さまざまな業態で導入されている店舗向け予約管理システムは、予約するお客さま側にも店舗側にとっても多くのメリットがあります。一方で、ネット予約ツールはメリットだけでなく、いくつか注意すべきデメリットも存在するため、導入後のメリットとデメリットをしっかりと理解した上で導入を検討すべきです。
この記事では、店舗向け予約管理システムを導入するメリットをはじめ、実際にシステムを導入した店舗の効果事例について詳しく紹介します。
INDEX
1. 店舗向け予約管理システムとは?
店舗向け予約管理システムとは、予約に関する業務をクラウド(ソフトウェアがなくても、インターネット上でサービスを利用できる仕組みのこと)上で一元管理できるツールのことです。予約の登録をはじめ、予約情報の更新、削除など、予約に関する一連の操作をオンライン上で完結できます。
従来、予約を受け付ける際は、電話やメールなどで受け付けた情報をスタッフが手動で管理する方法が主流でしたが、予約管理システムを導入することで、24時間365日、お客さまの好きなタイミングで予約できるようになりました。インターネットの普及が進んでいる現代社会において、なくてはならないシステムのひとつです。
2. 店舗向け予約管理システムの主な機能
店舗向け予約管理システムでは、店舗の予約業務を効率化するだけでなく、ほかにもさまざまな機能が搭載されています。ここでは、一般的に、店舗向け予約管理システムに搭載されている主な機能についてみていきましょう。
2-1. お客さま側に役立つ機能
まずは、店舗向け予約管理システムを導入することで、お客さまがどのような機能を利用できるのか解説します。
2-1-1. 予約管理
従来は電話やメールで問い合わせをしたり、直接店舗に行った際に予約をするのが一般的でしたが、予約管理システムを導入することで、お客さまは24時間365日いつでもどこからでも予約ができます。
2-1-2. 入会・決済
予約管理システムの中には、お客さまに専用アプリをダウンロードしてもらうと、お客さまが所有する端末上で簡単に入会手続きや決済を完了できるものも存在します。実際に来店せずとも、オンライン上で手続きや決済が完了するのが大きなメリットです。
2-1-3. デジタル会員証
予約管理システムの中には、デジタル会員証の発行機能を搭載しているものもあります。従来は会員カードを発行していた店舗も、アプリ上のQRを会員証として利用できるため、FeliCaや紙の会員証を発行する必要がありません。
会員証を持ち歩く必要もなくなるだけでなく、店舗のLINEページと連携することでさまざまな機能を利用できるなどのメリットがあります。
2-1-4. オンラインレッスン
予約管理システムの中には、オンラインレッスンを提供する機能を搭載しているものがあります。事前の予約受付や事前決済をはじめ、Zoomなどのビデオチャットツールを活用した視聴URLの案内までアプリ内で完結するため、いつでもどこからでもオンラインレッスンに参加することが可能です。
2-1-5. 入退館管理
24時間営業のフィットネスクラブや総合スポーツジム、インドアゴルフ(室内ゴルフ練習場)などで利用できる、予約不要でいつでも利用できる入退館機能を搭載している予約管理システムも存在します。スタッフが存在しない時間帯に入館したい場合に、顔認証システムやQR認証を活用して本人確認を実施することで、ドアの開閉や入館・退館との連携が可能です。
2-1-6. マイページ
予約管理システムを導入すると、お客さま自身で予約状況や受講履歴を閲覧・管理できるマイページを利用できます。入会や予約、決済などの一連の手続きがマイページ上で完結するため、店舗への電話や問い合わせが必要ありません。住所変更や支払い方法の変更なども、お客さま自身で簡単にできます。
2-2. 店舗側に役立つ機能
次に、店舗側にとって役立つ機能についてご紹介します。
2-2-1. 会員管理
予約管理システムでは、予約時に得た顧客情報の管理機能を搭載しています。お客さまの氏名や性別、電話番号、予約時間など、詳細なデータを把握・管理でき、条件を絞った顧客へのマーケティングを実現可能です。さらに、予約履歴をチェックできる機能も搭載されているため、リピーターになりやすい顧客属性の分析にも活用できます。
ネット上で受け付けた予約は、店舗側でも柔軟に変更できます。予約キャンセル待ち機能を活用して、キャンセルが出た際も素早く新たな予約を受け付けることができるため、貴重な機会の損失を防ぐことが可能です。
2-2-2. クーポン発行
予約管理システムの中には、独自のクーポンを発行できる機能を搭載しているものも存在します。割引条件やクーポンの種類、有効期限、発行枚数などを設定できるため、お客さまの条件や属性にあわせた最適なクーポンの発行が可能です。
