パーソナルジム「ビーユー」は、代表の髙正 康平氏が24歳で創業しました。トレーナーの完全専属性を軸に、一人ひとりの身体課題に向き合い、成果を重視した運営を行っている点が特徴です。既存店舗の運営が安定していることを確認したうえで出店を進める堅実な戦略で現在は6店舗を展開しています。本記事では、同氏に創業の背景とともに、継続率と成果を両立させるための運営の考え方について訊きました。
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PROFILE
髙正 康平 株式会社BeU 代表取締役
順天堂大学スポーツ健康科学部卒。学生時代からトレーナーとして活動を開始し、ストレッチ専門店や整形外科、大手パーソナルジムで経験を積む。これまでに3,000名以上の身体改善・ボディメイク指導に携わる。2020年にビーユーを創業し、現在も現場に立ち続けながら、完全専属性と成果重視を軸としたジム運営を行っている。
1.完全専属性で「一人ひとりに向き合う」ジムを創業
—— 大学ではスポーツ学部に在籍していたそうですね。フィットネス業界へ進まれたのは自然な流れだったのでしょうか。
在学中はアスリートと接する機会が多く、たくさんの選手の身体をみることができました。痛みや怪我の改善を中心にサポートするなかで、ストレッチ等の身体のケアに加えてトレーニングの重要性を強く認識したのもこのときです。
卒業後も、多くの方の健康に貢献したいと考え、健康サービスを提供する企業に就職しました。フィットネス事業部に配属され、その会社が運営していたジムのトレーナーとして2年間ほど現場で指導した後、独立してビーユーを立ち上げました。
—— なぜ独立という道を選んだのでしょうか。
そのジムは担当制ではなかったため、お客さまのお悩みに継続して対応していくことが難しく、根本的な改善にまで至らないケースも多くありました。そうした経験から、次第に「一人ひとりのお客さまにもっとじっくり向き合いたい」という想いが強くなったことが理由です。
「かかりつけ医」がいるように、「かかりつけのトレーナー」がいるべきではないか。そうして、トレーニングを通じて姿勢や肩こり・腰痛など、体の不調を改善できるジムにしたいと考え、ビーユーを立ち上げました。ブランド名には「今の自分より、もっといい自分になろう」という意味を込めています。
—— 店舗の立ち上げにあたり、集客に向けてどんなことに取り組んできましたか。
立ち上げ時は、Googleマップへの口コミの投稿も含め、まず「お客さまの声」を集めることに注力しました。ある程度お客さまの声が集まった段階で、それを反映させたHPやLPを制作し、広告を展開することで露出を増やしていきました。実際の顧客の言葉をもとに訴求を設計することで、ニーズとのズレを防ぐことができると考えたためです。同時に、新規集客だけでなく、既存会員にもきちんと向き合い、継続していただくことにも力を入れてきました。
2.パーソナルジムで成果を最大化するための運営設計とは
—— ビーユーの立ち上げにあたりこだわった点や、特徴を教えてください。
「成果を最大化する」ことを目的に、運用面も含めて仕組みを設計している点です。 ビーユーでは、理学療法士や整体師などの有資格者を中心に、1人のお客さまに専任のトレーナーが伴走する完全専属性を採用しています。担当を固定することで身体の変化をより正確に捉えられるようになり、成果につながりやすくなると考えています。
さらに、毎セッションごとにヒアリングや写真撮影を行い、身体の変化を可視化しています。セッション後にはトレーニング内容のフィードバックや自宅でできるトレーニングの共有、宿題動画の提供などを行うことで、ジム外の時間も含めて継続できる仕組みを整えています。
主な顧客層は30代後半から60代で、ボディメイクだけでなく、姿勢改善や肩こり・腰痛といった身体の悩みを抱える方が中心です。ダイエット・ボディメイク系のパーソナルジムが多いですが、根本的な改善を求めるニーズに応えることを重視しています。
—— トレーナーの方は正社員または業務委託のどちらで採用されていますか。
立ち上げ当初は正社員雇用も行っていましたが、自主性を重んじる社風とは合わないと感じ、現在は業務委託を中心としています。トレーナーには「お客さまの成果にこだわってほしい」という点だけを伝え、それ以外についてはマイクロマネジメントを行わず、プロとして一定の裁量を持って任せています。その結果、トレーナーの主体性が高まり、サービス品質の向上にもつながっていると感じています。
また、私は経営者であると同時に現場に立つトレーナーでもあります。ほかのトレーナーと接する際もできるだけ対等な目線を意識し、課題があれば一方的に指示を出すのではなく、意見を聞きながら一緒に解決していく姿勢を大切にしています。
—— 成果を出すこと以外に、会員さまに継続していただくために取り組んでいることはありますか。
プラン提案においては、「こちらが売りたいものではなく、お客さまのニーズをくみ取ったうえで、通いやすいプランを提案してほしい」と弊社のトレーナーには伝えています。無理強いは絶対にしません。短期的な売上ではなく、長期的に継続していただくことを重視しているためです。
また、料金設定についても、トレーナーへ適切に還元できる水準を維持することを意識しています。サービス品質と働きがいの両立が、結果として顧客満足度の向上につながると考えています。
3.「三方よし」を軸にした店舗展開戦略
—— ビーユーの立ち上げから7年目に入り、店舗は6店舗へ増えています。出店におけるポイントはありますか?
自社の強みや競合との差別化をどうするのか、ポジショニングを明確にしたうえで出店することが重要だと考えています。お客さまは複数のジムを比較するため、その中でどの立ち位置を取るのかを整理しておかないと、特に競争の激しいエリアでは埋もれてしまいます。変化が激しい業界なので、課題に対して日々対策を講じています。
—— 今後の店舗展開について教えてください。
友人など身近な方が手を挙げてくれた場合はFCという形態も採用していますが、基本は直営での展開を考えています。もともと多店舗展開を前提にスタートしたわけではありませんが、より多くの方の身体を変えるきっかけを提供したいという想いで取り組むなかで、現在の店舗数まで拡大してきました。
—— 店舗が増えるなかで大切にしている指針はありますか?
「お客さまの悩み改善」「スタッフへの還元」「会社の成長」のいわゆる“三方よし”のバランスを重視することです。どれか一つでも欠けてしまうと、健全な運営は難しくなります。そのため、店舗展開を急ぐのではなく、既存店舗の運用がしっかりとまわっていることを確認したうえで次の出店を行う方針です。
—— 採用も必要になりますね。
ジムの数が増えていることもあり、理想とする人材の採用は年々難しくなってきていると感じています。ただ、フィットネス業界を志す方は、「人の身体を良くしたい」「健康をサポートしたい」という想いを持っている方が多いはずです。その想いを実現するうえで、「成果を出す」ことは欠かせず、成果を出すためには様々なアプローチ法を学び続けることが必要です。お客さまのお悩み改善と、自分自身の成長を目指す方とともに、今後も一緒に事業をつくっていきたいと考えています。
