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“共に歩む”リーダーシップ型から生み出す 笑顔が増える施設づくり

2023.10.30

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愛知県を中心に「アイレクス」ブランドでフィットネスクラブを展開する株式会社ハクヨコーポレーション(ホールディングス)。数々の複合商業施設のプロデュースも行い、地域住民からもよく知られた企業です。代表の笠原盛泰氏は学生時代からリーダーシップを発揮し、20代で起業。数々のビジネスをリードし、成功に導いてきました。常に人々の中心にいる同氏に、リーダーとしての資質を発揮していた学生時代のことや人を率いるうえでの心構えについてお聞きしました。

INDEX

PROFILE

笠原 盛泰 株式会社ハクヨコーポレーション 代表取締役

東京都生まれ。都立小石川高校から明治大学商学部卒業後、愛知県豊川市の材木業ハクヨグループに入社。材木業の修業後、新会社を設立し新規事業を開始。複合商業施設の総合プロデュース業務を展開し、デザインや設計のクリエイティブから財務までを理解する事業開発プロデューサーとして、多数のプロジェクトを実現。フィットネス事業にも平成9年から参入、アイレクスブランドで、デザインとクオリティによる差別化で全店舗を高収益化。その後、様々な分野で起業に参画し、現在、株式会社ハクヨコーポレーションをはじめ4社の代表取締役として活躍している。豊川商工会議所 副会頭や豊川市観光協会 会長など現在も多くの公職に就き、地域企業家として、まちづくりやボランティア活動をライフワークとしている。

公式Webサイトはこちら

1. “仲間と一緒に楽しみたい”という想いを強くした幼少期

私はひとりっ子で両親はともに働いていたため、保育園では一番最後にお迎えが来るような子どもでした。当時感じた寂しさからか、何事も「仲間と一緒に楽しみたい」「皆を喜ばせたい」という想いが強いのかもしれません。

小学生時代から、クラスや学年単位で動く行事などは率先してリーダーシップを発揮し、幼いながらも皆をまとめる楽しさ、面白さを感じていたように思います。学校の先生から「盛泰くんにいえば皆をまとめてくれる」と褒められたこともありました。

今でも何かに取り組む際には、「皆に楽しんでもらうためにはどうしたらいいか」という想いが根底にあります。

高校は小石川高校で進学校でしたが、勉強だけでなく、体育祭、創作展、芸能祭などイベントも盛んな学校でした。私よりも優秀な生徒はたくさんいましたが、ここでも体育祭の応援団長を任され、「人をまとめること」が自分の強みなのだと強く意識するようになりました。サラリーマンとして人にリードされるよりも、自分が企業のトップとして社員をまとめていきたいと考えるようになったのも、このころです。

高校卒業後は、明治大学の商学部に進学し、DJ(disc jockey)研究会に入りました。当時の音楽産業は活況で、音楽イベントも盛んに開催されていました。私もDJとして原宿や湘南で開催されるイベントによく参加しており、有名なレコード会社が開催した学生DJコンテストで準優勝した経験もあります。そのレコード会社が立ち上げた関東33大学の放送研究会・アナウンス研究会・DJ研究会など放送関係のサークルを集めた「ミミズク村」では、初代の村長として皆をとりまとめました。

大学4年生のときには、これらの実績をもとにイベントにDJを派遣する事業を始めました。これがビジネスを立ち上げた最初の経験です。

“共に歩む”リーダーシップ型から生み出す 笑顔が増える施設づくり

原宿ラフォーレFMでの学生DJ時代

2. 自己開示することで信頼を獲得し共に歩みたいと思われるリーダーに

幼いころからリーダー的な役割を任されてきましたが、私は単に強い理念だけで皆を引っ張っていくタイプのリーダーではありません。私が全体を統括するリーダーではあるけれど、メンバー一人ひとりが担当する分野を主体的にプロデュースする形で活躍できる組織が理想です。そして、全員の総力を合わせて成功を得ることで皆が笑顔になる、そんな瞬間を見ることが私の喜びなんです。

かつて、ある方から「人間には送り手(発信する側)と受け手(受ける側)という2タイプがある」と言われたことがあります。それを聞いたときに私は絶対に「送り手」になりたいと感じました。学生時代、様々な物事を発信することで、そこに喜びや楽しさを感じてくれる仲間がついてきてくれた経験があったためです。

送り手として大切にしていることは、自分の考えをきちんと発言することです。何も発言しない、どんな考えをもっているのかもよくわからない人物についていきたいと感じる人は少ないですよね。私はこれまで、自分の考えを言葉にして自己開示をすることで、周囲からの信頼も得てきたように思います。リーダーシップとはある意味「話すこと」つまり「情報を発信し、自己開示していくこと」だと考えています。

