リアル店舗の集客や宣伝には、SNSの利用がおすすめです。多くの方が情報収集のツールとして利用しているSNSは、人の目につきやすいという特性を持っており、各企業がSNSを利用したプロモーションを繰り出しています。SNSを活用して集客に成功した事例と、各SNSの活用方法について解説します。開業にあたり店舗アカウントの作成を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
INDEX
1. 店舗集客にSNSを活用するべき理由
SNSは多くの方に店舗の存在を知ってもらい、店内の雰囲気、サービス内容、興味をひく有益な情報を発信するのに向いています。もちろん店舗に足を運んでもらうというのが最終目標ですが、まずは知ってもらわなければ来店のきっかけが作れません。
店舗を知ってもらう方法の筆頭としてあげられるのが広告ですが、オフライン・オンライン(Web)ともに有料で、効果を最大化するためには専門知識が必要だったり、予算の兼ね合いから実施が難しいケースもあります。一方で、SNSは「簡単な手順でアカウントを作成でき、無料で利用できる」点が最大の特徴です。キャプションといっしょに写真や動画も一緒に投稿できるため、ユーザーに伝えたい情報をよりわかりやすい形で発信できます。
2. 店舗集客にSNSを活用するメリット
店舗集客にSNSを活用するメリットを、より具体的に掘り下げて紹介します。
2-1. 費用を抑えつつ運用ができる
SNS集客は無料で始められるのが最大のメリットです。SNSには、企業アカウントだけでなく、たくさんの個人アカウントがあります。有料のPRサービスが数あるなかで、無料で多くの個人アカウントを使って発信できるのはSNSならではの魅力です。企業から直接個人にコミュニケーションをとりにいくこともできるので、リピーターの獲得も目指せます。
2-2. 新規見込み顧客の獲得がしやすい
SNSを通じて、店舗を知らない人にも投稿が届くケースが多々あります。今まで関心がなかった人も見かけた投稿の内容によっては興味を持ってくれる可能性があるため、新規見込み顧客獲得のチャンスにつながります。
2-3. 拡散によって認知度を高められる
いわゆる「バズる投稿」というもので、SNSを利用している限り、バズる可能性はゼロではありません。バズった結果、ネットニュースに取り上げられ、大きく拡散されれば、フォロワー以外の目に留まるチャンスになります。拡散した結果、何万もの反応を得た商品が品切れになるケースも多々あるため、拡散による認知度の向上は侮れません。
2-4. ファンを獲得しやすい
ユニークな投稿を続けて多くのファンを獲得した企業アカウントもあります。ユーザーに興味を持ってもらえるような発信を続けていくと、ファンが増える可能性もあります。開催するイベントにあわせて面白ネタを発信したり、ささやかな日常の投稿をしてみたり、投稿の切り口はさまざまです。店舗名を書いて投稿してくれているユーザーに対して、積極的に反応(返信)していくのもおすすめです。
2-5. アカウント作成が簡単で導入がしやすい
アカウント作成にかかる時間は数分程度です。作成が終わればすぐにでも発信できるのが強みです。店舗開業後にSNSアカウントを作ったとしても、ロスタイムなく活用できます。
2-6. サービスの改善につながる
一方的に発信するだけでなく、SNSは直接ユーザーから意見を聞ける場でもあります。プラスの意見もマイナスの意見も、双方とも客観的な目線で見た貴重な意見です。店舗側では気づけないような部分をSNSでは指摘してもらえるため、サービス改善にも活用できます。
SNSは広告と同じ作用を持ちながらも、無料かつ手軽に導入できます。すぐに発信しなくても、集客の手段としてとりあえずアカウントを作っておくだけでも損はありません。店舗開業の際に、準備しておくのがおすすめです。
3. 店舗集客に活用するべきSNSの種類
店舗集客に活用すべきSNSを選ぶために、まずは種類と特徴を把握しましょう。
3-1. Instagram
- MAU数(マンスリーアクティブユーザー):約3,300万人
- ユーザー層:20~30代女性
- 拡散性:低
- 広告出稿:月間3万円程度で可能
- DM機能:あり
- コメント機能:あり
- ハッシュタグ機能:あり
Instagramは必ず写真をつけて投稿するSNSで、目をひく「映える」写真の記事が伸びやすい傾向にあります。検索はハッシュタグがメインなので、クオリティの高い写真とともに、どんなハッシュタグをつけるかによって見つけてもらいやすさが変わります。写真のクオリティを上げれば上げるほど、アカウント自体の見た目の華やかさが増して目に止まりやすくなるので、上手に利用していきたいところです。
