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NBAバスケットボールスクール開講を機に新たな教育システムの構築に挑戦。日本のバスケットボール教育の底上げへ

2025.01.09

【後編】この記事は2回に分けてお送りしています。
【前編】はこちらから

子どもたちへバスケットボールを指導する「バスケットボールの家庭教師」を運営する株式会社ERUTLUC(以下、エルトラック)は、National Basketball Association(以下、NBA)と契約を締結し、2024年4月に日本初のNBAバスケットボールスクールを開講しました。長年バスケットボールに取り組む株式会社hacomono セールス担当の伊藤 拓馬がエルトラックの代表である鈴木 良和氏に、NBAバスケットボールスクールを通して実現したい未来や、スポーツスクールがもつ可能性についてお聞きしました。

INDEX

PROFILE

鈴木 良和 株式会社ERUTLUC 代表

2002年に「バスケットボールの家庭教師」を立ち上げ、子どもたちへバスケットボールの指導をスタート。2007年に株式会社ERUTLUCを設立し、各地で指導を行いながら専門誌でコラムの執筆や講演会など活動を拡大する。2021年の東京五輪ではバスケットボール男子日本代表のサポートスタッフを、同年に開催されたFIBA 女子アジアカップおよび2024年のパリ五輪ではバスケットボール女子日本代表チームのアシスタントコーチを務めた。2024年4月には日本初となるNBAスクール渋谷校を開校し、同年11月には新たに東村山校、世田谷校を開校している。

1. エルトラック×NBAでバスケットボールの普及を目指す

—— 2024年4月に日本初のNBAバスケットボールスクールが始まりました。NBAとエルトラックが契約を締結することになった経緯について教えてください。

NBAバスケットボールスクールは現在、世界10ヶ国以上で開講されています。アジアでは中国とインドですでに開講されていますが、どちらもやや苦戦を強いられている状況です。その中で、八村 塁や渡邊 雄太などのNBA選手を輩出している日本が注目されたようです。アメリカの本部スタッフの方が日本で信頼できるバスケットボールスクールを探す際、Bリーグ(男子プロバスケットボールリーグ)関係者に相談したところ、多くの方がエルトラックの名前を挙げてくださり、そのご縁で声をかけていただきました。

—— 「バスケットボールの家庭教師」と比較すると、NBAバスケットボールスクールは専用のユニフォームの購入が必要だったりと、ビジネス色が少し強いように思います。このあたりはどのように感じていますか。

NBAという名前を広げることも目的なので、そのように感じる気持ちもわかります。ただ、NBAも当社も、バスケットボールを広く普及させたいという想いは一緒です。それに、私の中ではこのお話をいただいた時に、エルトラックが掲げている次の3つのミッションの1.と3.の延長にあるものだと感じたんです。

  1. より多くの子ども達になりうる最高の自分を目指す環境を提供する
  2. チームスポーツだからこそできることで教育に貢献する
  3. 世界で最もビジョナリーなコーチチームを作る

1.のミッションについては、「より多くの子ども達に」と言いながら、実際は質の方にこだわりすぎてしまい、立ち上げから20年以上経ちましたがまだ一都4県でしかサービスを提供できていません。そこをNBAというブランドを借りることで、広げられるのではないかと考えました。

オンラインツールを活用して、現地での採用や育成、研修を実施するフローに挑戦する良いきっかけではないかとも感じました。今、まさにNBAバスケットボールスクール専用の、コーチの採用や研修の仕組みづくりに取り組んでいます。とても大変ですが、この仕組みが完成し、いろいろな地域で質の高いNBAバスケットボールスクールを開講できるようになったら、きっとアメリカのNBA本部は「日本はすごいぞ」と驚くはずです。そのような状態を作ることができればミッション3も実現したといえるでしょう。

NBAバスケットボールスクール開講を機に新たな教育システムの構築に挑戦。日本のバスケットボール教育の底上げへ

2. スポーツスクールは子どもにとってのサードプレイス。教育的な価値を提供できることが強み

—— バスケットボールを含むスポーツスクールに参加する子どもたちのなかには、チームに所属している子どもも多いです。そのような子どもたちにとってスポーツスクールは、試合に向けたスキルアップや自主練習の延長という位置付けだと思いますが、スポーツスクールの本質的な価値は何だと思いますか。

昔、大学院の授業で「道徳心はどう学ばれるのか」という授業があったんです。道徳心は言語のように個々人が自由に学んでいくものではないし、講師から授業を受ければ磨かれるものでもなく、また、スポーツのようにトレーニングしたら身に付くものでもありません。結論、道徳心は模倣から学ばれるものであり、それも身近な大人の模倣から学ばれていくものだと教わりました。

