会員管理・予約システム記事一覧

セミナー記事一覧

「店舗コンセプト」の決め方とは?プロ&経験者に学ぶ開業のための作業ステップ

2023.08.21

| | |
「店舗コンセプト」の決め方とは?プロ&経験者に学ぶ開業のための作業ステップ

「どのような店舗をつくるのか」「どのようなモノやサービスを提供していくのか」について考えるとき、その指針となるのが「店舗コンセプト」です。これから自分の店舗を開業しようと検討している方にとって、店舗コンセプトを設計することは、大きな課題の1つではないでしょうか。

そこで今回は、ウェルネス業界のプロや店舗運営の経験者にインタビューし、より理想に近い店舗を開業するためのポイントを解説します。

INDEX

1. 「店舗コンセプト」とは?

フィットネスクラブやスポーツジムなどをはじめとするフィットネス系の店舗を開業・運営するために、まずやっておきたい工程が「店舗のコンセプト設計」です。店舗コンセプトとは、経営者が「どのような事業をやっていきたいのか」の方向性を示したもので、顧客に提供しようとしているサービスや商品などの軸となるものです。

店舗コンセプトがしっかりとあれば、事業を継続的に運営していく中で、方向性に迷いやブレが生じた際にも指針となります。

2. 店舗コンセプトが必要な理由

店舗コンセプトは、先ほど触れたように事業を運営する中で欠かせない要素といえます。店舗コンセプトが必要な理由として、具体的には以下のような項目が挙げられます。

2-1. 事業計画を固めるため

店舗コンセプトを明確にすることで、必要な資金や展開するエリア、宣伝手法など事業計画を固めやすくなります。

例えば、金融機関から開業資金などの融資を受ける場合、「事業計画書」の提出が必要になります。事業計画書とは、収益の見込みや事業をどのように運営していくのかなど「方針や全体像」を示した書類です。理想や夢をただ追い求めるのではなく、それを現実のものとするためには「コンセプト設計」が欠かせません。

融資を受けるために、事業の目的や経営方針、販売戦略や売上の予測などを細かく決める必要があり、その指針となるのが店舗コンセプトなのです。

2-2. 店舗イメージを明確化するため

店舗コンセプトを決めることは、店舗全体のイメージを明確化するのにも役立ちます。例えば、サービスや商品を提供したいターゲット、内装デザイン、HPや広告デザイン、キャンペーン・プログラム内容などが決めやすくなることもメリットの1つです。

2-3. 店舗コンセプトを決める作業ステップ

店舗コンセプトを決めるとき、どのような流れで進めていけばよいのか迷うこともあるでしょう。そのようなときには、「5W2H」の視点から考えると、イメージする店舗像が明確化し、スムーズにコンセプトを設定することができます。「5W2H」については、次の章で説明します。

2-4. 店舗イメージを具体化する(どのような店舗にしたいか)

コンセプト設計をする際には、「コンセプトシート」を作成するのがおすすめです。前述の「5W2H」とは、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」「How much(いくらで)」という英単語の頭文字を取ったもので、物事や情報を整理するのに役立ちます。それでは、1つずつ見ていきましょう。

いつ(開業時期)

店舗のコンセプト設計において、「いつ」というのは下記のような項目になります。

  • 開業時期
  • 営業時間
  • 定休日
  • キャンペーン期間など

上記のような期日や期間について検討します。例えば、競合他社と時期が重ならないようにしたり、反対にあえて近い時期を設定したりなど、利益を上げるために効果的な時期を決めることが重要です。

どこで(出店するエリア)

店舗のコンセプト設計において、「どこで」というのは下記のような項目になります。

  • どのエリアに出店するのか
  • 競合店の状況
  • ターゲット層の動向など

どのエリアでサービスや商品をアピールしていくかは、売上や集客に大きく影響します。ターゲット層の属性などに配慮しながら、最適な出店エリアを決めます。

誰が・誰に(社員数や雇用形態・資金協力・ターゲット層)

店舗のコンセプト設計において、「誰が・誰に」というのは下記のような項目になります。

  • ターゲットの年齢
  • ターゲットの職業
  • 社員数や雇用形態
  • 外部業者など

「どこで」の項目でも触れたように、誰が誰に対してサービスや商品を展開していくかを明確にすることは、事業計画の根幹になります。またターゲット層だけでなく、サービスや商品を消費者に届けるまでに関わる人たちについても検討しておきましょう。

何を(サービス内容)

店舗のコンセプト設計において、「何を」というのは下記のような項目になります。

・サービスや商品の特徴

より具体的にサービスや商品価値を明確にすることは、売上を上げるために重要なポイントになります。ターゲットに対して、どのようなサービスや商品が求められるのか、購買意欲をかき立てられるのかを明確化しておきましょう。

