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「フィットネス業界の変革者」誕生の舞台裏と新たなる挑戦

2023.08.28

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ニュージーランド発、世界100ヶ国以上で提供されているグループフィットネスプログラム「Les Mills」(以下、レズミルズ)のインストラクターとして活動する谷 顕真氏。世界中に13万人いるとされるレズミルズインストラクターから選ばれ、フィルミング(レズミルズのインストラクター教材ツールやLES MILLS Virtual™のレッスンなどで使用される映像の収録を指す)にも出演を果たしました。いまやレズミルズの「顔」ともいえる存在の谷氏に、これまでのキャリアや今後の展望について聞きました。

INDEX

PROFILE

谷 顕真 Les Mills Japan ナショナルトレーナー

レズミルズのインストラクターとしてフィットネスクラブでレッスンを行うかたわら、その指導を行うインストラクターを養成するトレーナーとしても活躍。 サプリメントメーカーのHALEOや心拍数モニターであるPolarのアンバサダー、スポーツ用品メーカーadidasのスポンサードアスリートなどを務める。

https://www.lesmills.com/jp/

https://instagram.com/ken_kenshin.tani/

1. 良いご縁に導かれ、自身の特技を生かしたトレーナーの道へ

——今日は、谷さんについて、いろいろ伺えるとうれしいです。よろしくお願いします!早速ですが、さまざまな分野で精力的に活動されていますが、最近は特にどんな分野に注力していますか?

こちらこそ、よろしくお願いします!

直近で特に力を入れているのは、後輩の育成です。2023年の4月からはレズミルズのイベントなどでパフォーマンスを行うプレゼンターを育成する、プレゼンターコーチに就任しました。

あと、自分と同じフリーランスで働くインストラクター(以下、フリーインストラクター)をバックアップしたくて、そのための人脈を広げるコミュニティづくりや、学びの場づくりにも取り組み始めています。

——谷さんといえば「高い身体能力」ですよね。話し方も明快でわかりやすくて、インストラクターはまさに天職だと思いました。そもそも目指したきっかけは何ですか?

ありがとうございます。運動が得意だったので、最初は体育教師になろうと思っていたんです。進学したスポーツ大学でバスケ部にトレーナーとして入り、そのための知識を身に付けようと近所の総合フィットネスクラブでインストラクターとしてアルバイトを始めて、そこでレズミルズとも出合いました。幅広い年齢の方、それぞれの課題や目的に対応することが本当に楽しかったので、これを仕事にしようと決めました。

——ご家族も運動が得意なんですか?

私は三人兄弟の末っ子なんですが、すぐ上の兄は自分よりも運動神経がよかったです(笑)。一番上の兄は元高校の教師で、父は大学の教授をしていました。私も、生徒会の副会長を務めたりと、学生時代からリーダーを任されることが多かったので、人々を指導したり、リードすることが得意な家系なのかもしれませんね。

「フィットネス業界の変革者」誕生の舞台裏と新たなる挑戦

——三人兄弟であることは、ご自身の強みやパーソナリティに影響を与えていますか?

自分の強みは、ほかの人が意外に思うようなことを考える「発想力」と、発想したことを実行したら周りがどう感じるか?を考える「分析力」なんですが、これは家庭環境の影響かもしれません。

小さいころから「周りの人のことを考えて行動しなさい」と両親から教育されていましたし、三男として、2人の兄を見ながら、「どうしたら親から怒られないか」「褒められるか」ということをいつも考えていましたから。

——素敵なご両親ですね。ご実家は、お寺だと伺いました。

そうです。だから子ども心にも、一般家庭と違うなと感じたことがたくさんありました。クリスマスもフツーの日でしたね(笑)。

我が家では「ラッキー」「運がよかった」という言葉を使うと注意されたんです。「よいことが偶然起きた」のではなく、すべては「よいご縁や出会いが招いたこと」という考え方だったので。両親からはよく「出会いに感謝しなさい」と言われたので、その意識は常にあります。

——何事にも前向きな姿勢やコミュニケーション能力の高さは、ご両親の影響かもしれませんね。指導でも強みになる点かと思いますが、いかがでしょうか。

レズミルズ自体、運動が苦手な方でも、皆で音楽にあわせて楽しく動いているうちにあっという間に時間が過ぎてしまうような没入感のあるプログラムなんですが、さらに集中してもらうために、様々な感情の変化を感じてもらえるように工夫することが得意です。その感情の変化から、スタジオを非日常空間に感じてもらうことを大切にしています。

あと、何事もポジティブに考える性格なので、「運動って楽しいな」とお客さまをモチベートすることも得意です。日本人って、自分がうまくできないことをネガティブに捉えがちですが、それは「伸びしろ」ですよ。できないことを知ることも、「良い出会い」です!

「フィットネス業界の変革者」誕生の舞台裏と新たなる挑戦

2. キャリアを積んでも常にお客さまを輝かせるサポーターでいたい

——アルバイト時代から含めると20年以上、フィットネス業界に従事されていますが、影響を受けた方はいますか?

