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KARADA BESTAを徹底解剖!代表 黄皓氏に聞く、パーソナルジム多店舗展開に成功した3つの理由

2023.07.03

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KARADA BESTAを徹底解剖!代表 黄皓氏に聞く、パーソナルジム多店舗展開に成功した3つの理由

30分間のパーソナルトレーニング×セルフエステ×有酸素運動という珍しい組み合わせのサービスを、月額32,780円(税込)で提供するサブスクリプション(以下、サブスク)型パーソナルジム「KARADA BESTA」。代表の黄 皓(コウ・コウ)氏は2021年に婚活サバイバル番組「バチェラー・ジャパン」にも参加し話題となりました。「KARADA BESTA」は2020年に1号店をオープンしてから、コロナ禍を経ても順調に店舗数を伸ばし、2023年2月現在19軒まで店舗を拡大しています。「KARADA BESTA」を生み出した背景や、いかにして店舗数を伸ばすことができたのか、同氏に語っていただきました。

INDEX

PROFILE

黄 皓 RILISIST株式会社 代表取締役

パーソナルトレーニングを受けた経験をきっかけに、自身が考える理想をかたちにしたパーソナルジム「KARADA BESTA」を2020年にオープン。30分間のパーソナルトレーニング×セルフエステ×有酸素運動サービスを月額32,780円(税込)というサブスクリプション型で提供し、話題になる。2020年にはミラーフィット株式会社を設立し、専用のミラーデバイスと専用アプリによって、自宅に居ながらにしてプロ監修による本格的なトレーニングプログラムを楽しめる、次世代型スマートミラーの普及にも力を入れる。

公式Webサイトはこちら

※所属や役職、記載内容はセミナー開催当時のものです。

1. パーソナルトレーニングを多くの人へ届けるため開業を決意

黄氏は早稲田大学を卒業後、大手商社勤務を経て2020年に「KARADA BESTA」を立ち上げました。それまでフィットネス関連の業務に携わった経験はなく、発案のきっかけは、自身がとある施設のパーソナルトレーニングを受けたことだったと黄氏は語ります。

「パーソナルトレーニングは、受けることで理想の体型に近づけ、それにより自信がつくなど、素晴らしいサービスだと感じました。ただ、商社に勤めていてそれなりに収入がある自分としても高いと感じるほどの会費だったので、これでは金銭的に余裕がある人しか通い続けられず、特に若い世代は受けられないと思ったんです。この素晴らしい体験を、もっと多くの人に届けたいと考え、2015年に『Human Produce Salon BESTA恵比寿』を立ち上げました。この店舗が『KARADA BESTA』の前身です」

「Human Produce Salon BESTA恵比寿」はカウンセリングをもとに、一人ひとりに合ったトレーニングを指導するだけでなく、ファッションやヘアメイクまで提案するという総合型サロン。レッスンの回数別に複数のチケットプランを用意し、運営をスタートしました。

2. 安定した売上創出のためサブスク型を発案

多くの方にパーソナルトレーニングの素晴らしさを伝えたいと立ち上げたものの、プランや入会数によって売上は毎月大きく変動し、安定しませんでした。経営への不安から、黄氏はスタッフに「来月は集客をもっとがんばってほしい」と強く伝えてしまうなど、皆が精神的なストレスを感じる状況に陥ってしまい、「安定して売上を得られるサービスにしなければ」という想いが同氏のなかで強くなっていきました。

同時に、価格設定についても課題を感じるようになります。一般的なパーソナルトレーニングジムが1レッスン10,000〜15,000円程度のところ、同施設は9,000円代からと割安に設定したつもりでした。しかし、会員からは「もっと安かったら続けられるのに」という声が。金銭的なハードルをさらに下げなければと考えたことが、サブスクリプション型(以下、サブスク)かつ通い放題の「KARADA BESTA」の立ち上げへとつながりました。

「KARADA BESTA」の由来は「be a star」からきています。スター性のあるインスタグラマーにあこがれる若者層が多いことから、「他人をうらやましがるのではなく、身体を変えることで自分自身がスターになって、自分のことをもっと好きになってほしい」という黄氏のメッセージが込められています。

3. “通っていることを誰かに言いたくなる”戦略で300人の入会を実現

サブスク型に切り替えることで経営側は安定した売上が得られるようになるほか、お客さまにとっては「通えば通うだけお得になる」ため、通うモチベーションにつながる好循環が生まれます。

しかし、いいことばかりではありません。黄氏が頭を悩ませたのが価格設定。ビジネスとしてきちんと利益を確保しつつもお客さまが続けやすい価格設定にするため、パーソナルトレーニングの費用が高額となる要因の1つである広告費を徹底的に抑えることにしました。前述した「バチェラー・ジャパン」への出演をはじめ、黄氏が積極的にメディアに出ることで、広告費をかけずに認知拡大を図ることにしたのです。