なぜ(事業の目的)

店舗のコンセプト設計において、「なぜ」というのは下記のような項目になります。

  • なぜその事業を始めるのか
  • なぜこのサービスを提供したいのか
  • なぜこの店舗名にしたのか

サービスや商品を提供するために、必ずやっておきたいのが「目的の明確化」です。この項目にブレが生じると、あらゆる選択を迫られるたびに迷ってしまい、事業がスムーズに進まなくなるかもしれません。また、「なぜ」の部分をしっかりと検討しておくことで、外部パートナーに依頼する際にも役立ちます。

どのように(宣伝方法や内装など)

店舗のコンセプト設計において、「どのように」というのは下記のような項目になります。

  • 店舗の内装は?
  • 宣伝方法は?
  • サービスや商品の提供方法は?

サービスや商品をターゲットに届けるためには、販促が欠かせません。最近では、紙媒体だけでなくインターネット広告やSNSを活用した戦略も主流になっています。インターネット広告の出稿やSNSの活用、インフルエンサーの活用、DM、新聞折込広告、チラシなど、ターゲット層にあわせた販促手段をよく検討しておきましょう。

上記以外にも、どのように経営していくのか、または店舗を運営していくのかなども「どのように」の項目に含まれます。

いくらで(サービス価格)

店舗のコンセプト設計において、「いくらで」というのは下記のような項目になります。

  • サービスや商品の価格帯
  • コストや人件費

利益をしっかりと得るためには、どのような価格帯でサービスの提供や商品の販売をするのか、コストや人件費との兼ね合いも大切なポイントになります。「お金」に関する戦略は事業運営に大きく影響するため、リサーチを重ね慎重に設定しましょう。

2-5.何を軸にしたいか・実現可能か考える

ここまでご紹介したような項目をコンセプトシートに記入し、改めて見直します。コンセプトシートをもとに、「何を軸にしたいのか、実現可能か、メッセージ性はあるか」などを精査していきます。

2-6.コンセプトを設定する

精査し納得のいく内容のコンセプトシートができたら、いよいよ「店舗コンセプト」を設定します。あらゆる面から分析をした上でコンセプトを明確にすれば、店名や店舗デザイン決めもスムーズに進むことでしょう。

もしコンセプト設計をしてもなお、違和感が残る場合は再考することも検討してみてください。自分や近しい人だけでは判断ができない場合は、経験者や専門家などの意見を参考にするのも1つの方法です。

3. 店舗を開業するためにはコンセプト設計が必要不可欠

これまで解説してきたように、「コンセプトシートを活用する」ことは店舗コンセプトを決めるうえで大変役立ちます。ですが、「自分だけではコンセプト決めが難しい」と感じる方も多いことでしょう。そのようなときには、コンサルティング企業や広告代理店などの専門知識と実績のある外部パートナー企業に協力を仰ぐことも方法の1つです。客観的に外部パートナーから提案やアドバイスをもらうことで、ご自身では気づかなかった強みや、今後の方向性を発見することにもつながることでしょう。

参考として、今回はウェルネス業界の企業や店舗のエキスパートに失敗しないコンセプト設計のポイントを伺いました。

4.【事例紹介】株式会社ミヤウェルネス

「店舗コンセプト」の決め方とは?プロ&経験者に学ぶ開業のための作業ステップ

ウェルネス業界を中心に、24時間ジムなどのリアル店舗運営、コンサルティングを行う株式会社ミヤウェルネス。現在18ブランドをプロデュースする、フィットネスビジネスのエキスパート集団です。

ミヤウェルネス社の強みは、スタッフ全員がウェルネス業界の経験者であること。また、24時間ジムの直営店を運営しており、これまでの経験値を元に、総合的なノウハウを提供しています。

今回は代表の宮下 祐季氏に、開業までに必要なステップである店舗コンセプトの設計に関するフローやポイントを伺いました。

PROFILE

宮下 祐季株式会社ミヤウェルネス 代表取締役

JOYFIT24の創業期にアルバイトからフィットネス業界へ。店長、クラブマネージャーのキャリアを通して後にFC本部SVとして加盟企業7社のFC支援。当時の最年少キャリアでステップアップ。東証一部上場ツカダ・グローバルホールディング子会社のフィットネス新規事業開発を担当。株式会社フィットネクサス 法人設立に従事。fitnexus24の企画・開発・運営を統括。60店舗以上の店舗運営、新店開発、FC支援を経験。

