トレーナ1人が最大4人を同時に指導するセミパーソナルジム「GOODLIFE GYM」。コミュニティづくりにも熱心に取り組み、高い会員継続率を誇ります。創業者である合同会社GOODLIFE 代表である鈴木 涼太氏に、立ち上げまでの経緯やセミパーソナルとした理由について聞きました。
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PROFILE
鈴木 涼太 合同会社GOODLIFE 代表
自身が20kgの減量に成功した体験からトレーナー業の素晴らしさを知り、フィットネス業界へ。居酒屋の空きスペースで始めたトレーニング指導が評判を呼び、2019年に「GOODLIFE GYM」を開業。1人のトレーナーが最大4人を指導するセミパーソナル方式とすることで、価格を抑えながら、楽しくトレーニングを継続できる環境を提供し、現在60店舗を展開する。
1. トレーナーと二人三脚で20kgの減量に成功、変わる楽しさで営業からトレーナー業へ
——鈴木さんはジムを経営する前は介護業界で働く人をサポートするお仕事をされていたそうですね。
32歳まで営業として働いていたのですが、お客さまとの飲み会が多くて、どんどん体重が増えてしまったんです。太ると自己肯定感が下がって、何事にも消極的になってしまうんですよね。これではいけないと、30歳を機に「痩せて変わろう!」と決意しました。偶然、叔母がフィットネストレーナーをしていたので紹介してもらうかたちでパーソナルジムに入会しました。
——そこからわずか数年で「GOODLIFE GYM」を立ち上げたことになりますが、どのような意識の変化があったのでしょうか。
トレーナーと一緒にトレーニングに励んだ結果、最終的に20kgの減量に成功したんです。努力したことで外見が健康的に変わっていくだけでなく、内面的にも前向きに変わることに感動しました。トレーニング方法をもっと知りたいとYouTubeやSNSをチェックしていたら、ジムの起業に関する情報が目に入るようになり、次第に「自分もトレーナーになってジムを経営したい」という想いが強くなったんです。そこから勉強を始めました。
——独立後、集客はどのように行ったのでしょうか?
資金が乏しかったので、まずは集客も兼ねて先輩が経営する居酒屋の地下スペースを借りて夜の時間帯にマンツーマンでのトレーニング指導を始めました。「筋トレしたい方、集まりましょう」と呼びかけたら、仕事帰りの方がたくさん参加してくれて、トレーニング後はそのまま一緒にご飯を食べたりサウナへ行ったりと、サークルのような雰囲気で楽しい時間を過ごせました。
参加者もどんどん増えて、1:1では対応しきれなくなり途中から複数人を同時に指導する形式に変更しました。ここで、皆でトレーニングする楽しさに気づいたことが、「GOODLIFE GYM」をセミパーソナル方式とした理由です。
2. 健康意識の高まりで軌道に乗った経営、コミュニティづくりで継続率を高める
——2019年の8月に1号店となる代々木店を開業されました。「セミパーソナル」という概念がそれほど社会に浸透していない時期だと思いますが、順調なスタートをきれましたか?
開業当初は「セミパーソナル」とGoogleで検索してもヒットするジムはほとんどなかったので、どうすればセミパーソナルという新しい概念を認知してもらい、ジムに来てもらえるかだけを考え続けました。その結果、初月から黒字化できました。会員の1/3は居酒屋で指導していた方たちで、残りの2/3は紹介やTwitter経由で来てくれました。代々木店の運営が好調だったので、次の渋谷店の開業を進めたのですが、新型コロナの感染拡大が始まり、残念ですがテナント契約日の3日前に見送りました。
ただ、コロナ禍に多くのジムが閉まりトレーニングできる環境がなくなったことで、逆に人々のトレーニングしたいというニーズが高まったんです。健康意識の高まりもあって、緊急事態宣言後に開業した2、3店舗目は順調に集客できました。
——お客さまが「GOODLIFE GYM」を選んでくれる理由は何だと思いますか?
パーソナルトレーニングジムは会費が高く「目的達成までの短期で利用するもの」というイメージがあるかと思いますが、1人のトレーナーを4人でシェアしながら個々にパーソナル指導を受けられる「GOODLIFE GYM」のセミパーソナルは、一般的なパーソナルジムよりも価格を半分以下に抑えているため長く通い続けることができます。学生の方でも少し頑張れば利用できるような価格帯が刺さっていると思います。
——長く継続してくれる方が多いのでしょうか。
定期的に懇親会や登山、ゴルフ、バスケなどのサークル活動を行い、トレーナーと会員さまや会員さま同士をつなげるコミュニティ形成に力を入れているので、半年間の継続率は90%以上です。イベントは毎回すぐに埋まる人気です。レッスン中もプライバシーに配慮しつつ、トレーナーが会員さま同士の共通点を見つけて「出身地が同じですね」などと声をかけ、つながりをつくるよう心がけています。
3. 本部機能の強化が課題、店舗展開で多くのニーズに応えたい
——目標店舗数含めた今後の取り組みについて教えてください。
今年は以前から興味があったパーソナルピラティス事業を新たに始めます。マシンを数種類入れた小規模な施設で、地域密着店舗として取り組んでいく予定です。
「GOODLIFE GYM」についてはまだまだニーズがあると考えているので、次のステップとして2028年までに120店舗出店の目標を掲げています。採用、育成、集客を仕組化し、120店舗を取りまとめられるよう、本部機能を強化する必要があると考えています。
——フランチャイズ(以下、FC)の店舗もありますが、どのような方がオーナーになっていますか?
実はFCの募集は一切していなくて、現在のFC店舗のオーナーの9割は「GOODLIFE GYM」の会員さまです。皆さん、当社のサービスを受けた結果「自分もやりたい」ということで手を挙げてくれました。「GOODLIFE GYM」の理念やサービスに共感した方がオーナーになってくれるのは大変嬉しいです。
——店舗を増やすにはトレーナーを採用していくことも必要かと思います。採用の際に重視しているポイントはありますか?
ジムの理念やコンセプトに共感してくれることが第一です。あとは、キャリアよりも、チームプレーができることですね。トレーナー業というのは基本的に個人プレーなので、長く一般企業に勤めていた僕からすると、チームプレーを苦手とする人が多いように感じます。会社を成長させていくためにはチームプレーが欠かせませんし、チームプレーができれば、もし何かの要因でトレーナーからキャリアチェンジをしたとしても、すぐに馴染めると思います。
——セミパーソナルだと、トレーナーさまにはマンツーマンでの指導以上に配慮や気遣いが必要になりそうです。
マンツーマンの指導でそれなりにキャリアがあるトレーナーでも最初はあたふたしますね(笑)。まず複数人の方に同時に“見られる”という状況に緊張してしまうようです。ここは場数を踏んで慣れていくしかありません。複数人の指導ができるようになれば、マンツーマンよりも収入を増やしやすいと思います。