徹底したコストカットによって、会費を相場の3分の1程度である月額32,780円(税込)にすることに成功しました。月額10万円近くすることも多いパーソナルトレーニングが「月額3万円台で受け放題」という、思わず他の人に言いたくなるキャッチフレーズで口コミを増やす狙いもありました。実際、当時の黄氏のInstagramのフォロワー数が1,500人ほどであったのに対して、「KARADA BESTA」の告知を投稿したところ300件の申し込みが殺到したといい、狙い通りの効果を得ることに成功したのです。

レッスン時間は、一般的に60分のところを半分の30分に設定。月額約3万円代で通い放題でも利益を創出するための工夫でしたが、一方で、「30分のレッスンのためだけに、わざわざ移動時間をかけてまでジムに通ってくれるだろうか」という新たな懸念が出てきました。黄氏はその懸念を、次のような「KARADA BESTA」特有のメリットとして解決しました。

「人件費をかけずに提供できる別のサービスを30分プラスして合計60分としたらいいのではないかと考えました。お客さまは60分間のサービスを受けられますが、経営的なコストはレッスンの30分間だけで済みます。そこで思いついたのが、筋力トレーニングと相性のよい有酸素マシンとセルフエステでした。パーソナルトレーニングを受けている会員さまは『綺麗になりたい』という意識が高く、エステティックサロンにも通っている方が多かったので、これらを同じ場所で受けられたらいいのではないかと考えたんです」(黄氏)

「30分のパーソナルトレーニング×セルフエステ×有酸素運動」というサービスはこうして生まれ、人件費を抑えることで低価格を実現しながらも顧客満足度を高めて「通いたくなる」施設を実現させました。

4. 課題は退会率の高さ、定期利用を前提としたサービスが原因に

顧客体験の充実と経費削減を両立させたことで、立ち上げからわずか3年ほどで19店舗と順調に規模を拡大している同社ですが、課題がないわけではありません。

黄氏によると、多くのお客さまが、体験した結果「この金額でこのサービスを受けられるなら入会する価値があるかもしれない」と感じてくれると言い、見学入会率は月80%以上と非常に高いのですが、退会率も一般的なフィットネス施設が月3%台のところ、5〜10%とやや高い水準となっています。これは、利用者の年齢層が若く、定期的に通えなくなってしまうと割安に感じていた月会費が逆に大きな負担となってしまうことが理由です。

退会する際に「こういうサービスをつくってくれてありがとう」と感謝するお客さまが多く顧客満足度は高いため、現在は運動を継続することの大切さをトレーナーが積極的に伝えていくことで、退会の抑制に取り組むとともに、当日予約や前日のキャンセルを可能とすることで、より気軽な利用を後押ししています。

さらにカスタマーサクセス部門も立ち上げました。同部門のスタッフが店舗を訪問し、レッスンをモニタリングし改善点などをトレーナーにアドバイスすることで、指導スキルやコミュニケーションスキルの向上を図っています。

5. 施設稼働率90%×指名制なしでトレーナーに安定して働ける環境を提供

フリーランスで働くトレーナーのなかには、1レッスンにつき1万円などの高いレッスンフィーをもらいながらも予約の入り方にばらつきがあることで、収入が不安定な方も多くいます。契約に基づき施設には来たものの予約が入らず、指導の機会がないということがあるのも現実です。

「KARADA BESTA」では、いろいろな店舗で経験を積める機会を妨げないためにも、トレーナーは業務委託契約としていますが、全員に平等に指導機会を与えるために指名制をとらず、かつ店舗の稼働率を90%以上に保つことで、安定した収入を保証し、安心して働いてもらえるようにしています。こうすることで、質のよいレッスンの提供や、トレーナーの離職率を抑えることにつなげようとしています。そのため、店舗の稼働率が半年の間90%を超えない店舗や、トレーナーの数に対して十分なレッスン数が確保できない店舗などは基本的に閉めるようにしているとのことです。

トレーナーの評価は、指名数で確認することができないため、お客さまにアンケートを実施して、その結果をもとに決めています。このこともトレーナーたちのモチベーションを高め、質の高いレッスン提供につながっています。評価に直接つながることから、トレーナーも会員へ積極的に協力を依頼するため、70%以上と回答率も高く、評価するのに十分な回答数を得られています。

一方で、指名制をとらないことで、トレーナーが成長のための努力を怠ってしまうのでは? と考えた方もいるのではないでしょうか。この点について黄氏は「成長意欲が高いと感じるトレーナーには、店舗責任者や社員となる道を提案するなど、新しいステージを用意することで、モチベーションを高めています」と語りました。

6. まとめ

「KARADA BESTA」成功要因の1つは、これまでのフィットネス業界の常識にとらわれず、ユーザー目線で「あったらいいな」と感じるサービスを純粋に追求したことにあるのではないでしょうか。さらに、トレーナーにしっかりと会員へ向き合ってもらうため、入会・決済など時間がかかる事務手続きなどはオンライン化し、お客さま主導でスマートフォンから手続きができるようにしたことも、順調な店舗展開につながっているようです。

競合ひしめくパーソナルジムの領域において、アイデア力だけでなく、商社で培った分析力・実行力で成長し続ける新たなビジネスの形態を創出した黄氏のこれからに目が離せません。

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