公式Webサイトはこちら

4-1. ①コンセプト設計のフロー

店舗コンセプトの設計をするためのフローを解説します。各ステップを丁寧に行うことで、理想に近い「店舗コンセプト」に近づきます。

4-1-1. ロープライス路線orハイプライス路線どちらにするか

店舗コンセプトの設計をする際には、まず以下を決定する必要があります。

  • ロープライスで気軽に通いやすいジムを運営するのか
  • ハイプライスでラグジュアリーな雰囲気、上質感のあるジムを運営するのか

どちらの路線を選択するのかは、店舗コンセプト設計に大きく関わります。また、店舗内装のテイストやマシン、備品の選定などコスト面も大幅に変わるため、慎重に検討しましょう。

4-1-2. 類似するサービスをリサーチする

競合他社と差別化を図るためには、類似サービスをしっかりとリサーチしておくことが重要なポイントになります。

  • 実際に類似するサービスを体験し、良い点を洗い出す
  • 肌感覚で、そのレッスン、サービスに活気があるかどうかを確認する
  • スタッフの対応を観察する

類似サービスがどのような戦い方をしているのかを事前にリサーチして分析することが、店舗コンセプトの設計に大いに役立ちます。悪い点を見つけようとするのではなく、「良いところを盗みに行く」という感覚が大切です。良いところを自社の課題として持ち帰ることで、より目指すコンセプトに近づけます。

4-1-3. 類似サービスの課題点がヒントに

類似サービスの課題点が見つかったら、それを店舗コンセプトの設計に活かしましょう。お客さまの中には、「いま行っているジムに不満はあるけれど、ここしかこのプログラムはやっていないから…」と仕方なく通われているケースもあります。お客さまが不満に思う点を課題として抽出し、課題を解決したうえでサービスを提供することが差別化にもつながります。

課題点は、GoogleやSNSなどの口コミを参考にすると良いでしょう。スタッフの対応への不満がヒントになりやすいです。

4-2. ②コンセプト設計に外部パートナーを活用するメリット・デメリット

店舗コンセプトの設計に迷ったときに、外部パートナーの活用を考える方もいるでしょう。

外部パートナーを活用する際のメリット・デメリットは、以下の通りです。

・メリット

外部パートナーの中には、数多くの実績や膨大なユーザーデータを有していて、店舗コンセプト作りの参考になるケースも多い。

コンサルティング料など費用がかかったとしても、全体でボリュームディスカウントがある場合もあるため、一概に外部パートナーの活用でコストが高額になるとはいえない。

・デメリット

理想とする世界観が外部パートナーに伝わらないこともある。担当者の性格や経験値などの違いから店舗コンセプトの擦り合わせが難しい場合もある。

イメージのすり合わせをする必要があるため、丸投げにできず、ある程度のコミュニケーションコストがかかる。

4-3. ③店舗コンセプトに合った内装・メニュー・ターゲット層の集客を実現するには?

各ステップを経て納得のいく店舗コンセプトが決まったら、いよいよそのコンセプトに合った内装やメニュー、ターゲット層を絞り集客施策を実施していきます。ここでは、それぞれのポイントを解説します。

4-3-1. 店舗内装やマシン選定のポイント

店舗コンセプトに合った店舗内装、マシンを決める際のポイントは、以下のとおりです。

  • 内装のこだわりを実現しやすい「地域密着型」施工業者を探す。
  • 施工実績は、実際に足を運んで自分で「体感」する。
  • 海外製のマシンは、社会情勢によって遅延や納品できない状況が発生することを、計算に入れておく。

店舗内装は、内装へのこだわりを実現しやすい経験豊富な「地域密着型」の施工業者がおすすめです。どの部分をどの業者が施工するのか、漏れがあると時間や労力、費用がかさむこともあります。そうならないためにも、施工項目の細目をしっかりと確認することが大切です。

施工業者決めに迷ったら、施工実績を実際に見ることも大切なポイントです。ホームページなどで確認するほか、可能であれば近くの施工店舗に足を運ぶことで「実感」として良し悪しを判断できることでしょう。

ジム運営に欠かせないのが、マシンです。導入するマシンの中には海外製のものも多いため、社会情勢の変化による納期の遅延には注意が必要です。店舗の開業に合わせて設置が間に合うのか、遅延した場合の対策など、よく検討しておきましょう。

4-3-2. プログラム・メニューの差別化のポイント

競合他社のプログラムやレッスン、サービスとの差別化を図るためにポイントとなるのは、以下の要素です。

  • プログラム・レッスン・サービスの所要時間と費用のバランス
  • アフターサポート

プログラムやレッスン、サービスの所要時間は長ければよいというものではなく、ターゲットの属性に合わせた「最適な所要時間」「開始の時刻」「メニューの強度」「コストパフォーマンスの高さ」などを意識しましょう。