たくさんいて、1人に絞るのは本当に難しいんですが……(思案中)「大きなターニングポイントを与えてくれた」という意味では、レズミルズの前ヘッドトレーナーである、バス・ホランダーさんですね。

同じ年齢の彼が、ヘッドトレーナーとしてレズミルズを日本で広めようと奮闘する姿にはとても刺激を受けましたし、私が世界で通用するレズミルズインストラクターとなるために、たくさんのアドバイスやバックアップを提供してくれたことには、本当に感謝しています。

——その結果、レズミルズのフィルミングへの出演に結びついたんですね。ひとつの到達地点というふうにお見受けしますが、いかがでしょうか。

どんなに素晴らしい出来事でも、自分のなかでは次のステップへ進む過程の1つでしかないですね。その瞬間には、もう次の目標に向けてワクワクしてしまうので。もちろん、フィルミングに出演できたことは、間違いなくうれしかった出来事です!

——次のステップに進むために、ご自身では普段、どのようなトレーニングをしているんですか?

マシンを使ったトレーニングは実施していません。ボディメイクを目的にしたトレーニングは行っていないので、部位別でトレーニングすることや食事制限は一切していません。動きやすい体をつくるために、自重トレーニング(自分自身の体重を負荷にして行うトレーニング)やダンベルやバーベルを使って一度に多くの筋肉や関節を使うトレーニングが中心で、お客さまに対する指導も同様です。

——たくさんの経験をするなかで、トレーナーやインストラクターに重要なことは何だと思われますか?

お客さまの気持ちを汲み取る力ですね。多くのお客さまをリードする立場のインストラクターって、つい気持ちよくなって、独りよがりなレッスンをしがちなように思います。

そうではなく、中心はお客さまで、インストラクターはお客さまを輝かせるサポーター。お客さまが求めているものを察知して提供することが大切だと思うんですよね。自分のレッスンでもそのことを意識しています。

3. 「レズミルズの普及」と「家族との時間」、両方を実現するために学び続ける

——お話を聞いていると、とても真面目で誠実な方という印象を受けます。羽目を外すなんてことはなさそうですが、「やってしまった!」という失敗談はありますか?

フリーランスになったばかりで交通事故にあったことですね。仲間と「これからがんばろう!」と決起集会を行ったら終電を逃しそうになって。あわてて駅に向かう途中で、信号を見間違えて、車にはねられちゃったんです。

——車に……!想像した以上のやってしまった出来事ですね……!

当時、第一子が生まれて、マイホームも買ったばかり、だけど会社を辞めたから定期収入ゼロという状況で。焦りましたね〜。腓骨を骨折しましたが、2週間後に出演が決まっていたイベントにはなんとか出ました。でも、レギュラーレッスンは担当できるまでに1~2ヶ月かかりました。

妻からは、「『これから!』というときに、服は血だらけ、頭には包帯ぐるぐる巻きで帰ってくるなんて、ぶっ飛び過ぎてて、怒るに怒れなかった」と言われました(笑)。

——奥さま含め、ご家族のお写真はInstagramにもたまに登場しますよね。谷さんにとって、ご家族はどんな存在ですか?

家族と過ごす時間は、私にとってとても大切な癒やしの時間です。フィットネスは心身を健やかに保つための手段で、私はその指導者であるインストラクターという仕事が大好きです。でも、フィットネスが人生の中心になるのは少し違うなと。中心には家族の存在があって、私の人生を充実させてくれる要因のひとつがフィットネスであり、インストラクターという仕事だと考えています。

——家族の時間(プライベート)を充実させることが、仕事の充実にも繋がっていきますよね。インストラクターの働き方について、どのように考えていますか。

インストラクターって職人気質な人が多くて、トレーニング方法については積極的に学ぶけれど、例えば税務処理や資産運用とか、自分の人生を豊かにするための学びについては後回しにしてしまいがちなんです。でも、私は、知識やスキルを身に付けることで、その人にあったよりよい働き方を見つけられるようになるのではないかと考えています。給与や勤務時間などを調整できるようになれば、結婚して家族ができても、辞めずに長く活躍できるようになります。

先ほど少しお話しした、インストラクターのコミュニティや学びの場づくりは、そのためでもあるんです。人生を豊かにするための知識やスキルをシェアすることで、より充実した人生を送るインストラクターが増えるとうれしいですね。インストラクター自身の生活が充実することで、回り回ってお客さまにとってもいい影響を与えられると思います。

——プライベートにも仕事にも真摯に向き合われている谷さんが、もし10億円を自由に使っていいよと言われたら、何に使いますか?

日本のトレンド中心地である渋谷や原宿などに、日本のレズミルズを世界に発信できるような大きな施設をつくりたいです。レッスンを実施したり、数百人・数千人規模のイベントもできて、レズミルズインストラクターが「ここで一度は働いてみたい!」と目標とするような場所にできたらいいですね。

——レズミルズの普及に注力されるのですね。そんな谷さんの今後の目標について教えてください。

大きな目標は、世界に通用するレズミルズインストラクターの輩出です。そのためにも、まずはインストラクターの社会的地位向上に取り組みます。それがフィットネス業界の活性化につながり、ひいてはレズミルズ愛好者を増やし、レズミルズインストラクターのスキルアップにつながっていくと思っているんです。いつか世界中からレズミルズの愛好者が集まってくるようなイベントを、日本で開催できるぐらいの状態にしたいですね。

——それでは、最後に、もしご自身にキャッチコピーつけるなら、どうされますか?

これ、自分で言うのは照れますね(笑)。昔から、私のことを知っている方の言葉を引用するなら、「フィットネス業界の変革者」でしょうか。過去の慣習に囚われることなく、フィットネス業界をよくできる可能性があることならばやってみようというスタンスなので。

——道なき道を切り拓いて来られた谷さんにぴったりのキャッチコピーですね!本日は、ありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました!

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