2-2-3. シフト管理
ネット予約システムの中には、店舗で働く従業員のシフト管理機能を搭載しているものもあります。セキュリティ管理がされたシステムを導入することで、安全かつ便利なシフト運用を実現できるでしょう。
予約システムと連動させることで、必要な人材リソースを把握・管理することができます。社内共有もスムーズにできるため、業務効率化にも貢献してくれます。
2-2-4. 月謝自動支払い
ネット予約システムの中には、月謝の自動支払いに対応したシステムも存在します。特に、フィットネスクラブやパーソナルジム、ヨガスタジオ、スクールといった月会費や月謝制を導入している店舗にとっては、会費を手渡しで徴収する必要がなくなるだけでなく、未回収のリスクの軽減もできる大きなメリットがあります。
また、事前決済を利用できるネット予約システムの場合は、無断キャンセル予防にも非常に効果的です。来店時の支払いをせずにすむことから、フロント業務のスリム化への貢献も期待できます。
2-2-5. ロッカー管理
お客さま専用ロッカーの管理をする場合、ネット予約システムによるロッカー管理機能を活用すれば、契約手続きや空き状況の管理などが一元化できます。ロッカーの位置の選択から決済まで、一連の契約手続きをシステム上で完結できるため、店舗側の管理が非常に楽になります。
2-2-6. データ集計
予約管理システムの中には、データ集計の機能を搭載しているものも存在します。システム上にある顧客のデータを抽出し、年代や性別、予約頻度や利用頻度などを集計・分析したり、管理することが可能です。顧客の利用動向を詳細に分析することで、集客施策をはじめとするマーケティングや事業戦略に関する施策立案にも役立つでしょう。
2-2-7. POSレジ
店舗で取り扱う商品について、リアルタイムで販売管理できるPOSレジ機能を搭載している予約管理システムも存在します。購入履歴データは顧客データと紐付けて管理できるため、予約データとあわせて一元管理が可能です。お客さまのニーズを的確に把握できるため、マーケティングや事業戦略に関する施策立案にも活用できるでしょう。
また、システム内で自動集計できるため、業務中の点検や精算業務も画面のボタンをクリックするだけで完了することから、レジ開けやレジ締めの業務を大幅に短縮できます。
2-2-8. 在庫管理
予約管理システムを活用した、店舗の在庫管理もできます。在庫の登録をはじめ、減耗処理を行えるため、店舗の在庫状況を正確に把握することが可能です。商品を販売するだけでなく、返品処理した場合も自動的に在庫データと連動するため、店舗の在庫管理の手間を大幅に削減できます。
3. 店舗向け予約管理システムを導入するべき業種は?
店舗向けの予約管理システムを導入すべき業種は、次の通りです。
- フィットネスクラブ
- 各種スポーツスクール
- サウナ・エステ・ヘルスケア施設
- 飲食店
- クリニック・診療所 など
フィットネスクラブや各種スポーツスクール、エステ、ヘルスケア施設などは、予約管理システムを導入することで、予約コースやプラン、回数券などを一元管理できます。さらに、事前決済システムと連携することでお客さまの利用促進や無断キャンセルの防止にも活用できます。
飲食店においては予約管理システムを導入することで、予約人数やコースを記録できるためミスの発生を防止できますし、何より店舗スタッフの業務負担を大幅に軽減できます。
クリニックや診療所などは、予約の登録や変更を患者自身が行えるように改善できます。予約確認やリマインドメールを自動送信するなどして、予約受付を効率化できます。
4. 店舗向け予約管理システムを導入するメリット
予約管理システムを導入することで、予約に関する業務を効率化するだけでなく、ほかにもさまざまなメリットがあります。ここからは、予約管理システムを導入するメリットを店舗側とお客さま側の双方の視点からみていきましょう。
4-1. 店舗側のメリット
4-1-1. 事務作業の負担削減
予約管理システムを導入する最大のメリットは、予約業務をはじめとする事務作業そのものが効率化されることです。
電話、メール、SNSのダイレクトメッセージなど、予約の入り方はさまざまです。前述の方法の場合、予約を確定するまでスケジュールのやり取りをお客さまと行う必要があり、実際に予約が確定するまでに時間がかかってしまうケースが散見されます。
予約管理システムがあれば、自動で予約受付処理をしてくれるため、手間をかけずにミスなく予約の管理ができます。さらに予約確定のメールやリマインドメールも自動送信してくれるため、予約のキャンセル防止にも効果的です。
4-1-2. 顧客データの分析と活用
予約管理システムの中には、予約時に入力された顧客データを集積して、分析する機能を搭載したものも存在します。