4-3-3. トレーナー、インストラクター、スタッフの採用、教育のポイント

トレーナーやインストラクター、スタッフの採用や教育のポイントになるのは、以下のとおりです。

  • トレーナーやインストラクター面接の際は、キャリアビジョンを確認する
  • スキルは教育により向上が見込めるため、人柄を重視する

トレーナーやインストラクターには、できるだけ長く勤務してもらいたいものですが、中には独立志向が高く、数年で退職したいと考えているケースもあります。突然のスタッフの退職にあわてないためにも、面接時にキャリアビジョンを確認しておきましょう。

また、人柄を重視して選ぶことも重要なポイントです。フィットネスのスキルは今後磨いていくことで向上が見込めますが、人柄は簡単には変わりません。お客さまやスタッフ間のコミュニケーションがうまくいくよう「人柄の良さ」は外せないポイントです。

4-3-4. 集客、販促活動のポイント

効果的な集客や販促活動のポイントは、以下のとおりです。

  • オープニングキャンペーンに注力する
  • 最初は媒体を絞り過ぎず、各販促ツールに対し予算を均等に割り当て、その後、特に効果が高かった販促ツールに注力していく

集客効果や販促効果が出やすいのは、やはりオープニングキャンペーンです。このタイミングにしっかりと集客施策を検討し、実行しておくことは、その後の販促活動にも役立ちます。

広告媒体は、最初に紙、Webと絞り込まず、均等に予算や労力を配分しておくのがおすすめです。その中で特に効果が高かった販促ツールに対して注力していくようにすると、効率的に販促活動を行うことができます。

集客、販促活動の失敗例

集客や販促活動でよくある失敗は、キャンペーンの開催期間を明示しないケースです。実施期間を切らずに長期間やってしまうと、見込み顧客に「いつもキャンペーンをやっているので、いつ入会しても問題ない(今入会しなくてもよい)」と認識され、集客効果が落ちます。対策としては、キャンペーンに開催期限や定員を設け、それを明確に打ち出すと良いでしょう。

集客、販促活動の成功例

最近では、Web集客の中でも、インフルエンサーとのコラボレーションの人気が高まっています。インフルエンサーに、InstagramやYouTubeなどで発信してもらうことで集客につながるケースも見られます。誰に依頼すべきかの見極めは難しいところですが、InstagramなどのDMでコンタクトを取り、返信があるかどうか、また返信の内容などを参考にしてみてください。

5.【事例紹介】SURL株式会社

「店舗コンセプト」の決め方とは?プロ&経験者に学ぶ開業のための作業ステップ

女性のフィットネス人口が少ないという社会課題をもとに、ライフスタイルの変化が大きな20代から30代の女性、その中でも特にママ向けに無理のない運動習慣を提案しているSURL株式会社。

その代表を務める湯浅 陸氏に、経営されている東京都の池尻大橋にある子連れOKのママ向けフィットネスジム「#サラトレ」を例に、店舗コンセプトに至った経緯やポイント、店舗運営をする上で直面するさまざまな課題や解決策を聞きました。

PROFILE

湯浅 陸パーソナルトレーナー/SURL株式会社 代表取締役

法政大学スポーツ健康科学部出身。大学卒業後、大手人材会社キャリアデザインセンターに入社し営業職として勤務する傍らミスタージャパンに出場し日本大会3位入賞。これを機に国内外の大会にも出場するなど筋トレの面白さに魅了されパーソナルトレーナーに転身。現在は、女性専用子連れOKのパーソナルジム『#サラトレ』などのジム経営を行いつつ、トレーナーとしての知見を活かしたフィットネスサービスの開発やメディアに出演するなど多岐に渡り活動中。

公式Webサイトはこちら

5-1. ①店舗コンセプト設計のポイントは?

店舗コンセプトの設計に関するポイントは、以下のとおりです。

5-1-2. 「忙しいママにも運動習慣を」社会課題がターゲット設定のヒントに

「20代から30代のママたちは運動習慣がない人が多い」。そんな社会課題に直面し、そこから現在のコンセプト設定に至りました。ターゲットにした20代から30代の女性は、「就職・結婚・出産などライフスタイルの変化が大きいこと」、「この時期の運動不足は、将来的な健康にも影響を及ぼす可能性が高いこと」の2つの社会課題が起点となりました。

これらの課題解決のため、あえて時間の取れないママ世代をターゲットにしたジムを開業しようと決意しました。身体の健康だけではなく子どもに向き合う時間に精神的に疲れてしまったママたちのサードプレイスとして活用いただけるように、「心身のサポートとともに、忙しいながらも、ほんの少しでも気分転換の場を提供したい」という思いもあり、開業を決断しました。

5-1-3. 店舗コンセプトの設計にどのくらいの時間が必要?

