千葉県を中心に、2歳から中学生・高校生まで、高校・大学入試を見据えた英語学習スクールを全6校展開している「マーガレット外語学院」。学習業界でキャリアを積んだ後、2017年に「マーガレット外語学院」をM&Aで取得し、現在のような英検合格・受験対策に強い英語学習スクールに作り上げた浦浜 恵美氏に、現在の事業や今後の展望についてお話をうかがいました。
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PROFILE
浦浜 恵美 株式会社マーガレット 代表取締役
大手旅行会社にてキャリアをスタートし、結婚を機に北海道へ移住。その後、専業主婦を経て教育事業に携わるようになる。株式会社シェーンコーポレーション、株式会社IBジャパンなど英語教育機関における現場から役員に至るまでの幅広いキャリアを活かし、2015年にマーガレット外語学院を事業として引き継ぐ形で創業する。2017年には同校をM&Aで取得し、英検合格・受験対策に強い現体制に作り上げた。
1. 黒字化を目指して運営スタイルを変更、ニーズからたどり着いた英検対策特化型スクール
—— マーガレット外語学院は2015年当初から現在のようなスタイルだったのでしょうか。
当初は、一般的な英会話教室のような運営スタイルでした。しかし、なかなか黒字化できませんでした。英会話教室には、ネイティブスピーカーの講師と日本人講師、1教室に2人の講師が必要なのです。それでは黒字化できないと考え、サービスの質を上げることで単価を高められる方法を模索し、現在の英検対策や受験対策に特化したスタイルに変更しました。やはり、英検対策、受験対策というのは保護者から強いニーズがありましたから。退会者が出ないか心配しましたが、丁寧に説明したことで、退会は少数に抑えられました。
—— 転換後すぐに黒字化できたのでしょうか。
何年かは苦労しましたね。眠れない夜もありました。でも現在は、英検合格者1,530名以上となり、「楽しく学べる」という評判も広がり、そのおかげで黒字経営を達成できるようになりました。
—— 現在、英語学習スクールの市場環境は激化しているように感じますが、いかがでしょうか。
激化しているのは間違いないですね。2020年に小学校での英語教育が必修化されて以降、保護者の意識が変わってきていることを感じます。子どもの将来を見据えて小学生で英検3級を取得させるなど、早期学習へのニーズが高まっています。
—— 大人向け教室もありますが、やはりニーズが高いのは子ども向けのレッスンなのですね。
子どもたちの夢を応援したい。そのことが最優先なんです。年少から高校生まで、子どもたちの成長に携われることは最大の喜びです。

株式会社マーガレット 代表取締役 浦浜 恵美氏(写真中央)
2. 「余計なものは売らない」真に必要なサービス提供でLTVを向上
—— 集客施策としては、どのようなことをされているのでしょうか。
チラシなどもあまり打っていません。SNSなどの展開はまだ模索中ですが、動画をInstagramにアップするなどしています。情報発信としては、ホームページでコラムを掲載しており、これがSEOに奏功しているようです。コラムは、私が現場で見聞きした保護者からの声をもとに、保護者が気になるであろう情報を5,000文字程度にまとめてもらっています。ネタの選定からコラム作成まで、すべて社内で作成しています。
—— これまで英語学習スクールを運営されてきて、生徒に長く通ってもらえるスクールをつくるためにはどのようなことが重要だとお考えでしょうか。
小手先のテクニックは通用しないと考えています。目の前の一人ひとりの生徒さんに英語を好きになってもらえることを、ネイティブ・日本人講師・スタッフ全員で考えることが重要です。例えば、目先の売上を上げるために必要のないサービスや教材を売るようなことは絶対にしないようにしています。その生徒さんが必要なサービスを的確に提供することが重要です。そうすることで、顧客満足度は上がり、結果的に信頼につながり、長く続けていただけます。
—— 2025年4月に北習志野校を全面リニューアルされました。これまでと比べて、どのような点が変わったのでしょうか。
教室はこれまでよりも広くなり、より快適で落ち着いて学べる空間に生まれ変わりました。また、「いつでも質問できる自習室」も新たに設け、生徒が自分のペースで学びながら、困ったときにはすぐに質問できる環境を整えています。講師の質はもちろん大切ですが、教室そのものが「ここで勉強したい」と思えるような場所であることも、生徒のやる気につながると考えています。

3. 業績不振の教育機関をM&Aで再建し、質の高いレッスンをより多くの生徒へ提供したい
—— これまで続けてこられて、良かったと思われる点はなんでしょうか。
入会時に、椅子に座ったら足が床に届かないほど小さかった子どもが、成長して「大学に合格したよ」と報告をくれた時は感動しましたね。「思春期にあんなに反抗的になっていたのに…」と成長を感じます。他には、事務所で作業をしている時に、ふと生徒の声や教室でレッスンしている声が聞こえてきた時などにも、幸せを感じます。
—— 人材育成においては、どのようなことに注力されていますか。
皆に自立して考え、行動できる社員になってほしいので、幹部人材を育成中です。優秀なパートスタッフの方も多いので、正社員にならないかと声をかけてもいるのですが、生活スタイルに合っているので「パートのままがいい」という場合が多く、そこは無理強いはしないようにしています。ちなみに、社員には利益の35%を還元と、給与を高く設定しているので辞める社員は少ないです。
—— 今後の事業構想についてお聞かせください。
店舗数を増やしていくよりは、既存店舗のフロア拡充などを進めたいと考えています。他には、厳しい経営環境にある教育機関の再生を目指したM&Aに力を入れていく予定です。もともとの機関が持つ強みを活かしつつ、指導の質が高く生徒が辞めないスクールを作っていきたいと思っています。
—— M&Aは既に実施されているのでしょうか。
最近、インターナショナルプリスクールのM&Aを行ったのですが、保護者のニーズが英語学習スクールのそれとまったく違うことを知り、経営面でも教育面においても勉強になりました。そして、新しいビジネスのヒントを得ることもできました。
—— 既存店舗の拡充やM&Aなど、より多くのお子さまが質の高い英語教育に触れる機会が増えることは日本の将来にとっても、とてもいいことだと思います。御社の今後のお取り組みに注目していきます。本日はありがとうございました。