3-2. Twitter
- MAU数:約4,500万人
- ユーザー層:若年層
- 拡散性:高
- 広告出稿:あらかじめ費用を決められる
- DM機能:あり
- コメント機能:あり
- ハッシュタグ機能:あり
RT(リツイート)することで拡散するSNSです。炎上リスクもありますので、投稿内容に気をつけなければなりませんが、集客を目指した投稿がいい意味で拡散されるケースも多数見られます。投稿が伸びるとかなりの反応数を集められて、トレンド入りする可能性もあります。
3-3. Facebook
- MAU数:約2,600万人
- ユーザー層:30~50代
- 拡散性:低
- 広告出稿:1クリックあたり100~300円
- DM機能:あり
- コメント機能:あり
- ハッシュタグ機能:あり
実名制のSNSで、ユーザーの年齢層的にも他のSNSに比べて落ち着いている印象です。拡散性は低いものの、発信できる情報量が多く、ビジネスの用途で使っているユーザーも多いため、ホームページの代わりにFacebookアカウントを持っている店舗もあります。
3-4. TikTok
- MAU数:約950万人
- ユーザー層:10~20代
- 拡散性:高
- 広告出稿:最低42万円~
- DM機能:あり
- コメント機能:あり
- ハッシュタグ機能:あり
若年層に人気のショート動画投稿がメインのSNSです。システム上、潜在層への拡散力が強いとされており、新規顧客の獲得につなげられる可能性が高いと考えられます。まだアクティブユーザーは他のSNSに比べて少ないですが、今後のユーザー数の増加が期待されています。
3-5. LINE公式アカウント
- MAU数:約9,400万人
- ユーザー層:多様
- 拡散性:低
- 広告出稿:1日1,000円から可能
- DM機能:トーク機能
- コメント機能:あり
- ハッシュタグ機能:あり
日本において、LINEはユーザー数が非常に多いSNSですが、ユーザーは、流れてくる情報を見るのではなく、店舗側からユーザー当てに直接送られてくるトークを見る形式になります。公式アカウントを作ってフォローしてもらう必要があるので、来店時に促したり、他のSNSを併用して登録を促す必要があります。
ユーザーに直接情報を伝えやすいだけでなく、LINE内でポイントカードを作成できるため、リピートにつなげやすい点もメリットです。
5大SNSはそれぞれの強みやユーザー層に違いがあります。すべてのSNSにアカウントを作ることもできますが、投稿が手間になってしまうので、まずは店舗のターゲット層にあったSNSのアカウントを作成・運用するのがおすすめです。
4. 店舗集客にSNSを活用する際のポイント
SNSを店舗集客に利用する際は、ポイントをおさえた戦略を練ることが大切です。具体的には、以下の6点です。
4-1. 運用する目的を明確にする
それぞれのSNSを運用する目的を明確に設定しましょう。宣伝がメインなのか、写真で店舗の雰囲気を伝えるのがメインなのかなどによって、投稿内容も変わってきます。
目的を設定する際は、同時に指標を持つと運用が円滑になります。
4-2. 専属の担当者を配置して更新頻度高く運用する
SNSは更新頻度が重要になるため、自力での投稿が難しい場合は、SNSの専属担当者をおいてこまめに発信していくとよいでしょう。ユーザーがアカウントから離れないようにするためには、少なくとも週に1度以上は更新していく必要があります。SNSへの反応数が多いのであれば、さらに頻度を上げていくと見込み顧客の獲得も期待できます。
写真が得意な人やユニークな文章を作成できる人などを配置すると、より効果が高まります。
4-3. 運用マニュアルを作成する
SNSは集客効果が見込めますが、ルールやポリシーに反する投稿をしてしまうと、炎上につながりやすいというデメリットがあります。運用マニュアルを設定しておき、普段から投稿内容に気をつかうのと同時に、万が一炎上が起こってしまったときの対策についても、決めておくのがおすすめです。
4-4. ユーザーに響く投稿を意識する
商品やサービスを売り込む際と同じく、ユーザーに共感してもらえるような内容を投稿するのが重要です。ユーザーに響く投稿は、拡散につながりやすく、多くの人の目にとまります。成功すると、有料広告よりも高い集客効果が見込めるケースもあります。
4-5. 運用するSNSの優先順位をつける
事業内容によって、向いているSNSと向いていないSNSがあります。複数のSNSに登録していると、例えばTwitterでは反応がいいのに、Instagramではあまり反応が得られないなどの結果が見えてきます。より反応のよいSNSを優先し、力を入れて運用して集客を伸ばしましょう。