でも、核家族化が進む現代は親戚づきあいや近所づきあいも減っており、子どもが大人と交わる機会が減っています。そのような時代においてスポーツスクールは家や学校でもない、子どもにとってのサードプレイスであり、私たち指導者は「自分と同じスポーツが好きなお兄さん、お姉さん」です。そういう意味で親や先生とはまた違う、教育的な価値を提供できることが、スポーツスクールの本質的な価値ではないかと思います。

NBAバスケットボールスクール開講を機に新たな教育システムの構築に挑戦。日本のバスケットボール教育の底上げへ

—— 鈴木さんが20年以上前にバスケットボールの指導を行う「バスケットボールの家庭教師」を立ち上げてから現在までにおいて、保護者や子どもの傾向など、特に大きな変化を感じていることはありますか。

スポーツに取り組んでいると、どうしても感情的になってしまうことがあります。昔であれば衝突しても子ども同士で解決できましたが、近年は保護者が心配のあまり間に入ろうとしたり、そもそも衝突が起きないように配慮するケースが増えたように思います。

「バスケットボールがうまくなりたい」「試合で勝ちたい」という同じ目的を持った子が集うなかで起きる衝突というのは、社会に出る上で価値ある体験だと思うんです。逆に「仲良くやりましょう」とあらかじめ衝突を回避するのはもったいない。特にバスケットボールのように人と力を合わせることが必要なスポーツでは「そんな言い方をして相手が嫌な気持ちになったらチームとして強くなれる?」というように、解決策も見出しやすい特徴があります。むしろそういう失敗をさせる目的でスポーツスクールに通わせてもいいのではないかと感じます。

—— 学校で嫌なことを言われて傷ついたり、不登校になる子どもがいますが、それがスポーツスクールならば解決しやすいというのはわかる気がします。ビジネスの成長という共通の目的に向かって社員が一丸となる会社も似ていますよね。言い換えれば、スポーツスクールは事前に社会を擬似体験できる場なのかもしれません。

衝突して「ちょっと言い過ぎちゃったな」「ああ言ってはいけなかったな」って身をもって学んだ子どもは、再び同じことはしませんよ。「こういうことを言ってはいけません」と指導されて、言わずに育った子どものほうが、何か起きたときに加減がわからず言い過ぎてしまったりするんです。

3. 成果の定義が質と行動を変える。プロセスは変化を楽しむ余裕が大事

—— チームコンサルティングも得意ということですが、鈴木さんが考える良いチームとはどのようなチームでしょうか?

エルトラックは、ベストセラーのビジネス書をたくさん読んで、書いてあることをとにかくやってみたらここまでやってこれたというのが正直なところなんです。ただ、自分の中で「うまくいった」というのはどういう状態なのか、成果の定義をしっかりしておくことは大切だと感じます。成果の定義が仕事の質を変え、日々の行動を変えていきますから。

—— 成果の定義はおそらく一度設定したら変更する必要はないけれど、プロセスは社会情勢や人々の価値観の変化などにより調整し続ける必要がありそうですね。

だから、いつか順風満帆な日々がくると考えていたら違うでしょうね(笑)エルトラックも、育成カリキュラムを毎年見直しています。そのような右往左往しながら調整する過程を面白いと感じる心も大切かもしれません。

—— NBAバスケットボールスクールの運用に「hacomono」を導入いただきました。当社では、デジタルの力で顧客体験を高めていくことに取り組んでいるのですが、鈴木さんとして我々に実現して欲しいことはありますか。

多くの人が今、アナログで行っている作業をデジタル化して簡単にできるようにすれば多くの方が利用してくれると思いますが、私が求めているのは少し違うんです。例えばエルトラックではコーチがレッスン後に道徳的な教えを説き、それを子どもたちが家庭でも話したら家族からサインをもらうという取り組みをしていますが(※前編参照)、それを「hacomono」の機能の1つにしてくれたら、「hacomono」を導入した他のスクールも「やってみようかな」と思うかもしれません。そのように、いろいろなスクール独自の取り組みをデジタル化してくれたら、お互いに勉強になるし、業界全体としての価値も上がっていくと思います。

—— 攻めの機能ですね。鈴木さんが独自でやられていることを当社がデジタル化し、他のスクールにも展開したら、そのスクールの成長にもつながるし、生徒や保護者の満足度も高まると思います。業界が変わるような革新的な機能を開発できるようがんばります。本日はありがとうございました。

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