おかげさまで人前で話すことが得意なため、明治大学を卒業しテレビ局に就職した先輩からはアナウンサーになることを勧められました。決められた原稿を読むことに苦手意識があったためお断りしましたが、フリートークには自信がありました。もし引き受けていたら今ごろは古舘伊知郎さんに続く人物になっていたかもしれません(笑)

“共に歩む”リーダーシップ型から生み出す 笑顔が増える施設づくり

ハクヨグループ百周年のイベント時

3. 「地域の方が喜ぶものを」企画した商業施設から始まったプロデュース事業

3-1. 材木業に代わる新規事業として企画した「アイレクステラス」

大学を卒業後、結婚を機に妻の実家が経営する老舗の材木業を継ぐために愛知県へ移り住みました。1年ほど修行しましたが、材木業の将来に不安がみえていました。そこで、家族会議の末、私が新規事業を企画することになり、マーケティングリサーチ等をして考えた結果、生まれたのが複合商業施設「アイレクステラス」でした。

「アイレクステラス」のコンセプトは「人・暮らす・アップ」です。人々にとって身近なスーパーマーケットなどはあえて入れず、レストランやケーキショップ、美容室など、生活の彩りや質を高めるお店をそろえました。名前の由来は、この地にあった「もちの木」の学術英語「ilex」が由来となっています。

この施設が地域の人々から好評を得たことで、商業プロデュースの依頼が次々と舞い込むようになりました。全国にいる商業施設のプロデューサー100人に選ばれ、当時販売されていた『商業施設プロデューサー名鑑』(1995年6月 日経BP出版刊)で紹介されたこともあります。

商業プロデュース事業の成功は、人々が嬉しいと思うポイント、楽しいと感じるポイントを見つけるのが得意だったことも要因だと思います。仲間を喜ばせようと、まず自分が嬉しいことや楽しいと感じることを探していたところ、自然とそのようなポイントを見つける感性が磨かれていったんです。今では自分の感性に従えば、皆に喜んでいただける施設がつくれると自負しています。

3-2. 人だからこそできる顧客とのエンゲージメント強化に取り組むゴルフ事業

フィットネス業界に参入したのは26年前です。「アイレクステラス」のテナントとして入っていたフィットネスクラブが閉店することになり、引き継ぐかたちで「アイレクススポーツクラブ」をオープンしました。今では業態の異なる26施設を愛知県内で展開しています。

経営は順調でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大により2020年には同業他社と同様大きな赤字となりました。しかし、その後の会員の戻りは早く、2021年には黒字回復できました。地域密着、多業態かつドミナント戦略、全社員による質の高いサービスを提供してきたことと、地域の人々の憩いの場所となっていることが、早い回復を達成できた要因と考えています。

2022年には、複合商業施設「チトセテラス」をオープンし、その中に当社として初となる24時間インドアシミュレーションゴルフ練習場「アイレクスゴルフ24」を立ち上げました。オープンから半年で目標会員数を超え、順調です。

今後も店舗展開を予定していますが、周囲に競合が増えているのも事実ですから「アイレクスゴルフ24」では人による質の高いサービス提供で差別化を図りたいと考えています。必ずスタッフがいる時間を設け、人によるコミュニケーションに力を入れています。

そのためにも、入会手続きや決済は会員管理システム「hacomono」でスマートフォンからお客さま自身で手続きできるようにしました。いろいろなシステムを調べましたが、「hacomono」は理想とする運営の実現に一番適していると感じました。

ある程度、定型化されている入会手続きの説明にスタッフの力を使うのはもったいないです。定型業務はシステムで行い、システムでは代替の効かない、お客さまへの技術指導のほか、コンペなどのお客さま同士や、お客さまとスタッフをつなげるイベントの企画などにスタッフの力を使うべきです。人だからこそできる「お客さまとのエンゲージメントを強化するコミュニケーション」に注力してほしいと考えています。

4. 心身の健康を育む総合クラブの新たな価値創出に着手

コロナ禍の影響もあり、フィットネス業界には人によるサービスを極力削ぎ落とした、低価格帯の小規模施設が増えてきています。大型の総合クラブは減少傾向にありますが、施設規模や様々なアイテムがそろう総合クラブだからこそ、生み出せる価値があると考えています。弊社では、単なるスポーツ施設ではなく、地域の人々が様々な目的で集えるソーシャルクラブという、新しい総合クラブのかたちを模索しています。今年は、数年振りに海外のフィットネス施設の視察に行きたいと考えていますので、そこから新たなヒントを得て、必ず実現させたいです。

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