4-6. ターゲットにあわせてSNSを使い分ける
店舗にもターゲット層があるように、SNSもユーザー層があります。自分の店舗のターゲット層にマッチしたSNSを利用し、より集客効果を最大化できるように運用していくのがおすすめです。例えば、若い人に見てもらいたい場合はInstagram、ファミリー層に見てもらいたい場合はFacebookなどの使い分けがおすすめです。
SNSはうまく運用できれば高い集客効果を得られますが、そのためにはさまざまな工夫が必要です。漠然と運用するのではなく、ポイントをおさえてアカウントの育成をしましょう。
5. 店舗集客にSNSを活用する際の注意点
SNSは、運用を間違えると集客が伸びないだけでなく、最悪閉業に追い込まれてしまうケースもあります。注意点を把握し、正しいSNS運用をしましょう。
5-1. 炎上によるリスクに注意する
よい情報が拡散されやすい一方で、悪い情報も拡散されてしまいやすいのがSNSの特徴です。不特定多数が閲覧するSNSでは批判が集中すると炎上につながってしまいます。1つのSNSで炎上すると、他のSNSにも影響が出てしまいます。
店舗アカウントとして、こまめに有益な情報を発信していきたいところですが、投稿前に一度内容を見返し、不適切な発言がないかチェックしましょう。
5-2. 長期的な施策と捉える
SNSは、短期間で結果を出すものとして利用するのではなく、長期的に見てアカウントを育てていき、いずれ集客に役立てるつもりの運用を目指しましょう。すでに万単位のフォロワーがいる場合なら、集客が期待できるかもしれませんが、作ったばかりのアカウントはいずれもフォロワーなしの状態から始まります。
フォロワーを増やす方法としては、有益な情報を発信する、広告出稿をする、インフルエンサーに案件を依頼するなどです。しかしいずれも費用がかかりますし、フォローを継続してもらえるとは限りません。無料で利用し続けられるのがSNSのよさなので、長い目で見て運用し、地道にファンを獲得していくつもりで運用するのがおすすめです。
手軽に利用できるSNSだからこそ、注意点を頭に入れておき、リスクマネジメントしていかなければなりません。正しい運用を長く続けられるように、注意していきましょう。
6. 店舗集客にSNSを活用した成功事例
SNS集客の効果最大化を目指すために、まずは成功した事例の手法を参考にするとよいでしょう。以下に、大手企業のSNS活用事例を4つ紹介します。
6-1. 無印良品 Instagramの活用事例
Instagramは特に写真のクオリティが求められるSNSです。無印良品の洗練された商品との親和性が高く、ユーザー側が飽きないように工夫して撮影された写真が、アカウントを美しく彩っています。
商品の使用例やレイアウトを投稿し、コンセプトを発信することでユーザーの購買欲を刺激し、集客へと巧みにつなげています。
6-2. セブン-イレブン・ジャパン Twitterの活用事例
TwitterのRT機能をうまく利用し、ユーザーが拡散したくなるような情報を発信しているのが特徴です。セール情報だけでなく、自社製品の魅力をさりげなくアピールし、宣伝をあまり意識させないような巧みなプロモーション手法をとっています。
顧客から寄せられた声をそのまま拡散して話題を作っていくのは、拡散性の高いTwitterにおいて有効な手法でしょう。
6-3. ヤマダデンキ LINE公式アカウントの活用事例
LINEの公式アカウントから発信するチラシに力を入れている例です。もともと紙のチラシでの宣伝を盛んに行っていたヤマダデンキですが、年々紙のチラシをみるお客さまが減ってしまったため、LINEチラシを利用しはじめたという背景があります。
従来のチラシのようなレイアウトではなく、スマホで見やすいレイアウトに切り替えています。同時にクーポンも発信し、購買意欲を向上させています。
ブランド力のある企業も、SNSを媒介にした集客に取り組み始めています。もしSNS集客に伸び悩んでいると感じているなら、他企業の活用例に改善策を見いだせるかもしれません。
7. まとめ
SNSには、多くの企業アカウントが登録されています。集客に効果的な運用方法を学べる場でもありますので、まずはアカウント作成だけでもしておくのがおすすめです。効果的なプロモーションや魅力的な投稿、社会の関心の傾向など、運用方法が定まっていない段階であっても、リサーチの場として活用できます。はじめは苦戦する部分も多いですが、SNSは予算がなくてもできる有効な集客手段のひとつなので、長い目で見ながら運用してみてください。