。従来、このような重要な業務はスタッフを割り当てて対応するのが主流でしたが、その手法では無人化運営はできません。
IT技術が進化した昨今では、これまで人に頼っていた業務をシステムに任せて、自動化することで人件費を削減したり、ミスを減らすことが可能です。また、コロナ禍を経た現在では、できるだけ人との接触を避けるサービスが求められています。システムを利用して、事務業務の負担や人件費を削減するのは時代の流れに沿った手法といえるでしょう。
こういった社会情勢やIT技術の進歩に影響を受け、以前に比べて、インドアゴルフの無人化運営は成功しやすくなってきていると言えます。
4. インドアゴルフを完全無人化運営するメリット
インドアゴルフを完全無人化運営するメリットは、下記の6つです。
- 人手不足の解消に繋がる
- 人件費の削減に繋がる
- 初心者でも来店しやすい
- 24時間365日営業が可能
- 無人営業のため、月の会費を低額にできる
- 管理システム導入で一元管理できる
4-1. 人手不足の解消に繋がる
少子高齢化が進む日本では、ゴルフ業界に限らず、多くの業種で人手不足が常態化しています。無人化運営の場合、運営に必要なスタッフ数が少ないため、比較的人員確保がしやすいというメリットがあります。また、商品の補充作業や清掃などの業務の幅も狭いため、採用や教育にかかるコストも抑えられます。特に採用が難しい夜間スタッフを確保する必要がないことも、プラスの要因です。
4-2. 人件費の削減に繋がる
無人化運営であれば店舗スタッフの数を減らせるため、人件費を削減できます。多くのビジネスでは、人件費がコストの大きな割合を占めており、人員削減によるコストカットの恩恵も大きくなります。勤務時間も短くできるため、給与はもちろん、正社員や契約社員の福利厚生などもカットできます。
4-3. 初心者でも来店しやすい
無人化運営の場合、練習中に人の目を気にする必要がないので、初心者でも通いやすいのが特徴です。初心者の多くは、「自分のフォームを見て下手と思われたら嫌だ」「あまり見ないで欲しい」と考えています。また、初心者が通いやすい店舗設計になっていることで、新規顧客を獲得する際にもプラスに働きます。
4-4. 24時間365日営業が可能
無人化運営の場合、常に従業員を店頭に配置する必要がないため、24時間365日の運用が可能です。基本的に、家賃は10時間営業でも24時間営業でも変わらないため、長い時間営業できる方が、コスパがよくなります。
また、24時間365日営業していると、お客さまも自身のライフスタイルにあわせて通えるため、入会するきっかけになります。会員数が増えれば売り上げも見込めるため、24時間365日営業は、経営者とお客さまの双方にとってメリットが大きいです。
4-5. 無人営業のため、月の会費を低額にできる
無人営業による人件費抑制が可能なため、月会費を有人の店舗に比べて安く設定できます。会費が安くなれば、お客さまも入会しやすくなるため、会員数を増やしやすくなります。
4-6. 管理システム導入で一元管理できる
管理システムを導入すれば、店舗の入退館や会員情報などを一元管理できるため、顧客ニーズの分析がしやすくなります。お客さまの年齢や性別などの情報を分析できれば、効率的な広告の打ち方やサービスの改善点も可視化できます。
また、基本的な事務作業をすべてシステムが肩代わりしてくれるため、ヒューマンエラーが起きにくいのもメリットです。無人運営では金銭的な損失が減少するだけでなく、お客さまから寄せられるクレーム対応や閉店後の締め作業などの負担を軽減できます。
5. インドアゴルフを完全無人化する際のポイント
インドアゴルフの完全無人化運営には、メリットだけでなく、デメリットもあります。経営に失敗しないために、下記3つのポイントを押さえましょう。
- 予約管理システムを導入する
- セキュリティ対策を徹底する
- お客さまに対するサポート体制を強化する
5-1. 予約管理システムを導入する
予約管理システムは、レストランやホテル、病院、美容室など、不特定多数のお客さまが予約をして利用する施設・店舗において、さまざまな分野で導入が進んでいます。
予約管理システムは、お客さま自身で、予約や変更、キャンセルなどができ、店舗側も同様にリアルタイムで変化する予約の確認や顧客情報の確認ができます。中には、レッスン代や会費の事前支払いをはじめとするさまざまな便利機能を有するシステムもあります。事務作業を大幅に効率化できるため、店舗の完全無人化運営を考えている方は、導入を検討するとよいでしょう。
5-2.セキュリティ対策を徹底する
セキュリティ対策には監視カメラの設置とスマートロックの導入がおすすめです。監視カメラを設置すれば、お客さまが会員以外の人を入館させてしまう心配がありません。さらに、不法侵入があった際にすぐに対応することができます。監視カメラは、クラウド型がおすすめです。通常の防犯カメラは配線工事などが必要ですが、クラウド型であれば簡単に設置できます。また、外出先のスマホから閲覧できるため、万が一のトラブルにすぐ反応できます。クラウド型ではスマートロックがおすすめです。スマートロックとは、電源工事不要で簡単に取り付けられ、遠隔からアクセス権を変更できるツールです。スマートロックには、スマホで解除するものや暗証番号で解除するものなどがあります。
5-3. お客さまに対するサポート体制を強化する
無人で店舗運用するため、どうしてもお客さまとのコミュニケーションが取りにくくなる懸念があります。そのため、LINEによるサポートやZoomなどのビデオ会議ツールを使って、定期的にお客さまとコミュニケーションが取れる環境を作っておくとよいでしょう。
定期的にコミュニケーションを取り、信頼感や安心感を醸成していくことが継続率の向上にも繋がるため、大変重要なポイントです。
6. まとめ
インドアゴルフは、コロナ禍の影響によって、ゴルフを楽しむための手段の1つとなりました。若年層や女性など、今まであまりゴルフをしなかった層の集客もできるようになったため、インドアゴルフの市場規模は拡大を続けています。
インドアゴルフを開業する際は、開業地域にもよりますが、完全無人化運営の形態にするとコスパがよくなる可能性が高いです。その際は、予約管理システムの導入やセキュリティ対策、お客さまに対するサポート体制の強化などに注力するとよいでしょう。
この記事を参考にしていただき、インドアゴルフの完全無人化運営を検討してみてはいかがでしょうか。