来店頻度や年齢層、予約メニュー、利用コースなどのデータを分析すれば、それぞれのお客さまの特性にあわせたプロモーション施策の立案にも役立ちます。ターゲット層を絞っての新たなサービス開発にも活用できるため、マーケティング施策を行ううえで、非常に有用です。
4-1-3. 収益の向上
予約管理システムを導入することで、予約の無断キャンセル対策ができます。予約フォームから24時間365日好きなタイミングで予約受付できるため、機会損失を最小限に抑えられる利点もあります。
オンラインでさまざまな手続きが完了する形になると、利便性が向上し、お客さまのリピート率や継続率の向上にも寄与することから、店舗全体の収益向上も期待できます。
4-1-4. 人にしかできない業務の効率アップ
予約管理システムを活用することで、予約に関する業務のために人的リソースを割く必要がなくなるため、より質の高いサービスをお客さまに提供できます。
事務作業を大幅に削減することで、人間にしかできない業務に注力できるため、従業員の生産性やエンゲージメントの向上にも大きく貢献するでしょう。
4-2. お客さま側のメリット
4-2-1. いつでもどこでも予約が可能
予約管理システムを導入することで、お客さまはいつでもどこでも希望の日時に予約できます。電話をして、わざわざ店頭に出向く必要もなく、営業時間を気にして予約を取る必要もありません。スマホやパソコンから、ちょっとしたすきま時間に予約ができるのは、お客さまにとっても大きなメリットです。
4-2-2. 会計・入退館が簡単
近年では、予約管理システムに会計や入退館管理機能がついているものが数多くリリースされています。予約時に事前決済できることで、利用時に会計のやり取りをする手間がなくなり、入退館受付もセルフで行えるため、スムーズかつ短時間で手続きが可能です。
4-2-3. 直前予約や変更もスムーズ
予約管理システムは予約の空き状況と連動しているため、直前の予約や予約変更もスムーズに行えるというメリットがあります。「ちょっとした空き時間ができた際に利用したい」というお客さまも、わざわざ店舗に問い合わせることなくネット上で予約状況をチェックできるため、非常に使い勝手がよくなります。
予約変更やキャンセルをする場合もシステム上で管理できるため、手軽にスケジュール調整ができるのもメリットです。
5. 店舗向け予約管理システムを導入するデメリット
予約管理システムを導入するメリットはたくさんありますが、デメリットも存在します。ここからは、店舗向け予約管理システムを導入する場合のデメリットについて、みていきましょう。
5-1. 既存予約システムからの移行・併用が必要
既存の予約管理システムを使用している場合は、クラウドサービスを運用するためにデータなどの移行作業が必要です。場合によっては、しばらくの間既存システムと新規システムの併用が必要なケースもあるかもしれません。
予約管理システムの開発会社と相談しながら、スムーズにシステムを移行できるよう準備を進める必要があります。
5-2. セキュリティ対策が必要
予約管理システムの導入は、お客さまの大切な情報をクラウド上で管理しなければならないことを意味します。不正アクセスからお客さまの個人情報や予約管理システムそのものを守るために、厳重なセキュリティ対策を講じなければなりません。
予約管理システムを導入する際は、セキュリティ対策を万全に期せるかどうか、判断した上で検討することが大切です。
5-3. 導入費用・継続費用が発生する
予約システムを導入する際は、システムの利用料はもちろんのこと、必要なデバイスを購入しなければならないため、導入時にまとまった費用がかかるだけでなく、継続費用も発生します。
利用料は、導入するシステムによって大きく異なりますが、月額数千円~数万円程度のコストがかかります。中には、月額使用料無料で利用できるシステムもありますが、その場合は利用できる機能が大幅に制限されているものがほとんどです。
契約する際は、費用だけでなく契約期間の縛りについても確認が必要です。最低利用期間が設けられているケースもありますし、契約期間によっては月額料金が変動するものも存在するため、しっかり確認するようにしましょう。
5-4. システムの管理・操作方法の共有が必要
予約管理システムを導入する際は、店舗で働く従業員たちにシステムの管理方法や操作方法を習得してもらわなければなりません。予約管理システムを導入する際は、システム管理の責任者を配置することをおすすめします。新しい従業員に対するフォローアップやシステム管理をスムーズに行うためにも、最低でも現場に1人は管理者を配置するとよいでしょう。
5-5. 誤予約やキャンセル率が増える可能性