店舗コンセプトの設計を含め、開業するまでに約6ヶ月ほどの時間を要しました。社会課題を解決したいという思いがあったことから、店舗コンセプトの設計にはそう時間がかからなかったものの、物件探しには苦労しました。

どのようなジムにするのか、どのような立地がよいのか、どのような内装やマシンを取り入れるのかなど、店舗コンセプトの設計がすべての指針になります。また、コスト面にも大きく影響するため、開業を決めたら店舗コンセプトの設計に早めに着手することが大切です。

5-2. ②競合調査の項目、注意点は?

店舗コンセプトの設計に欠かせないのが、競合の調査です。以下のようなことを意識して調査しました。

  • 自分が開業しようとするエリアにどのくらいのジムがあるのか
  • 女性専用のジムがどのくらいあるのか
  • ママ向けのジムはどのくらいあるのか

ターゲット層を細分化して調査することで、お客さまのニーズや課題が見えてきました。その中でベンチマーク(基準となる店舗)を定め、その店舗の価格帯はどのくらいなのか、どのくらいの人数が通っているのか、通う回数は1人あたりどのくらいか、なども調査しました。

緻密に調査する中で、たとえ通い放題のジムであったとしてもフルで通う人はいない、だからこそ通い放題である必要はない、という結論に至りました。

お客さまが競合店に平均的に何回くらい通っているのかをリサーチした上で、「月8回」がママたちに無理なく通ってもらえる回数であること、さらにコストパフォーマンスが高いことを洗い出し、自店の強みとしたのです。

5-3. ③店舗コンセプトがブレなければ選択に迷わない

店舗の内装やマシン、時間設定など、店舗を運営するうえで決めるべき事柄は、すべて「コンセプト設計」が指針になります。

「#サラトレ」では、ママ向けというコンセプトをもとに清潔感のある白基調のボタニカルな空間、キッズスペース完備、元保育士のトレーナーの採用など、ママが安心して通える環境づくりを徹底しました。

また、荷物が多くなるとそれだけで通うのに躊躇してしまうママが多いという理由から、気分が上がる明るい色合いのウエアをジム側で用意するなど、細やかな配慮をしています。通常のジムメニューとしては短めの30分という時間設定にしたのもママ向けをコンセプトにした「#サラトレ」ならではの工夫です。子どもの集中力を考慮して決めており、30分という短い時間の中でも、ママが効率よく運動できるメニューを組んでいます。

開業当初は、2組が同時に運動できるよう2ブース用意していましたが、運営していくうちに子連れでは2ブースは使いづらいことを実感しました。やはり2組がお互いに気を遣ってしまい運動に集中できない、ということがわかったのです。そこで、コスト面はもったいないと感じつつもブースを1つ撤去し、広々とした空間で運営する方針に変更しました。その決断は功を奏し、通うママたちから好評を得ています。

ターゲット層ならではの立場や悩みに寄り添うことを第一に据えて店舗コンセプト設計をすれば、たとえ迷ってしまったとしても、納得のいく選択ができます。反対に、店舗コンセプトがブレてしまうと自分が解決したい課題や、何のためにやっているのかがわからなくなってしまいます。

開業を決めた当初に掲げた店舗コンセプトからブレないよう、状況に応じて軌道修正も必要です。お客さまの希望や反応に合わせて、店舗コンセプトを柔軟に変化させていくことも、成功の秘訣かもしれません。

6.まとめ

開業に向けては、さまざまな工程をいくつもクリアしていく必要があります。それらすべての指針となるのが「コンセプト設計」です。

「開業を決めたら、早めに明確なコンセプト設計をすることが鉄則である」。

これは、ウェルネス業界のプロや経験者ともに共通する店舗運営成功の秘訣でした。コンセプト設計に迷ったときには、今回ご紹介した作業ステップや体験談を参考にしてみてはいかがでしょうか。きっと、開業に向けた忙しい日々の中でも、方向性を見失うことなく理想の店舗運営に近づけるはずです。

データ活用で集客・入会率向上を実現するhacomono

具体的な機能、価格など詳しい情報をご案内します。

詳細はこちら

Suggest関連記事

Ranking人気記事ランキング

View More
メルマガ登録

人気コンテンツ、最新記事の情報をお届けいたします。

Suggest関連記事

メルマガ登録

人気コンテンツ、最新記事の情報をお届けいたします。

コピーしました