予約システムは、顧客が自由に予約できるというメリットがある反面、誤った日時で予約を取ってしまったり、簡単にキャンセルできてしまうなどのデメリットも生じます。対面でのコミュニケーションを取らずに気軽に予約できてしまうため、キャンセルに対する心理的ハードルが非常に低くなるのです。
また、予約時に店舗の人間とお客さまが直接コミュニケーションを取らないため、お客さまの人物像をイメージしにくいというデメリットもあります。
5-6. インターネットが使えないお客さまも存在する
業種や業態によっては、インターネットの利用に慣れていないお客さまが存在する場合があります。お客さまの取りこぼしを防ぐためにも、予約管理システムと並行しながら電話による予約受付の運用をする必要があります。
6. 店舗向け予約管理システムを導入する際の選び方
ここからは、店舗向け予約管理システムを導入する際の選び方をご紹介します。
6-1. 自店舗のサービスにあう機能が備わっているかチェック
まずは、自店舗のサービスに必要な機能やサポート体制、予算などを洗い出し、必要な機能やサービスが利用できるかを確認してください。店舗として予約管理システムに求める必須条件をピックアップしておくことで、スムーズに選定ができるでしょう。
6-2. オンライン決済対応のシステムがおすすめ
キャッシュレス決済が普及していることから、オンライン決済に対応している予約管理システムを導入するのが賢明です。幅広い客層のニーズにマッチするためにも、クレジットカードだけでなく、交通系電子マネーやコード決済サービスなど多様なキャッシュレス決済に対応するシステムを検討してください。
6-3. セキュリティ面の安全性が高いシステムを選ぶ
お客さまの個人情報を取り扱うため、高いセキュリティ機能を搭載しているシステムを選ぶことも大切です。情報を暗号化して管理する「SSL対応」やセキュリティ評価制度である「ISMS認証」を受けているシステムであるかをチェックすることで、ハッキングや不正アクセスから企業の機密情報や顧客情報を守れるでしょう。
6-4. 操作性・対応OSを確認する
予約管理システムは日常的に使用するので、操作のしやすさやわかりやすさ、幅広いOSに対応しているかどうかを確認する必要があります。なるべくストレスを感じない使い心地であるかどうかも、あわせて確認するとよいでしょう。トライアルでの利用や無料のお試し期間などを活用し、積極的にテスト運用をして使い勝手をチェックしてください。
6-5. LINE連携機能の有無で選ぶ
LINEとの連携機能のあるシステムを導入することで、幅広い世代のお客さまに対する利便性向上に大きく貢献するでしょう。入会や予約もLINEを通して完了するため、店舗側とお客さま側の双方にメリットがあります。LINEの公式アカウントと連携することで、すぐに運用を開始できる点も有用です。
7. 店舗向け予約管理システムの導入費用の目安
店舗向け予約管理システムを導入する費用目安は、大きく分けて「初期費用」と「月々の利用料金」、そして「オプション料金」の3つに分類されます。初期費用は、無料で利用できるシステムもありますが、数万円~十数万円程度かかるケースがほとんどです。
月額料金は数千円から数万円かかり、その他オプションをつけることで費用が加算されます。予算と利用したい機能やオプションを考えながら、最適な予約管理システムを検討してください。
8. 店舗向け予約管理システムの効果事例
店舗向け予約管理システムを実際に導入した企業の効果事例をご紹介します。
8-1. インドアゴルフ
都心でも安く気軽に練習できる施設をコンセプトに作られた、24時間営業のインドアゴルフ施設「SKIMA GOLF」では、人気の顧客管理システム「hacomono」と連携した入退室管理システムを導入し、完全無人営業を実現しました。
人的リソースを最小限に抑えることで、都心とは思えない低価格サービスを提供しています。
8-2. オンラインレッスン
大手フィットネスクラブのルネサンスも、顧客管理システム「hacomono」を活用したオンラインレッスンを提供しています。オンラインレッスンの予約や配信システムの基盤として予約管理システムを利用することで、レッスンの受講管理をはじめ、チェックインの有無に関しても確認が可能です。
パソコンなどのデバイスさえあれば、自宅にいながら気軽にレッスンに参加できることから、運動習慣の継続にも貢献しています。
9. まとめ
店舗向け予約管理システムを導入することで、予約管理に関する事務作業の効率化をはじめ、顧客データの分析や収益アップなど、さまざまなメリットが期待できるでしょう。
今回紹介したポイントを参考にしていただき、自店舗に最適な予約管理システムを検討・導入していくことをおすすめします。